2013年6月19日水曜日

現実的な原発事故避難計画は立てられるのか

 福井県が若狭湾沿岸の原発群で重大事故が起きた際の避難先として、兵庫、奈良、石川の3県と合意したことが明らかになりました。福井県は、昨年6月に避難先を県内に限定した住民避難計画を策定しましたが、原発群のある嶺南地域は東西に細長いため「県外避難が現実的」との声がありました。
 それを受けて昨年末から関係の県との協議を独自に進め合意に至りました。同県は「緊急防護措置区域(UPZ)」を原発から30キロ圏と定め、それに沿って来月には県原子力防災計画を改定する方針ということです

 それにつけても昨年6月立案した住民避難計画でも最大の課題とされたのは、「移動手段(バス+運転手)の確保」でした。そのときは膨大な台数のバスの確保と危険地帯に入って行かなくてはならない運転手の確保の見通しがないということでした。その困難さは避難先の確保とは別でそのまま残っています。果たして解決する方法はあるのでしょうか。   
      ※ 2013年4月2日 「逃げる手段がない」 原発事故 避難計画が立たない 」
 もともと原発は危険な施設であるがために、たとえば東電の例ではわざわざ東京から遠く離れた福島や柏崎刈羽に設置され、関西電力の例ではいわゆる関西の経済圏とは反対側の若狭湾沿岸に集中して立地されました。
 
 重大事故時に合理的な避難計画が立てられないにも係わらず、原発の運転限度を延長したり再稼動に傾くなどはあってはならないことです。
 
 むしろ現実性の高い避難計画を模索するなかで、日本に原発を作ったことの「非」が改めてクローズアップされるのではないでしょうか。
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原発事故の避難先に兵庫、奈良など 福井県が3県と合意 
福井新聞 2013年6月19日
 嶺南地域の原発で重大事故が起きた場合に、住民の避難を受け入れてもらうことで福井県が兵庫、奈良、石川の3県と合意したことが18日明らかになった。これまで決めていなかった防災対策の重点地域「緊急防護措置区域(UPZ)」を原発から30キロ圏と定め、避難計画の対象外だった嶺北の5市町も県内外に避難先を設ける。来月には県原子力防災計画を改定する方針。西川一誠知事が同日開会した県会の提案理由で説明した。

 東京電力福島第1原発事故を受け、国はUPZを原発30キロ圏としていたが、県は原発に近い地域の住民避難計画の策定を重視。昨年6月、原発立地、隣接7市町の避難先を県内に定める計画を取りまとめた。
 ただ、嶺南地域は東西に細長い特徴があり、住民や首長には「県外避難が現実的」との声も強かった。このため県は昨年末、原子力規制庁と滋賀、京都、岐阜3府県で協議会を立ち上げ、広域避難の議論を開始。関西、中部などで30キロ圏に入らない県との協議も独自に進めていた。

 県外の避難先は幹線道路の整備状況などを踏まえ、嶺南西部の若狭、小浜、おおい、高浜の4市町が兵庫県、敦賀市が奈良県。美浜町は、県内避難を求めている山口治太郎町長の意向を尊重して大野市とした。
 30キロ圏にかかる福井市、鯖江市、越前市、池田町、越前町については、県内でも30キロ圏外になる福井市、坂井市、あわら市、大野市、勝山市と石川県に避難先を確保する。
 嶺南6市町は県内外に方角の異なる複数の避難先が確保され、実際に事故が起きた場合、県は状況に応じて柔軟に住民を避難誘導することができる。隣接する京都府と滋賀県への避難を求める意見も根強いが、県は両府県は一部が30キロ圏に入ることを考慮し、想定から外した。
 兵庫、奈良、石川県は受け入れる市町の選定を進めており、今後は避難ルート・手段の確保などが課題になる。西川知事は記者団に対し、住民避難の具体的な訓練が重要と説明した上で「さまざま事態に備えていく」と述べた。

原発30キロメートル圏住民の福井県外避難先