2013年8月21日水曜日

原発・放射能ニュース 2013.8.21~25

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8.25

「旧保安院が開口承認」 排水弁運用で東電が謝罪 福島民友ニュース)
 東京電力の相沢善吾副社長・原子力・立地本部長は24日、県庁で内堀雅雄副知事に会い、高濃度汚染水が漏れた地上タンク群を囲むコンクリート堰(せき)で排水弁を全て開けていた運用について「間違い」と認め、謝罪する一方、旧原子力安全・保安院の承認を受けていた経緯も明らかにした。
  東電、旧保安院が堰の役割を十分認識して運用していれば外部漏出は最小限に抑えられた可能性が高い。
  相沢副社長は「(人員確保のため)現場の判断があった。(弁を)閉めていると雨が降るたびに水を出しにいかなければならない」と述べた。
  タンクの見回りは8人の作業員で1日2回だったが、人員不足を背景に作業員の負担軽減のため開けていた可能性がある。
  今後、人員増強など具体策を詰めるとしている。

汚染水流出、全面調査を 福島で日本科学者会議シンポ  福島民友ニュース)
 日本科学者会議が主催する原子力発電問題全国シンポジウムin福島「福島原発事故・災害―2年半後の現実と打開の展望」は24日、福島市の福島大で2日間の日程で始まり、東京電力福島第1原発の汚染水問題や県民健康管理調査をめぐり意見が交わされた。
  約150人が出席。シンポジウムでは専門家がそれぞれ発表を行った。元電力中央研究所主任研究員の本島勲さんは汚染水問題について「全面的、計画的な汚染水の海洋流出調査を行うべきだ」などと意見。「国は廃炉作業をしっかり進めていく体制の裏付けとなる法律を整備すべきだ」とも述べた。野口邦和日大准教授は県民健康管理調査について「問診票の回答率を上げる努力が必要だ」と意見した。発表を受け会場の出席者を交えた討論も行われた。
  25日は「除染と廃棄物処分」「脱原発への道」をテーマとした二つの分科会を開く。

タンク300基交換検討 第一原発の汚染水漏れ 東電が耐久性高いタイプに (福島民報)
 東京電力福島第一原発の地上タンクから汚染水が外洋に流れ出ている可能性が高まった問題で、東電の相沢善吾副社長は24日、漏えいがあったタンクと同型の約300基を交換することや汚染水監視組織の強化を検討していることを明らかにした。汚染水漏れが相次ぐ、接ぎ目をボルトで締めるタンクを溶接タイプに切り替えることが想定される。同日、県庁に内堀雅雄副知事を訪ね、汚染水漏れの経緯などを説明した。
 相沢副社長は内堀副知事との面会後、記者団の取材に対し、「(汚染水が漏れた同型の)タンクのリプレース(交換)計画を現在検討している」と述べた。 
 同原発には、これまで汚染水漏れが確認された、部材をボルトで接合するタイプのタンクが約300基ある。これらのタンク内の汚染水を別なタンクに移送した後、耐久性が高いとされる溶接タイプを新設することや、現在のタンクに漏えい防止措置を取ることなどが想定される。 
 実施時期について、相沢副社長は「いつとは言えないが、できるだけ早い時期に示したい」と述べた。
 
菅元首相や班目元委員長ら不起訴へ…原発事故 (東京新聞)
 東京電力福島第一原発事故を巡り、検察当局は、業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発されている当時の東電幹部や政府関係者ら約40人全員を、近く不起訴とすることを決めた。
 津波と事故の発生を事前に予測し、対策を施すのは困難だったと判断した。ただ、告訴人らは検察審査会に審査を申し立てる方針で、強制起訴すべきかどうか、市民が判断することになる。
 被災者らに告訴・告発されていたのは、勝俣恒久前会長(73)ら東電幹部、班目まだらめ春樹・元内閣府原子力安全委員長(65)、菅直人元首相(66)ら政府関係者の約40人。2011年3月に起きた原発の炉心溶融と水素爆発では、作業員ら16人が負傷したほか、住民が被曝ひばくした。また、避難を余儀なくされた入院患者が死亡するなどしている。捜査では、〈1〉約15メートルの津波を予測できたか〈2〉震災後の対応に問題はなかったか―の2点が焦点だった。

