2013年11月2日土曜日

山本議員をバッシングする前に

 「山本太郎参院議員が園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した行為に対して1日、閣僚や与野党から『議員辞職ものだ』との批判や厳しい対応を求める声」(産経新聞)が相次いでいるということです。産経新聞などによれば、議員たちは以下のように発言しています。

   石破茂 自民党幹事長    ⇒「「見過ごしてはならないことだ」
   脇雅史 自民党参院幹事長 ⇒「憲法違反は明確だ。二度とこういう事が起こら
                   ないように本人が責任をとるべきだ」党役員連絡会
   下村博文 文部科学相    ⇒「議員辞職ものだ。これを認めれば、いろんな行
                                 事で天皇陛下に手紙を渡すことを認めることになる。
                   政治利用そのものだ」
   古屋圭司 国家公安委員長 ⇒「国会議員として常軌を逸した行動だ
   松原仁 民主党国会対策委員長「政治利用を意図したもので、許されない」

 確かに山本議員の行動は異例のものでしたが、それでは憲法や法律に何か抵触したのでしょうか。正当に選出された国会議員を除名(議員辞職)しようとするのであれば、先ずは彼の行為が憲法または法律の何処に抵触するのかを明らかにする必要があります。それもしないで彼を糾弾しようというのであれば、とても法治国家とは呼べません。
 もしもこれが前例になると困るというのであれば、宮内庁なりが、そうした行為はこれこれの理由で行わないで欲しいと、国民に説明すれば済むことです。

 「そもそも常識からいって・・・」というようなことしか言えないのであれば、被曝している福島の子供たちや現場での作業員たちのことを思う彼の真情と熱情にこそ思いを馳せるべきでしょう。
 それでなくとも「脱原発」を叫んで国会に登場した彼は、その直後から原発推進勢力から目の敵にされ、週刊誌による攻撃や吊るし上げ的な記者会見など、これまでも強い風当たりがありました。したがってこれを好機とばかりに山本議員の追い落とを図りたい勢力はあるわけですが、闇雲に多数を頼んでバッシングするというような国会の品位にもかかわる行動は慎んで欲しいものです。

 二つのブログを紹介します。
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天皇陛下に手紙を渡した山本太郎議員の勇気 
カナダde日本語(Canada de Nihongo) 2013年10月31日
   (前 略
 山本太郎氏が赤坂御苑で開かれた秋の園遊会で子供達の被曝の現状や原発作業員の劣悪な労働環境について天皇陛下に手紙を渡したことが、原子力村や原発推進派の自民党議員、原発推進派のメディアを刺激し、騒動になっている。
 日頃から、反原発を地で行く山本太郎氏は、原発推進派の自民党やメディアにとっては、目の上のたんこぶであり、この出来事を機に何とか山本氏を辞職させたいという動きがでている。
   (中 略
 もちろん、原子力村からお金をもらっているのは、自民党議員だけのはずはなく、公明党や民主党、大阪市長のハシシタなど、右翼系議員もここぞとばかりに一斉に山本氏を非難し始めている。
   (中 略
 憲法には、天皇を政治利用してはならないとの項目はあるが、天皇陛下に手紙を渡すことが政治利用になるとは書いていない。自民党議員らは、なんとか憲法違反にこじつけて、山本太郎氏を辞職させようとしているようだ。山本氏の支援者は、山本氏を辞職させようとしている議員らに抗議の電話をかけ、山本氏を決して辞職させてはならない。

 天皇陛下は先日、熊本県水俣市を初めて訪れ、水俣病患者の多くが差別を恐れて病気を隠してきた実態を聞いて、「真実に生きることができる社会をみんなで作っていきたいと改めて思いました」と、約1分間にわたって自分の思いを語ったそうだ。発言は予定外で、事前に「お言葉」が用意された行事以外で、天皇陛下がこのように時間をかけて思いを口にするのは異例なことらしい。おそらく、天皇陛下も原発事故の問題も含め、水俣病で苦しむ患者たちの今の現状を心から心配していらっしゃるのだと思う。

 そんな人間の心を持ち合わせた天皇陛下に山本氏が手紙を渡す動画を見ると、一言二言、言葉を交わした後、その手紙は、天皇陛下のお付きの人に即、奪われてしまった。その後、周囲の人々の冷たい視線が山本議員につきささる。

 天皇陛下が山本氏の手紙を読んでくださり、事態が良い方向に向かうよう祈りたい。もちろん、さすがの天皇陛下でも、今の嘘で固められた官僚や原子力村をガラス張りにすることができるとは思えないが、被曝している子供達を避難させ、命をかけて福島原発で働く作業員たちの現状が少しでも改善されればと思う。
 前代未聞の向こう見ずな、とても勇気のある行動を取った山本太郎氏は、原子力村からの圧力にめげず、なにがあっても議員辞職だけはしないでいただきたい。


日本最大の不敬企業を見逃して、直訴を袋叩きにする日本の病
誰も通らない裏道 2013年11月01日
 おそらく私の頭が悪いのでしょうが、彼のやったことがなぜ悪いのか私にはさっぱりわかりません。
 「あんなことをやっても支持している人がいる」「一票入れた人間は頭がおかしい」という意見が溢れかえっているようですが、私は福島第一原発の収束宣言をした野田佳彦に投票して当選させた人の方が、あえて言いますが、はるかに民度が低いと思います。

 「TPPはけしかんらん」とか「憲法改正を阻止しください」とかいう内容の手紙を渡すのならば、それは政治利用かもしれません。
 しかし、政治がその役割を完全に放棄している福島の状況について直訴するのがなぜ悪いのか?

 一方で東京電力は1000億円以上の黒字を出したと言われています。ではなぜ、このような黒字が出たのか?
 本来、やらなければいけないこと、被災者への賠償、作業員の保護、汚染水の処理、除染、、、といった本来、やらなければならないことについて、徹底的に手抜きをした結果です。
 そもそも、なぜ福島であのような破局事故が起きたのか? それは東京電力が経済合理性を再優先して、安全マージンをどんどん下げたからにほかなりません。
 自分たちさえ良ければ、後のことは知ったことではないという会社が批判されず、「なんとかしなければ」と思っている人間が袋叩きにあうというこの社会に、私はこの国に巣食う根本的な病を感じます。

 古来、天皇が見守ってきた土地を放射能によって汚染させた会社こそは最大の不敬企業であると断言します。