2013年6月26日水曜日

「原発事故子ども・被災者支援法」の放置は許されない

 国は「特定避難勧奨地点」の指定条件をなんと年間線量20ミリシーベルト(放射能管理区域の約4倍、チェルノブイリでの避難限界のやはり4倍)にするという非常識なことを定めていますが、「原発事故子ども・被災者支援法」は、国の基準を下回っても一定の線量以上の放射線被ばくが予想される地域を「支援対象地域」と定め、そこからの避難、居住、帰還といった選択を、被災者が自らの意思によって行うことができるよう、国が責任をもって支援しなければならないと定めた法律です。

 もともと議員立法だった類似の2つの法案を参院で統合して全会一致で可決し、次いで衆院でも全会一致で可決して24年6月23日に成立させました。その時点でも勿論遅きに失していたのですが、毎日を生きなければならない被災者たちには今日明日にも必要なのに、成立してから既に1年が経過したにもかかわらず全く具体化が進んでいません
       2013年3月20日原発被災支援法の早急な施行を

 これほど長きわたる不作為は意識的なサボタージュによるとしか考えられません。
 安倍首相は就任直後には口を開きさえすれば「被災者の救援と復興が喫緊の課題」と叫んでいました。いまそれはどうなって、一体何を考えているのでしょうか。
 「原発事故子ども・被災者支援法」の1年間にわたる不作為・放置は絶対に許されないことです。

「原発事故子ども被災者支援法市民会議」が抗議の声明を出しましたので掲示します。
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【声明】 政府による1年間にわたる不作為に抗議し 原発事故子ども・被災者支援法に基づく基本方針の速やかな策定を求める声明

原発事故子ども・被災者支援法の成立から、本日で1年になりました。 

支援法は、福島第一原発事故後、広範な放射能汚染が続く中、被災者自身が避難するか居住を継続するか選択できるよう必要な支援を行うことを定めています
放射線の影響を懸念する被災者は、支援法に基づく支援策が充実することで、被ばくを避ける権利が確立される一助になると期待しました。 

しかし、成立から1年を経たにもかかわらず、支援法に基づく基本方針はいまだに策定されていません。私たちは、日本の国内法令や国際的な勧告に基づき、少なくとも追加被ばく線量1mSv以上の区域を支援対象区域とすること、被災当事者や支援者との常設の協議機関を設けることなどを要請し続けてきましたが、いまだに回答はなく、すべてが曖昧なままにされています。 

区域外避難者への施策も、高速道路無料化措置が復活した以外には、何も進展がありません。福島県外の被災者への健康診断の実施や、子ども・妊婦の医療費の減免措置も実現していません。保養・移動教室のための予算はごくわずかにとどまります。 

そしてなによりも、政府は、被災者からの意見を集約し反映させるための措置を何ら採っていません。これは、明らかに支援法の規定に反するものです。 

民間借り上げ住宅の新規適用は打ち切られ、新規避難は極めて困難になりました。
乏しい支援の中、避難者の経済的・精神的苦境はより深まっています。いまだ汚染地域に住む被災者は、被ばく回避や保養、そして県外に避難した家族とのつながりを維持するための往復など、多くの出費を強いられています。また民間の善意からなる全国的な避難者支援・保養プログラム支援の取り組みも、資金面や人材面での苦境に立たされています。 

支援法に基づく基本方針に被災者の声を反映させ、具体的な支援策の実現を目指してきた私たちは、ここに、政府に対し、1年間にわたり支援法の条文を無視した不作為に対して強く抗議し、直ちに被災者の意見反映のために公聴会等を開催し、速やかに基本方針を策定するよう、改めて求めます。

2013年6月23日
原発事故子ども被災者支援法市民会議
<運営団体> (57の団体名は省略)
      連絡先(事務局):福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)  
国際環境NGO FoE Japan Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219