2013年5月6日月曜日

環境省が震災がれき受入れ交付金を無駄遣い

 
 東日本大震災で発生したがれきの広域処理をめぐり、受け入れを「検討しただけ」の自治体の7都道府県10団体にも、総額約107億円の交付金を支出していたことが分かりました。
 阪神淡路大震災で発生したがれきを兵庫県だけで全量処理した実績から見ても、東日本大震災で生じたがれきを関係の3県で十分に処理できる筈でした。
 現実に地元の業者たちは震災に見舞われた現地の復興にも資するとして、がれきの焼却設備を作ることに名乗りを上げたのですが、国は何故かそれを認めずに、代わりに多額の交付金をつけてがれきの広域処理を進めることを計画したのでした。

 がれきの広域処理には、まず放射能の拡散が起きるという根本的な問題がありました。それに加えて多額な運搬費などで処理単価が驚くほど高く見積もられていたので、交付金付の広域処理にはもともと別の意図があるのではないかと問題視されていました。
 被災者への救援が殆ど進んでいない中で、復興予算から捻出される交付金がそんな風にいい加減にバラ撒かれたのは大問題です。
 
 以下に産経新聞の記事を紹介します。
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震災がれき受け入れ、「検討」だけで107億円支出 
環境省「今後は厳密に判断」
産経新聞 201356
 東日本大震災で発生したがれきの広域処理をめぐり、受け入れを「検討」しただけで復興予算から7都道府県の10団体に総額約107億円の交付金を支出していたとして、環境省は今後、同様の災害が発生した場合は原則として検討だけでは支出しない方針を決めた。同省は「がれきを実際に受け入れた団体を支援すべきだった」と問題点を認めている。
 
 環境省によると、岩手、宮城両県のがれきについて同省は来年3月までの処理完了を目標に、県外での広域処理が必要と判断。震災翌月の平成23年4月から全国の自治体に受け入れ打診を続けた。だが、放射性物質の汚染を不安視する住民が反発し消極的な自治体が続出。同省は昨年3月、受け入れの検討段階でも、交付条件に当てはまればごみ焼却場などの建設費や改修費を交付することにした。
 
 当初は広域処理の必要量を約401万トンと見積もったが、両県での処理が進んだため同省は昨年8月、約169万トンへ下方修正。同時に自治体などに「受け入れが不要になった」と通知した。その時点で10団体は受け入れ候補となっており、同省は「国の都合で候補から外された」としてそのまま支出したという。
 23、24年度の復興予算から支出されたのは、環境省分だけで東京都三鷹、調布両市でつくる「ふじみ衛生組合」へ約22億円、埼玉県川口市へ約18億円など、7都道府県の10団体で計107億7897万円。
 堺市には、4月から稼働を始めたごみ焼却場の建設などのために、総務省分と合わせ約86億円が交付された。ところが、実際にはがれきを受け入れなかったため市民らから「道義的におかしい」と疑問が噴出。竹山修身市長の「ありがたくいただきたい」との発言が批判に拍車をかけた。苦情のメールや電話は約630件に上り、市は急遽(きゅうきょ)、被災地の復興支援のためとして5億円の基金創設を決めた。
 市の担当者は「被災地の物産を当市で販売したり、子育てへの何らかの支援を検討している」と話す。
 
 環境省は「原発事故の影響で広域処理が進まなかったことから、受け入れを進める奨励策的な施策だったが、復興予算への一般のご理解をいただくためにも、できるだけ厳密に考えるべきだった」と釈明。「今後は受け入れの見通しをしっかり立てた上で交付するなど、執行に当たっては十分に注意する」としている。
 ■震災がれきの処理 岩手、宮城、福島3県で発生した災害廃棄物(震災がれき)は推計約1630万トン(環境省まとめ)。2月末時点で岩手は44%、宮城は56%、福島は35%の処理を終えた。被災地以外の自治体が広域処理する必要量は最終的に約70万トンにまで減り、民間事業者を含め15都府県の66団体が約65万トンの受け入れを決めた。このうち3月22日時点で約28万トンが実際に受け入れられた。