2013年8月25日日曜日

東電福島の現場はお粗末の極み

 東電福島で濃厚液300トンを漏出させた排水タンクは、他の2基とともに一旦別の区画に設置されたものの、そこで地盤沈下が起きたため解体され、現在の場所に移設されたものと分かりました。他の2基はいまのところ漏出は確認されていませんが、逆に漏出していないということの確認もされていません。解体し移設して再組み立てする過程で、工法上や完成検査の上で瑕疵がなかったのかは当然疑われます。

 そもそも建物や装置を設置する場合、まず地耐力を調べ、それが建設物の重量に対して持つ(沈下が生じない)ことを確認するのは基本中の基本です。それが水張り試験時に20センチも沈下するとは、あまりにもお粗末な話で開いた口が塞がりません。
 一体どういう計画の進め方をしているのでしょうか。

 しかも排水タンクから漏出した水は、基礎周りの排水弁(全箇所の弁が開いていたということ)を通過して排水溝に入り、それを伝って海まで流出したことが明らかになりました。あたかもそうなることを予期して作られていたかのようです。
 原子力規制委の立ち入り調査で、1リットルあたり8000万ベクレル(ストロンチウムのみで)というような超高濃度の汚水を入れた排水タンクを管理するに当たり、点検日誌も作っていなかったことも明らかになりました。
 何もかも理解に苦しむところです。
 武田邦彦教授は、猛毒を大量に撒き散らすのは本来逮捕されるべき犯罪だと断じています。

 福島の現場では事故の当初から、場内引き回し配管からの水の噴出や漏洩が数限りなく報道されました。最初は大変な事故が起きたのだからと受け止められていましたが、あまりにもそれが連発したので、やがてはそれにしてもお粗末過ぎるという違和感に変わりました。水処理においては、先ずは配管からの漏出がないことが大前提です。

 また排水を高性能で除染出来るとうたわれた多核種除去装置ALPS(東芝製)は、約1年間をかけて完成しましたが、試運転に入った6月にステンレス製タンクの溶接部に複数のピンホール(小さな穴)が見つかり、以来ずっと停止したままになっています。
 これも極めて初歩的なミスで、そもそも漏洩試験も行わずに現場に納入したのかと驚かされます。その上その程度の補修がいまだに終わらないところを見ると、そうした発表以外の不具合もあると疑うしかありません。

 何かもが信じられないほどにお粗末、お粗末の極みです。

 時事通信の漏出タンクの解体・移設に関する記事を紹介します。
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漏出タンク、以前に解体=地盤沈下で移転、再利用-東電、場所把握せず・福島第1
時事通信 2013年8月24日
 東京電力福島第1原発の貯蔵タンクから高濃度汚染水が漏れた問題で、東電は24日、漏れたタンクを含む3基が別の区画にいったん設置された後、地盤沈下が起きたため解体され、現在の場所に移設されたと発表した。移設時に水漏れがないか試験を行っており、今回の漏出が再利用と関係があるかは不明という。
 東電によると、漏れたタンク以外の2基は漏えいが確認されていないが、25日から別のタンクに汚染水を移送する。
 東電は2011年6月から同型のタンクを設置。今回漏出したタンクを含む3基は「H1」と呼ばれる区画に設置されたが、水張り試験中の同7月に基礎部のコンクリートが約20センチ沈下したため、使用を中止してタンクを解体した。
 その後、元請け会社からタンクに影響はないと報告を受け、同年9月から設置が始まったH4区画で3基を再利用。水密性を保つパッキン類などは新品を使い、試験で異常が見つからなかったため、翌年夏から汚染水の保管を開始したという。
 東電は今月19日の汚染水漏れ発覚後、タンクの使用履歴を調査。3基がH1区画に1度設置されたことや、他に解体、再利用したタンクはないことを確認した。ただ、東電は当初3基を別の区画に設置することを計画しており、調査するまで再利用タンクがH4区画にあることを把握していなかった。