8.24

漏出タンク、以前に解体=地盤沈下で移転、再利用-福島第1 (時事通信)
電力福島第1原発の貯蔵タンクから高濃度汚染水が漏れた問題で、東電は24日、漏れたタンクを含む3基が別のエリアにいったん設置された後、地盤沈下が起きたため解体され、現在の場所に移設されたと発表した。移設時に水漏れがないか試験を行っており、今回の漏出と再利用に因果関係があるかは不明という。
 東電によると、漏れたタンク以外の2基は漏えいが確認されていないが、25日から別のタンクに汚染水を移送する。
 東電は2011年6月から同型のタンクを設置。今回漏出したタンクを含む3基は「H1」と呼ばれる区画に設置されたが、水張り試験中の同7月に基礎部のコンクリートが約20センチ沈下したため、使用を中止してタンクを解体した。
 その後、元受け会社からタンクに影響はないと報告を受け、同年9月から設置が始まった「H4」区画で3基を再利用。水張り試験などで異常が見つからなかったため、同年10月30日から汚染水の保管を開始した。
 東電は今月19日の汚染水漏れ発覚後、タンクの使用履歴を調査し、3基がH1区画で利用した実績があることを確認。他に解体、再利用したタンクはないという。

捕獲のシカから1000ベクレル イノシシと合わせ 7検体が基準値超え (東京新聞)
 (福島)県が実施した野生鳥獣の放射性物質モニタリング調査で、宇都宮、大田原、日光、市貝、塩谷の五市町で捕獲されたシカとイノシシの計七検体から、国の一般食品の基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出された。
 県の発表によると、六~七月にかけて県内十四市町で捕獲したシカ六検体、イノシシ十三検体、カルガモ二検体の計二十一検体を今月二十二、二十三の両日に測定。最高値は日光市で六月三十日に捕獲されたシカで、一〇〇〇ベクレルあった。ほかにシカ二検体とイノシシ四検体から一六〇~二八〇ベクレルが検出された。
 県は「捕獲場所周辺での野生鳥獣の自家消費は控えて」と注意を呼びかけている。

汚染水対策打ち出せず 政府、漏えい原因不明で (福島民報)
 東京電力福島第一原発の地上タンクから汚染水が外洋に流れ出ている可能性が高まった問題で、政府は23日、汚染水処理対策委員会を開き、専門家や技術者らと議論したが抜本的な対策は打ち出せなかった。経済産業省は、タンクから汚染水の漏れた原因が特定できていないためと説明している。漏えい対策は喫緊の課題で、福島県は「一刻も早く具体的な対策を示すべき」と批判している。
 委員会は冒頭を除き非公開だった。経産省によると、東電が汚染水の漏えい状況や、被害拡大防止のための対応状況などを説明した。しかし、漏えい箇所については「タンク底部の可能性がある」としただけで新たな報告はなかった。
 このため、委員からは「タンクの信頼性を向上させるため、接ぎ目にコーティング材を使ってはどうか」「高濃度汚染水を減らす多核種除去設備(ALPS)の早期復旧や増強を検討するべきだ」などの意見が出るのにとどまった。

福島第一 排水溝から高濃度ストロンチウム タンク汚染水 外洋流出  (東京新聞)
 東京電力福島第一原発の地上タンクから、原子炉を冷やした後の処理水三百トンが漏れた問題で、東電は二十三日、外洋につながる排水溝に沿い、高い濃度の放射性ストロンチウムなどを含む水が確認されたと発表した。処理水がそのまま外洋に流れ出ていたことが確実になった。
 東電は二十二日、問題のタンク群近くの排水溝で採取。分析した結果、タンクより上流では放射性セシウム、放射性ストロンチウムとも濃度比のばらつきはあまりなく、濃度も一リットル当たり数十ベクレル程度と比較的低かった。
 しかし、処理水が溝に流れ込んだとみられている地点から下流側では、セシウム濃度はほとんど検出されなかったのに対し、ストロンチウムは一リットル当たり二〇〇~五八〇ベクレルと高い値で検出された。

8.23

地下水バイパス容認示唆 相双漁協、試験操業は中断 福島民友ニュース)
 東京電力福島第1原発の一連の汚染水海洋流出問題で、相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は22日、「地下水を海に流さなければ、汚染水がたまる一方なのは分かる」と述べ、構内に流入する地下水をくみ上げて海に流す地下水バイパスの稼働を容認する可能性を示唆した。
  佐藤組合長は「国や東電が風評被害対策をしっかりしないままでは認められない。十分な風評被害対策が必要」として国、東電に対応を求めるとした。ただ、地上タンクから漏れた高濃度汚染水が地下水と混ざる可能性があり、同漁協の判断の行方は不透明だ。
  同漁協は同日、会議を開き、昨年6月から続けてきた試験操業を当面見送ることを決めた。9月1日から再開を予定した沖合底引き網漁と小型船のシラス漁は実施を見送る。本県沿岸漁業は再び全面休漁となる。

