2013年7月26日金曜日

除染事業で利権構造が明確化

 東京新聞の調査で、本格的な地域の除染事業においても、国直轄の除染事業で先行の除染モデル事業を受注したゼネコンが、ほぼ競争で契約している実態が明らかになりました。予定価格に対する落札額の割合(落札率)も95~99%と高止まりしています。
 
 日本原子力研究開発機構が除染の担当組織になった時点から、原子力村のメンバーで除染事業が独占されることは見通されていましたが、その実態が明らかになりました。

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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モデル事業 受注のゼネコン 除染本契約 競争なく
東京新聞 2013年7月26日
 東京電力福島第一原発事故に伴う国直轄の除染事業で、先行の除染モデル事業を受注したゼネコンが、後にほぼ競争がないまま本格的な除染事業を受注する契約が相次いでいる。本紙の調査では、既に発注された八市町村分の事業のうち六市町村がこうしたケースだった。予定価格に対する落札額の割合(落札率)も95%以上と高止まりしている。 (大野孝志)
 
 国が主体となって除染を進める地域で、本格的な除染事業の契約は八市町村分で終わり、住民の同意取得が遅れた富岡町では八月に入札が予定されている。放射線量が高い浪江、双葉両町は検討中だ。
 除染の効果を確かめるためのモデル事業は、内閣府が日本原子力研究開発機構に委託、原研が随意契約でゼネコン各社に再委託した。本紙は、このモデル事業や、環境省が発注した本格的な除染事業について八市町村での入札結果を調べた。
 
 その結果、南相馬市、川俣町、飯舘村、大熊町では、モデル事業を受注した大成建設、清水建設と大林組の共同企業体(JV)が本格除染も受注。いずれも大きな仕事なのに、他に入札者はいなかった。大成建設は常磐自動車道でも、同様に再び受注していた。
 田村市と川内村でも、それぞれ鹿島と大林組が再受注し、入札したのは二社だった。
 モデル事業を手掛けたかどうかは、本格除染を受注するための条件ではない。他社より多少現場を知っている可能性があるだけなのに、不自然な結果になっている。
 このほか、葛尾村の除染は五百億円超の仕事だが、入札者は一社だけだった。
 
 環境省は、実質的にほぼ競争がないまま受注業者を選んでも、法令上は問題がなく、入札は適正だったとしている。ただし落札率はいずれも95~99%と高止まりの状態だった。
 大成、鹿島、大林の三社は取材に「適正な手続きで契約した」とだけ答えた。
 
 除染をめぐっては、国の除染区域の外側で自治体が発注した事業でも、発注先が大手ゼネコンに集中し、ゼネコンへの丸投げに近い問題が指摘されてきた。

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