2013年10月25日金曜日

政府は原子炉を更新し原発を継続すると

 安倍内閣と自民党は23日、年内にまとめる政府のエネルギー基本計画に中長期の原子力政策として、既存原発の古くなった原子炉を新しい炉に更新する「建て替え(リプレース)」明記することの検討を始めまし
 当然 再稼動を申請中の原発については、規制基準をクリアしたものは再稼働するという考えです。

 また、自民党の原発再稼働推進派議員でつくる電力安定供給推進議員連盟が23日に開いた非公開での会合で、電力各社が自主的に取り組む原発の安全対策は再稼働の妨げになりかねないとして、安全対策の「手抜き」を容認する発言さえたということです。

 毎日600億ベクレルあまりの放射能を世界の海と空にまき続けている福島原発事故は、一向に収束の兆しを見せていませんし、15万人の被災者たちはいまなお満足な補償も受けられずに放置されています。そうしたなかで政府や自民党がこのように原発に固執し、原発の再稼動に前のめりになるのは何故なのでしょうか。

 すでに原発に何の経済的メリットもないことは明らかにされており、原発推進の一方の旗頭である読売新聞も、先般の社説では「地球の温暖化を防止するために原発は必要」と述べるにとどまっていました。

 しかしこの原子力発電が炭酸ガスを出さないという認識も間違いです。核燃料の製造工程:「ウランの採掘⇒精錬⇒濃縮⇒燃料棒加工」でも、使用済み核燃料の再処理と廃棄処分でも、それぞれの過程で多大なエネルギー(電力・ガソリン・人工など)を消費し炭酸ガスを発生させています。 廃棄処分場を地中に作るとすれば莫大な工事量を伴いますし、半永久的に維持管理する上でも当然長期に渡ってエネルギー(前同)を必要とします。したがって読売新聞が述べるようなメリットもありません。
 そもそも放射能は炭酸ガスなどと比べものにならないほど有害なのに、原発を「クリーン」だと位置づけること自体に根本的な無理があります。

 それにもかかわらず政府や自民党があくまでも原発の推進にこだわる理由としては、原発に伴う利権への「擦り寄り」以外には考えられません。フクシマの悲劇も「カネ」には代えられないということなのでしょう。
 さすがに24日に開かれた自民党の部会では、出席した議員から「計画に原発の新増設や、比率を高めると書くべきではない」と、原発の維持や推進への批判が相次いだということですが
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原発:「建て替え」明記検討 政府、依存を継続
毎日新聞 2013年10月24日
 政府・自民党は23日、中長期の原子力政策として、既存の原発の敷地内で旧炉を新しい炉に更新する「リプレース(建て替え)」を打ち出す検討を始めた。年内にまとめる政府のエネルギー基本計画に明記する方向で調整する。安倍政権は規制基準をクリアした原発の再稼働を進める構えで、将来も一定の原発比率を保つ方針を明確にする狙い。しかし東京電力福島第1原発事故の収束が難航するなか、原発依存の継続と受け取れる表現には強い反発が見込まれ、調整の難航は必至だ。

 基本計画では、原発を含めたエネルギー構成の「ベストミックス」に言及し、原発を重要・基幹電源と改めて位置づける案も浮上している。一方、既存の国内原発の敷地内で炉を増やす「増設」の表現も検討するが、実現の可能性が乏しいため慎重論は強い。全く別の立地で行う「新規建設」は、「事故以降、住民の理解が得られる見通しがない」(自民党幹部)として記述を避ける方向だ。

 安倍晋三首相は今後の原子力比率を引き下げるとしつつ、原発再稼働は「世界で最も厳しい安全基準で判断する」としている。

 だが国内で多くの原発が停止する中、原発の寿命を40年とした場合、更新や新増設をしなければ、停止中の原発を含めて2049年には原発がゼロになる計算だ。このため政府・自民党内には、原発の新規立地よりも従来の原発立地を活用する方針を基本計画で示し、「安全性・発電容量で勝る炉に建て替える」と訴えれば世論の批判をかわせる、との見方が出ている。それでも国民の原発不信を考慮し、将来の原発比率は明示しない。

 政府・自民党や財界では安倍政権の成長戦略も踏まえ、「日本経済の維持には一定の原発が必要だ」との意見が強い。同党の原発推進派でつくる電力安定供給推進議連(会長・細田博之幹事長代行)は、エネルギー基本計画への提言を12月初旬に提出する方針。議連幹部は「リプレースや新増設は考えないといけない」と述べ、計画策定を担う経済産業省・資源エネルギー庁を後押しした。

 ただ原発の維持にあたっては放射性廃棄物の最終処分場がないなどの課題も解消されていない。このため安倍首相は今後の原発再稼働の見通しや、世論の動向も見ながら方向性を最終判断する考えだ。【小山由宇】


安全対策「手抜き」容認 自民再稼働派 非公開会合で発言
 東京新聞 2013年10月24日
 自民党の原発再稼働推進派議員でつくる電力安定供給推進議員連盟(会長・細田博之幹事長代行)が二十三日に開いた会合で、電力各社が自主的に取り組む原発の安全対策は再稼働の妨げになりかねないとして、電力会社の「手抜き」を容認する発言が出席議員から出た。
 会合は非公開。再稼働申請した原発を抱える北海道、東京、関西の三電力会社から安全対策の進み具合を聴取した。議連事務局長の高木毅国交副大臣の説明によると、議員一人から「一社、二社があまり高いレベルで安全対策を実施すると、他社も追随しなければならない」との意見が出た。
 原発再稼働をめぐっては、原子力規制委員会の田中俊一委員長が「規制委の基準をクリアしたら終わりではない」と、電力会社に自主的な安全対策を重ねて求めている。


原発新増設に異論、自民部会 エネルギー基本計画めぐり
東京新聞 2013年10月24日
 自民党の資源・エネルギー戦略調査会と経済産業部会が24日に開いた会合で、政府が年内の策定を目指すエネルギー基本計画をめぐり、出席した議員から「計画に原発の新増設や、比率を高めると書くべきではない」と、原発の維持や推進への批判が相次いだ。

 自民は一定程度の原発を維持したい姿勢だが、党内では異論も根強い。小泉純一郎元首相が脱原発の主張を繰り返していることもあり、意見集約は難航しそうだ。(共同)