2013年7月26日金曜日

川俣町が全児童・園児の年間被曝量を公表

 福島県川俣町(飯舘村の南西に隣接)教委は、町内の教育施設の除染を11年度、12年度と続け、全小中学生と幼稚園児たち(合わせて1427人)にはガラスバッジ(小型積算線量計)をつけて、年間の積算被曝量を測定しています。
 2012年度の測定結果は平均で年間0.65ミリシーベルトで、前年よりも0.49ミリシーベルト減少しました。教委では毎年教育施設の除染を実施した成果としています。

 また幼稚園児の平均値に比べ、より施設での滞在時間が長い保育園児の平均が0.19ミリシーベルト少なかったことから、除染されていない家庭での滞在時間の長さで積算被ばく線量が高くなる可能性があるとして、早急住宅除染する必要があることが分かりました。
 これは幼児の健康のためにも、速やかに住宅地が除染される必要があることを示す貴重なデータです。
 除染は国が作業手順を確立したのちは利権団体などに任すのではなくて、本来 十分な予算の配分のもとに各地方自治体で実施すべきものといわれています。

 一方被曝から2年あまりが経過したので、半減期が2年以下の短い放射能線源による初期の急激な線量の減少過程はほぼ終了し、これからはゆっくりとした減少過程に入ることが東京新聞の調べで分かりました。
 川俣町の11→12年度の線量の減少には、除染に加えてこの初期減少も影響しているものと思われます。

 以下に福島民友ニュースと東京新聞の記事を紹介します。
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前年度比0.49ミリシーベルト減少 ガラスバッジ被ばく線量
福島民友ニュース 2013年7月25日
 川俣町教委は24日、町内の全小中学生、幼稚園児らを対象にした小型線量計(ガラスバッジ)による積算被ばく線量の2012(平成24)年度の測定結果を発表した。測定した1427人の平均値は年間0.65ミリシーベルトで、初めて測定した11年度の平均値と比べ0.49ミリシーベルト(57%)減少した。大部分が同1ミリシーベルト未満だった。測定した近畿大は「身体に放射線の影響が心配される幼児、児童生徒は一人もいない」との見解を示した。
 町教委は、町内教育施設の除染を11年度に続き12年度にも実施しており、線量低減対策の効果が示されたとした。ただ、幼稚園児の平均が0.76ミリシーベルトだったのに対し、より施設での滞在時間が長い保育園児の平均が0.57ミリシーベルトだったことから、除染されていない家庭での滞在時間の長さで積算被ばく線量が高くなる可能性があるとして、早急な住宅除染の実施が必要としている。
 このため、年間1.5ミリシーベルト以上の比較的高い数値を示した児童、生徒については家庭の協力を得て、通学路や家庭周辺、住居内などの放射線を測定し、調査を進めるという。

放射線量の減り方 鈍化 半減期短い物質減少 30年のセシウム残存
東京新聞 2013年7月25日
 東京電力福島第一原発事故から二年以上がたち、これまで順調に下がってきた放射線量が、最近では低減のスピードが鈍化してきたことが二十四日、原子力規制委員会によるモニタリング調査で分かった。半減期の短い放射性物質の線量が下がった後は、主役は半減期の長い物質となり、線量が下がりにくい。予想を実際のデータが裏付けた形で、国は除染や住民の帰還を進める上で、十分考慮する必要がある。

 規制委の調査は、福島第一から八十キロ圏内の道路を、線量計と記録装置を積んだ車で走り、事故発生から三カ月後の二〇一一年六月以降、五回に分けて約六千百カ所のデータを記録・分析した。
 線量の平均値を見ると、事故から三カ月後には毎時〇・七三マイクロシーベルトあったのが、一年後には六割程度に下がり、一年半後には〇・三二マイクロシーベルトと半分以下へと急速に下がった。
 ところが、最新の昨年十一、十二月のデータは〇・二八マイクロシーベルト。年間にすると、一般人の被ばく限度の一ミリシーベルトを超える値となる。グラフ化すると、明らかに下げのスピードが鈍っている。
 これまでは、半減期が短い放射性ヨウ素(約八日)や、セシウム134(約二年)の放つ放射線がどんどん減ってきた。しかし、この後は半減期が三十年と長いセシウム137などの影響が残り、やがて下げのカーブは、ほとんど水平に近くなって高止まりが続くと予想される。
 一方、土地の利用形態と線量との関係は、市街地や河川の近くは早く線量が下がるが、特に常緑樹が多い地域ではなかなか下がらないという結果だった。
 地形との関係では、山頂付近や高台などは下がりやすいが、山のふもとやくぼ地は下がりにくかった。
 国は二十キロ圏内を中心に、除染を進めている。調査データは、今後、明確な戦略を立てて除染を進めないと、莫大(ばくだい)な費用がかかることも示している。

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