2013年12月15日日曜日

玄海原発の再稼動は暴挙 井野東大名誉教授

 九州電力玄海原発を有している佐賀県の県議会に東京大名誉教授(金属材料学)
井野博満氏が参考人として出席し、「現状での原発(玄海3、4号機)の再稼動は暴挙である」と述べました。
 
 井野教授は参考人陳述のなかで、原発の新規制基準について、「福島第1原発事故で破綻した設計基準そのものを見直していない」と断じ、規制委員会が「基準に適合しても原発の安全を完全に保証するものではない」としているのに、安倍政権が「適合した原発は再稼働させる」というのは矛盾していると批判しました。
 
追記
 不断に中性子線を浴びている原子炉は鋼板の劣化が早く、常温ではガラスのように脆くなるといわれます。
 井野教授はかつて、テストピースによる玄海1号炉の「脆性遷移温度」の推移を評価して、「玄海原発1号機の原子炉は陶器のようなもので、簡単にひび割れ、破断してしまう」と警告しました。
 35℃(’76年)、37℃(’80年)、56℃(’93年)、98℃(’09年)
  通常の鋼板の脆性遷移温度は氷点下です。
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再稼働、現状では暴挙 専門家、新基準を批判  
佐賀新聞 2013年12月14日更新  
 佐賀県議会は13日、原子力安全対策等特別委員会を開き、井野博満東京大名誉教授(金属材料学)が参考人として出席した。原子力規制委員会が定めた原発の新規制基準について、「福島第1原発事故で破綻した設計基準そのものを見直していない」などと問題点を指摘した上で、現状での再稼働は「暴挙」と批判した。 
 
 井野氏は、新規制基準に関し、外部電源の耐震性など従来の設計基準が見直されていないと指摘。過酷事故対策もフィルターベントなど5年の猶予期間を設けるなど、「付け焼き刃」と批判した。 
 さらに、規制委員会が「基準に適合しても原発の安全を完全に保証するものではない」としていることと、安倍政権が「適合した原発は再稼働させる」としていることが矛盾すると指摘。「原発の安全に誰が責任を持つのか」と批判した。 
 
 現在、審査が行われている玄海原発3、4号機についても、メルトダウンした際、格納容器に注水するとしている九州電力の対応について、作業時間などの問題点を指摘した。 
 再稼働の判断については、技術的な問題点や廃炉費用を含めた原発の経済性などをすべて公開して論議し、国民が判断すべきと提言した。 
 
 特別委はこれまで九電や原子力規制庁の担当者などを招致。今回は、原子力政策に批判的な専門家として井野氏から意見を聞いた。今後は原発政策を推進する立場の専門家を招致する。