2013年12月14日土曜日

被害者は3ヶ月で延べ100人超 (原発違法労働続報)

 
 被曝の惧れのある場所での作業は最長1日10時間、と定めた労基法に違反して作業させた福島原発現場の作業員は、7月以降の3ヶ月間で100名以上に達していました。
 
 安倍首相が7月に、国が前面に立って汚染水の対策に当たると言明したため、それ以後工程厳守の締め付けが強まり、そのしわ寄せが作業員に行きました。
 
 東電は労基署の是正勧告に対して、「元請けに線量計のデータを提供し、労務管理をしてもらっている。(違法な長時間労働は)把握していない」と答えていますが、それまでは個人毎の労働時間が積算されていたシステムを、作業現場から出るときに一旦線量計返却することにして、被曝時間が積算できないシステムに変えたのは東電でした。
 
 福島原発の現場では食堂でも休憩所でもいたるところで被曝するので、そもそも作業現場から離れるごとに線量計を外していては放射線の管理も出来ないし、被曝時間の管理もできません。
 
 東電は新しいシステムにした理由を、食事時間や休憩時間が労働時間に算入されないようにするためと説明していますが、そうであればそれなりの方法を考えるべきです。 
 作業現場を離れる都度、それ以外の場所での被曝量の算入も中断させるというのは論外で、今回の是正勧告を機に改善されるべきです。
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原発違法労働 3カ月、延べ100人超
東京新聞 2013年12月13日 
 東京電力福島第一原発で、東芝など十八社が労基署から違法労働を是正するよう勧告を受けた問題で、十時間超の過酷労働をしていた作業員は七月からの三カ月で延べ百人を超えることが関係者への取材で分かった。線量計を管理、貸し出す東電が事故後に線量計の設定を変更。労働時間が十時間を超えてもアラームが鳴らないケースが生じ、違法労働の温床になった。
 
 関係者によると、違法労働は元請けの東芝(東京都)や一次下請けの東芝プラントシステム(横浜市)、その下に連なる下請けに広がっていた。
 七月に東電が汚染水が海に漏れていることを認め、東京五輪招致に向け海外から懸念の声が出た。国は国費を使って汚染水対策をすると表明。現場へのプレッシャーが強まったという。このころから、海側敷地での作業などで十時間超えが数多く出た。
 
 労働基準法では、原発作業員の被ばくの恐れがある場所での労働は最長十時間と定められている。労働時間の管理のため、作業員は九時間半でアラームが鳴る設定の線量計を持って仕事に当たる。
 事故前は、食事や休憩などで作業を中断していったん線量計を返却した後、線量計を借り直してもそれまでの労働時間が積算され、計九時間半でアラームが鳴る設定だった。何度線量計を借りても十時間を超えたかどうかすぐに分かるようになっていた。
 ところが東電は事故後、線量計の設定をそれまでの労働時間が積算されない形に変えたため、線量計を借り直せば、また九時間半後までアラームが鳴らないことになった。被ばくの恐れがある環境での実労働時間を把握するには、一日に借りた線量計すべてのデータを足したうえで、休憩時間などを引かなければならなくなった。
 
 今回の作業員らは、アラームが鳴る前に、上からの指示で敷地を出て、新しい線量計を借り直して残業していた。すぐに一日の労働時間が分からないことが十時間超えの違法労働の広がりにつながった。設定の変更について東電は「事故後は敷地のほぼすべてで放射線量が高くなり、線量計を持ったまま昼食や休憩を取るようになった。これらは労働時間でないのに積算されてしまう。線量計で労働時間を管理できなくなり、設定を変えた」と説明している。