汚染水 別のタンクも漏れか 2基底部で高線量 (東京新聞)
 東京電力福島第一原発のタンクから処理水三百トンが漏れた問題で、東電は二十二日、同じボルト締め型の別のタンク二基の底部近くで、漏れた可能性がある痕跡があったと発表した。 
 東電は漏えい事故を受けて、敷地内にある三百五十基の同型のタンクの点検に着手。その結果、事故が起きたタンクの北西約五十メートルにある別のタンク群のうち、二基の底部付近で毎時七〇~一〇〇ミリシーベルトと通常値とは明らかに異なる放射線量を計測した。毎時一〇〇ミリシーベルトは、一時間この場所にいると、がんの発生リスクが明らかに上昇する値。
 ただ、二基とも周囲に水たまりは見つかっておらず、タンク内の水位低下もなかったという。
 この型のタンクは、側面だけでなく、底板や、底板と側面も全てボルトでつなぎ合わせるタイプ。一週間で組み立てができるため、数カ月かかる溶接型タンクより重宝がられてきた。
 しかし、特に底部付近には水圧がかかるため、漏れる可能性が高くなる。漏れは少なくとも、継ぎ目からしみ出して、高線量を放っている可能性がある。

8.22

原発汚染水で福島沖試験操業中止 9月から、地元漁協決定 (東京新聞)
 東京電力福島第1原発事故による汚染水問題が深刻化していることを受け、福島県相馬市の相馬双葉漁業協同組合は22日、昨年6月から続けている試験操業の実施を9月1日から当面見送ると決定した。
 県南部のいわき市漁協は既に、9月から始める予定だった事故後初の試験操業の延期を決めている。県北部の相馬双葉漁協も見送ることで、福島県沖の漁業は中断することになる。
 相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は「現状では消費者の理解を得られない。一日も早くこの状況を打開するために、国は対策を講じてほしい」と述べた。
 再開時期は未定。(共同)

「支援法放置」は違法と国を提訴 福島の住民ら、東京地裁に (東京新聞)
 東京電力福島第1原発事故を受けた「子ども・被災者支援法」が成立してから1年2カ月がたつのに基本方針を定めず放置しているのは違法として、福島県の住民や県外への自主避難者ら19人が22日、国を相手取り東京地裁に提訴した。
 原告が支援法の対象になることの確認を求めるのが訴訟の目的で、損害賠償の請求額は1人当たり1円とした。原告弁護団の福田健治弁護士は提訴後の記者会見で「担当の復興庁は意図的にたなざらしにしている」と批判した。(共同)

別のタンクからの漏出か 新たに“高い線量”を測定 (TBS)
 福島第一原発でタンクから汚染水が漏れた問題で、東京電力は22日、総点検を実施したところ、別のエリアのタンク周辺で非常に高い放射線量が測定されたと発表しました。
 測定された場所は2か所で、それぞれ1時間あたり100ミリシーベルト、70ミリシーベルトだということです。水溜りなどは確認されておらず、タンク内の水位にも変化はないということですが、東京電力は、汚染水が漏れていた可能性も含めて調べています。

福島第1原発:汚染水 「海に流出の可能性」…東電 (毎日新聞)
ストロンチウム、基準の100倍 事故後2年間で流出 (東京新聞)
(22日付「東電 ようやく副社長が福島で陣頭指揮」記事本文参照)

8.21

東電 原子力部門のトップ福島常駐に (NHK)
(22日付「東電 ようやく副社長が福島で陣頭指揮」記事本文参照)

トリチウム汚染水、放出検討も=「トータルとして考える」-田中規制委員長 (時事通信)
 東京電力福島第1原発で放射能汚染水が増加し続けている問題で、原子力規制委員会の田中俊一委員長は21日の定例会見で、トリチウム汚染水の海洋放出について「そういうことも含めて、トータルとしていろんなことを考えないといけない」と述べた。
 同原発では、タービン建屋などからくみ上げた汚染水のセシウム濃度を減らした上でタンクに保管している。汚染水に高い濃度で含まれるストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質は「多核種除去装置(アルプス)」を使って大幅に除去できるとされるが、トリチウムを減らすことはできない。汚染水は約33万トンに達し、今後も増え続けると見込まれている。
 規制委は現時点で、トリチウム汚染水を海洋放出しないことを前提とした東電の計画を認可しているが、田中委員長はこうした汚染水の現状を踏まえ、放出の可能性に含みを残したとみられる。
 田中委員長はまた、同原発の状況を「お化け屋敷みたいに次から次へといろんなことが起こる」と表現。規制委の監視態勢の問題を指摘されると、「全ての責任を(規制委に)持ってこられても限界がある」と語った。

