2013年6月27日木曜日

個人株主から「脱原発」の提案相次ぐ 電力9社の株主総会

 26日に原発を保有する全国の電力社が一斉に株主総会を開きました
 その中で東電関西電力や中部電力などの個人株主たちは「原発の再稼動禁止・廃炉」などを提案しました。
 しかし電力各社は原子力規制委の新規制基準が日に施行されることを控え再稼働の申請を予定し、中でも北海道、関西、四国、九州の四電力は火力発電の費用がかさみ経営が厳しくなっているとして、早期の原発再稼働に意欲を示しています。

 しかし高市自民政調会長がウッカリ?と口にしたとおり、いまや原発のコストが安いという言い方は明らかな“ごまかし”であり通用しません。それにもかかわらず敢えて「経営が厳しいから原発再稼働したい」と主張するのは、当面電力会社が救われるためには原発の安全性などは問題外だと述べるのにも等しいことと言えます。注目の中部電力の浜岡原発すら再稼動させたいとするに至ってはその感を強くします
 
 ただ万一再び大事故が起きた際には、今度は「想定外」と言う代わりに、「規制委が安全だと言ったのだから何も疑わなかった」と言うことでしょう。今後はそれが世に通用する訳で、規制委の審査にはそれだけの重みが加わります。

 そんな折、自民党の原発再稼動を目指す議員連盟は25日、「規制委が安全性を確認した原発については、政府の責任で早期に再稼働させる」よう求める中間提言をまとめました。そして規制委対する国会の監督強化掲げました

   ※ 自民議連 安全な原発は早期再稼働を」 (NHKニュース 25日)
      自民議連 規制委へ監督強化を」 (東京新聞 25日)

 イタリアの国立災難予測・対策委員会に所属していた科学者6人たちが、「09年のラクイラ大地震を予知できずに309人を死亡させた」として、懲役6年を言い渡されたのはまだ記憶に新しいところです。この際原子力規制委は自らが置かれている防波堤としての立場を十分に自覚し、イタリアのその組織とは比べものにならない責任を帯びていることを自覚すべきです。

 以下に電力会社の株主総会のニュースを紹介します。
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「脱原発」提案相次ぐ 電力9社 株主総会
東京新聞 2013年6月26日
 原発を持たない沖縄電力を除く全国の電力九社が二十六日、一斉に株主総会を開いた。東京電力の株主総会では、福島第一原発事故を受けて三百四十八人の個人株主が福島第二原発や柏崎刈羽原発(新潟県)の廃炉などを提案した。関西電力や中部電力などでも、脱原発を求める提案が相次いだ。 
 原発について、電力各社は原子力規制委員会の新規制基準が七月八日に施行されることを控え、再稼働の申請を予定している。中でも、北海道、関西、四国、九州の四電力は火力発電の費用がかさみ経営が厳しくなっているとし、早期の原発再稼働に意欲を示している。
 原発の廃炉を求める株主提案は、昨年の各社の株主総会でも出ていたが、否決された。各社の取締役会は、株主提案に反対する構えを見せており、今年も否決される可能性が高い。
 東電の株主総会は午前十時から、東京都渋谷区の国立代々木競技場第一体育館で開かれた。公的資金一兆円の資本注入による実質国有化後、初めてとなる株主総会で、会社側は下河辺和彦会長ら社外取締役の留任をはじめとした役員人事案のみを提案した。
 株主提案は過去最多の十五議案に上り、東電株の1・2%を持つ東京都が発電所の個別収支を開示して経営の透明性を確保するよう求めた。個人株主は原発廃炉のほか、役員報酬の減額や総会の公開などを提案した。ただ、東電はすべての株主提案に反対する考え。株式の過半数を持つ国も東電に同調しており、提案は否決される見通しになっている。
 総会の冒頭で、議長を務めた下河辺会長は「福島の復興こそが再生の原点」とし、「事故の責任を全うし、世界最高水準の安全確保と、競争の下で安定供給をやり抜くという新たな使命を果たしつつ、一日も早く経営を立て直す」と述べた。
 総会には、正午現在、二千十三人の株主が出席した。昨年の最終的な株主の出席数は四千四百七十一人だった。

中部電株主総会:会社側は浜岡原発再稼働に意欲
毎日新聞 2013年06月26日
 中部電力の株主総会は26日、名古屋市東区で開かれ、会社側は浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働に意欲を示し、株主に理解を求めた。一部の株主からは原発からの撤退を求める「脱原発」議案が提出されたが、否決される見通しだ。
 総会には昨年より564人少ない1449人が出席した。会社側は浜岡原発停止による火力燃料費の増加で厳しさを増す経営状況を説明。水野明久社長は「エネルギー資源の乏しい我が国では安全対策を徹底した上で原子力を活用することが不可欠」と強調した。
 一部の株主から、原発からの撤退▽廃炉や使用済み核燃料の管理貯蔵を進める委員会の設置▽日本原子力発電への出資や債務保証の禁止−−など7議案が出されたが、いずれも取締役会が既に反対意見を表明している。
 中部電は浜岡原発の津波対策などの工事を2015年3月までに終え、その後の再稼働を目指している。【和田憲二】

電力各社、原発再稼働に意欲 株主総会で撤退否決 
日経新聞  2013年06月26日
 沖縄電力を除く電力9社は26日、定時株主総会を開いた。原子力発電所の新規制基準の施行が7月8日に迫る中、関西電力や九州電力などは収支改善に向けて原発の早期再稼働に取り組む姿勢を改めて強調した。株主からは原発からの撤退を求める議案が相次ぎ提出されたが、いずれも否決された。
 関電は神戸市内で開いた総会で、高浜原発(福井県)の3、4号機と大飯原発(同)の3、4号機を念頭に再稼働に取り組む意向を強調。八木誠社長は総会後の記者会見で「安全性が確認された原発は速やかに再稼働させたい」と従来の主張を繰り返した。
 四国電力の総会では千葉昭社長が「地域の皆様の理解を頂きながら早期再稼働を目指す」と明言。九州電力の総会では山元春義副社長が玄海原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)の再稼働に関して「速やかに申請できるように進めている」と述べた。
 中部電力の総会でも水野明久社長が停止中の浜岡原発(静岡県)について「安定的なエネルギーの確保のため、引き続き重要な電源として活用することが不可欠。新規制基準への対応など必要な対策を速やかに実施する」と述べた。
 再稼働に理解を求める電力各社に対し、自治体などの株主からは原発政策を問う声も上がった。関電に出資する兵庫県の井戸敏三知事は「関電は原発への依存度が他社に比べて高い。依存度を引き下げる方針を明示すべきだ」と要求。中部電の総会では株主の一部から原発からの撤退などを求める「反原発」の株主提案7件が提案されたが、いずれも反対多数で否決された。