2013年10月16日水曜日

原発汚染水流出 結果的に悪化 現状脱却の見通しも不明 +

 首相が、「完全にコントロール下にあり、完全にブロックされている」と公言した福島原発 放射能汚染水問題で、規制委 汚染水対策作業部会は15日、東電が汚染地下水の流出を抑制するため護岸付近で行っているポンプくみ上げや止水剤注入について「効果は見られない」と結論づけました。
 港湾内海水のセシウム濃度は7月に比べて10倍に上昇しているということです。

 規制委に提出された、相次汚染水漏れ問題についての再発防止報告書の中で、傾斜地に設置されたタンクの傾きについては、原発の幹部やタンクの運用部門が把握していなかったことが明らかにされました。
 不具合は他部課には知らせないようにしたものと推測されます。

 同時に、排水の漏れを確認した現場作業員が2度も東電社員に知らせていたのに、社員は漏水の事実を認めなかったことや、前回の台風後にタンクの傾きを見つけて報告しても、責任者は頭からそれを否定して現場を確認に来なかったことなども、明らかにされています。これは不都合自体を認識しないことで、それに伴う対策の煩雑さを避けようとする態度に他なりません。

 台風26号への対処としては、タンク群の堰から雨水をあふれさせないため、作業員を30人から60人に増やし雨水をタンクに移す作業を進めることにしています

 再稼働に向け安全審査を申請した柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、東京電力は15日、福島原発の汚染水問題に取り組みながら安全管理が適切に行えるとする報告書をまとめ、原子力規制庁に提出しましたこれは「福島原発の汚染水問題が解決しない中で、再発防止が確約できるのか」との指摘に対するものです。
 報告書は、福島の事故の教訓を踏まえ、緊急時対応力の増強や現場力の強化などに取り組むとしているということですが、福島の現状に一向に反映されていないことが、柏崎刈羽原発では実現できるといわれても信用することはできません。

 また規制庁池田長官が4日に東電社長に対し汚染水問題で作業の改善策をまとめるよう指示しましたが、その際に「現場の管理能力が著しく低下している」ので停止中の柏崎刈羽原発から応援部隊を投入するよう求めました。
 それに対しての回答は、なんと同原発からは20人の動員が可能ということだったということです(日経新聞)
 現在停止中である発電所内の1200人の中から、僅かに20人しか割けないなどとは通常の組織では考えられないことです。如何に東電という会社の組織が硬直したものになっているかが良く分かります。
 これでは改善に向けた抜本的な対応など取れる筈もないので、だらだらと現状の体たらくが継続するのではないでしょうか。
「東電報告書「不十分」=汚染水漏えいで規制委」を追記
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汚染水対策「効果見えず」=海水の放射能濃度上昇-規制委
時事通信 2013年10月15日
 東京電力福島第1原発で放射能汚染水が海に流出している問題で、原子力規制委員会の汚染水対策作業部会は15日、海水への影響を議論した。東電が示した一部の海水の放射性物質濃度データが上昇傾向にあることから、座長役の更田豊志委員は、東電が汚染地下水の流出を抑制するため護岸付近で行っているくみ上げや止水剤注入について「効果は海水側で見えないというのが結論」と述べた。
 東電によると、1、2号機取水口間で採取した海水のセシウム137の濃度は、6月下旬から7月上旬ごろにかけては1リットル当たり10ベクレル前後だったが、10月に入ると同100ベクレル前後になった。また1~4号機の取水口北側でも、セシウム137の海水濃度が上昇傾向にあった。
 東電は1、2号機の護岸付近で地中を固める薬液を注入。さらに護岸より陸側で汚染された地下水をくみ上げ、約3000トンを2号機タービン建屋に移送している。