福島の酪農家自殺、東電争う姿勢 原発事故「因果関係ない」 (東京新聞)
 東京電力福島第1原発事故で将来を悲観して自殺した福島県相馬市の酪農家菅野重清さん=当時(54)=の妻バネッサ・アボルドさん(35)ら遺族が、東電に約1億2600万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、東京地裁であり、東電側は「事故と自殺との因果関係は認められない」と主張し、請求棄却を求めた。訴状によると、菅野さんは乳牛約40頭を飼育していたが、事故で原乳が出荷停止になった後、大半を手放した。フィリピン国籍のバネッサさんが息子2人と一時帰国していた2011年6月、牧場の小屋で自殺した。壁に「原発さえなければ」などと書き残していた。

規制委、海洋流出の影響検討へ 来月6日に初会合 (東京新聞)
 東京電力福島第1原発の汚染水が海に流出している問題で、原子力規制委員会は21日、汚染水による海への影響について議論する検討会を設置することを決めた。9月6日に初会合を開く。水と性質が似ており、放射性物質の除去設備では取り除くことができないトリチウムが魚介類に与える影響を主な議題とする。
 会合には外部専門家として国立環境研究所や日本原子力研究開発機構の研究者ら計5人が参加。オブザーバーとして福島県の担当者も加わる。規制委の中村佳代子委員は「漁業の風評被害や海外の誤解がないよう信頼できるデータを提供していきたい」と話した。(共同)

漁業者憤り「信用できぬ」 タンク汚染水漏れ300トン (福島民友ニュース)
 福島第1原発の地上タンクから約300トンの汚染水が漏えいしたとの見解を示した東京電力は20日、いわき市で同市の漁業者を対象に国とともに一連の汚染水問題の説明会を開いた。汚染水対策について説明したが、漁業者からは「信用できるのか」と冷ややかな声が相次いだ。汚染水のトラブルが続いていることもあり、国と東電の説明は説得力を欠いたものとなった。
  東電の新妻常正常務執行役員は説明会の冒頭、「ご迷惑をお掛けしていることをおわびしたい」と陳謝した。「汚染水問題解決に向け、全力で取り組む」と強調し、国の担当者は「国も責任を持って対応する」と話した。東電は、汚染水になる前の地下水を海に放出する地下水バイパス計画を「有効な手段と考える」と従来の主張を展開。同計画は、本県漁業者が反発しており、「汚染水のごたごたが続く中、いつ漁を再開できるのか」といった不安の声が上がった。一方、「汚染水を減らすためには、計画を認めるべき」との意見もあった。

福島原発、汚染水の漏えい続く 東電が見解示す (東京新聞)
 福島第1原発の地上タンクから高濃度の汚染水が漏れた問題で、東京電力は21日、依然として漏えいが続いているとの見解を示した。既に隣接する別のタンクへの汚染水移送を始めている。
 東電によると、移送は20日午後10時ごろ開始。移送量はポンプ2台で1時間当たり計約40トン。漏えいがあったタンク(容量千トン)は鋼鉄製の部材をボルトでつないで組み立てる構造で、移送先のタンクも同じ構造。東電は「(移送先の)安全は確認した」としている。
 漏えいがあったタンクは2011年10月に設置された。漏えい箇所は特定できていない。東電は原因を調べる。(共同)

原子力規制委、下北の地下構造調査へ 大陸棚外縁断層も対象 (河北新報)
 原子力規制委員会は20日、青森県の下北半島周辺の地下構造調査を実施する方針を明らかにした。半島を東西にまたぐ形で太平洋沖から陸奥湾まで人工震動を起こし、揺れ具合で地下10キロの構造を調べる。来年3月までに調査を始める。
 規制委事務局の原子力規制庁によると、半島の東西約50キロを横断する形で震動を感知する機器を敷設し、海と陸の双方から人工震動を起こす。調査が可能な事業者の公募を近く始める。
 半島東方沖の海底には、南北に約80キロ延びる大陸棚外縁断層が存在する。一部の専門家はマグニチュード8級の地震を引き起こす恐れがある活断層と主張。下北半島に立地する使用済み燃料再処理施設(六ケ所村)や東北電力東通原発(東通村)などへの影響を指摘している。調査は外縁断層も対象となる。
 規制庁は「断層活動の評価精度を上げる手法の確立が調査目的」と説明した。一方、調査で得られたデータや知見を活用する可能性があるとしており、今後予定される再処理施設の稼働や東通原発の再稼働に向けた安全審査にも影響しそうだ。