2013年4月4日木曜日

福島原発周辺における動植物の異常を確認


(「原発・放射能ニュース13.4.1~ 」に掲載済みの下記記事の要約版が、4日付の「湯沢平和の輪」ホームページhttp://yuzawaheiwa.blogspot.jp/ に掲載されましたので、転載します) 

 3日の東洋経済オンラインに、30日に東京大学で行われた「原発災害と生物・人・地域社会」の研究報告会の内容を紹介する記事が載りました。
 被曝地域の稲、小型チョウであるヤマトシジミ、ウグイス、ニホンザルに、明らかな放射線による影響が見られるというものです。

 
やや長い記事のため以下に事務局で要約したものを紹介します。
 詳細は下記のURLをクリックして原文をご覧ください。
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福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ
   チョウやニホンザルなどに異常、研究者が被曝影響と指摘
 岡田 広行※1 東洋経済オンライン 20130403
                      ※1東洋経済 記者

 
 330日に東京大学内で開催された「原発災害と生物・人・地域社会」(主催:飯舘村放射能エコロジー研究会)で、福島第一原原子力発電所からの放射性物質で汚染された地域で、動物や植物に異常が多く見られることが研究者による調査で明らかになった。
 原発事故による生物への影響についての研究報告は国内でもきわめて少ない。

 
1.「飯舘村での低レベルガンマ線照射に伴う稲の遺伝子発現の観察」
                  ランディープ・ラクワール教授 (筑波大大学院生命環境科学研究科)

 
☆稲の遺伝子に異変
 つくば市内の研究所で育てた稲の苗を、飯舘村内の試験農場に持ち込んで、屋外に置いて自然被曝させ、「半定量的RT-PCR法」と呼ばれる解析方法を用いて被曝時間による稲の特定の遺伝子へ影響を調べたところ、初期(被曝6時間後)に採取したサンプルではDNA損傷修復関連の遺伝子に、後期(被曝 72時間後)ではストレス・防護反応関連の遺伝子に変化が認められた。
稲に対する低線量被曝の影響調査は世界でも例がなく、今後、種子の段階から影響を見ていくとともに、人間にも共通するメカニズムがあるかどうかを見極めていく予定。

 
2.「福島原発事故のヤマトシジミ2への生物学的影響」
大瀧丈二准教授 (琉球大学理学部)
     (※2 ヤマトシジミは日本国内にごく普通に見られる小型のチョウ)

 
☆チョウの飼育実験で被曝の影響を検証
事故から2カ月後の20115月および半年後の9月に福島県などからヤマトシジミを沖縄に持ち帰ったうえで、子ども世代や孫世代まで飼育を継続した。
一方で放射能の影響がほとんどない沖縄で採集したヤマトシジミにセシウム137を外部照射したり、セシウム137で汚染された野草(カタバミ)を、沖縄で採集したヤマトシジミの幼虫に食べさせた。
その結果次のことが明らかになった。

 
20115月に採集した福島県内のヤマトシジミでは、ほかの地域と比べて羽のサイズが小さい個体が明らかに多く、地面の放射線量と羽のサイズを比較したところ逆相関が見られ、線量が上がっていくにつれて羽のサイズが小さくなる傾向が見られた。
また、捕獲した個体の子どもについては、福島第一原発に近い地域ほど羽化までの日数が長くなる傾向が見られ、成長遅延が起きていた。
親に異常があった場合、子どもでも異常率が高くなった。

 
(しかし、これだけの実験では、遺伝性(異常がDNA損傷に基づくもの)であると断言するには十分な証拠とは言えないとのこと)

 
☆被曝した個体で生存率が低下
 外部から放射線を照射した実験では、放射線を多く照射した個体ほど羽根が小さくなる傾向が見られ、生存率が低くなっていた。汚染されたカタバミを幼虫に食べさせた内部被曝に関する実験でも、比較対照群である山口県宇部市の個体と比べて福島県内の個体で異常が多く見られ、生存率も大幅に低くなっていた。
 福島県内の個体は死に方でも、さなぎの殻から抜けきれずに死んだり、成虫になっても羽が伸びきれない事例など明らかな異常が多く見られた。

 
大瀧准教授らの研究結果は、昨年8月に海外のオンライン専門誌「サイエンティフィックリポート」に発表3され、世界的にも大きな反響があった。
 3報告書の日本語訳は下記 (研究室のホームページより)
3.「高線量地帯周辺における野生動物の生態・被ばくモニタリング」
石田健准教授(東京大学大学院農学生命科学研究科)

 
☆通常のウグイスなら、見たこともない「おでき」が…
 福島第一原発から約25キロメートルの「帰還困難区域」に指定されている浪江町赤宇木地区で20118月に野生のウグイス4羽を捕獲したところ、うち1羽から今までにウグイスでは見たこともないおできが見つかり、このウグイスには血液原虫も寄生していた。

 
捕獲したウグイスの羽毛を持ち帰って放射線量を測定したところ、セシウム134137を合わせて最高で約53万ベクレル/キログラムもの汚染が判明した。

 
4.「福島県の野生二ホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況と健康影響」
羽山伸一教授 (日本獣医生命科学大学)

 
☆ニホンザルの白血球数が減少 
福島と青森のサルを比較すると…
 114月から132月にかけて福島市内で農作物被害対策のために個体数調整で捕獲された396頭のサルと、青森県で12年に捕獲された29頭について、土壌中のセシウムの量と筋肉中のセシウム濃度の関係を検証した結果、土壌汚染レベルが高いところほど体内のセシウム蓄積レベルも高い傾向があることがわかった。(青森県のサルからはセシウムは検出されなかった)

 
血液中の白血球の数は、避難指示区域にならなかった福島市内のサルについては、外部被ばくは年間数ミリシーベルト程度の積算線量にとどまるうえ、内部被曝量も10ミリグレイ程度にとどまるとみられるにもかかわらず、ニホンザルの正常範囲より白血球数、赤血球数とも減少しており、白血球は大幅に減少していた。
 20113月の原発事故以降に生まれた子どものサル(01歳)は、汚染レベルと相関するように白血球の数が減っていて、造血機能への影響が出ているのではないかと思われる。

 
 そして「この研究がにわかに人間の健康への研究に役に立つかはわからないが、現在の福島市内のサルの被曝状況は、チェルノブイリの子どもたちとほぼ同じ水準であり、チェルノブイリの子どもたちに見られる現象がニホンザルにも起こったことが明らかにできればと考えている」と結んだ。