福島第一 雨水移送の人員増
東京新聞 2013年10月16日
 台風26号に備え、東京電力は十五日、福島第一原発の処理水タンク群の堰(せき)から雨水をあふれさせないよう、作業員を三十人から六十人に増やし、雨水をタンクに移す作業を進める。
 九月の台風18号と今月の台風22号では、堰の中の雨水をタンクに移そうとしたが間に合わなかった。今回の台風でも全タンク群の堰内の雨水を別のタンクに移す方針。しかし、雨量が想定より多い場合は、放射性物質の濃度が低いことを確認し堰から直接排水することも検討している。
 堰のかさ上げなど抜本的な対策は、今回の台風には間に合わなかった。台風への対応に専念するため、十六日の相沢善吾(ぜんご)副社長の定例記者会見も中止した。


傾斜地にタンク情報共有されず 汚染水問題で報告書 
スポニチ 2013年10月16日 
 東京電力福島第1原発で汚染水漏れが相次いでいる問題で、東電は15日、再発防止に向けた報告書を原子力規制委員会に提出した。  
 傾斜地に設置されたタンクの天板部から汚染水があふれた事故については、第1原発幹部やタンクの運用部門がタンクの傾きを把握していなかったとした。
 東電によると、社内のタンク設置部門は、設置場所が傾斜地であることやタンク自体が傾いていることを把握していたが、社内で情報共有されていなかった。


作業員が2度漏水指摘も東電社員が長時間放置
読売新聞 2013年10月15日
 福島第一原子力発電所で2日にタンクから汚染水があふれた問題で、現場作業員が2度も漏水を指摘したのに、東京電力社員が「漏水ではない」と判断して長時間、放置していたことが15日明らかになった。
 同原発で相次ぐ作業ミスについて、東電は同日、人員増強などの対策をまとめた報告書を原子力規制庁に提出したが、短期的な対策でも完了までに数日から1か月かかる。台風26号が接近する中、原子力規制委員会は基準値を下回る濃度の雨水を排水することを認めた。
 作業ミスによるトラブルは、9月27日~10月9日に5件相次いだ。報告書によると、タンクに雨水をつぎ足して汚染水があふれた2日のトラブルでは、タンクが傾斜地に設置されていることを東電社員が知らず、タンクの中央部の水位だけを確認。低い側で満水を超えたことに気付かず、あふれて滴り落ちる汚染水を「雨水だ」と判断していた。


東電:柏崎刈羽 安全管理の報告書を提出
毎日新聞 2013年10月15日
 東京電力は15日、再稼働に向け安全審査を申請した柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、福島第1原発の汚染水問題に取り組みながら安全管理が適切に行えるとする報告書をまとめ、原子力規制庁に提出した。
 福島第1原発で汚染水漏れが続いたことを受け、規制庁の池田克彦長官が4日、東電の広瀬直己社長に報告書提出を求めていた。
 報告書は柏崎刈羽原発について、福島の事故の教訓を踏まえ、緊急時対応力の増強や現場力の強化などに取り組むとした。
 一方、福島第1原発の汚染水漏れについては、タンク設備の増強や運用・管理計画の見直しなどに加え、人為ミスによるトラブルを防ぐため、1人作業の禁止や基本動作の徹底、全作業に手順書を作成することなどを盛り込んだ。
 柏崎刈羽原発の審査入りについて、田中俊一・原子力規制委員長は9日の毎日新聞のインタビューで「福島の状況を見極める。報告書に書いてあることが実際に行われているかを見る」と話した。【鳥井真平、岡田英】
 
東電報告書「不十分」=汚染水漏えいで規制委
時事通信 2013年10月16日
 東京電力福島第1原発で、放射能汚染水の漏えいが相次いだ問題に関し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は16日の定例会合で、東電が提出した報告書について「指示の趣旨と違うと率直に感じる」と不満を述べた。報告書には安全審査を申請している柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の安全管理体制も記載されており、同原発の本格審査入りにも影響しそうだ。
 原子力規制庁は4日、池田克彦長官が東電の広瀬直己社長を呼び、汚染水の管理体制強化策や、柏崎刈羽原発の管理体制についての報告を指示。東電は15日、福島第1原発の要員を約200人増員するなどの対策を報告した。