2013年10月18日金曜日

米社 原発廃炉賠償の仲裁を申し立て 対三菱重工 

 6月に廃炉が決まった サンオノフレ原発を運営する電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)は16日、故障して廃炉の原因となった蒸気発生器を製造した三菱重工に対し40億ドル(約3900億円)の損害賠償を求めて、国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てました。
 蒸気発生器は、原子炉で発生した高圧蒸気を1次側熱源として、2次側に清浄な高圧蒸気を発生させて発電用のタービンを廻すための機器です。

 SCEは設計ミスや重大な契約違反があったとして損害すべての責任を三菱側が負うべきだと主張したのに対し、三菱は契約上の責任の上限は3700万ドル(約134億円)にとどまるとして、協議は平行線をたどり、正式な仲裁手続きに入ることが決まりました
 三菱は、「SCEの主張は契約を無視しており、根拠がない。仲裁手続きの中できちんと事実や法的な裏付けを主張していく」とコメントしました。

 この仲裁がどう決着するかは不明ですが、海外向けの原発ビジネスを推進する日本政府としても、装置に不具合が生じた場合には、相手国によってはこの例に見るような巨額な賠償責任を追及されるリスクがあるし、万一事故を起した場合にはさらに巨額な賠償を要求される可能性があることを十分に認識する必要があります。
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米の原発廃炉で賠償求める
NHK NEWS WEB 2013年10月17日 
蒸気発生器の故障が原因で廃炉が決まったアメリカ・カリフォルニア州の原子力発電所について、運営する電力会社が、蒸気発生器を製造した三菱重工業に対し損害賠償を求めて、パリに本部がある国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てました。

カリフォルニア州南部にあるサンオノフレ原子力発電所は、三菱重工業が製造した蒸気発生器の配管に破損や異常な摩耗が見つかったため運転を停止し、発電所を運営する電力会社「サザン・カリフォルニア・エジソン」社は、採算が取れなくなったとして、ことし6月、原発を廃炉にすることを決めました。
サザン・カリフォルニア・エジソン社は、廃炉によって生じた損害の賠償を求め三菱重工業と協議を続けてきましたが、話し合いはまとまらず、16日、パリに本部がある国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てました。
サザン・カリフォルニア・エジソン社は、廃炉によるすべての損害を補償するよう求め、およそ40億ドル(日本円でおよそ3900億円)の賠償を求めています。
これに対し三菱重工業は声明で「電力会社の請求は、交渉の経緯や契約履行の事実を反映していない不適切な内容で根拠がない」として、全面的に争う姿勢を示しています。
国際仲裁裁判所による仲裁は民間による紛争解決の方法のひとつで、仲裁裁判所の「裁定」は訴訟の判決と同じような拘束力を持ちます。