2014年1月21日火曜日

福島3号機で冷却水が格納容器から漏水

 福島原発3号機の原子炉建屋地下室の床幅30センチほどの連続した水の流れが出来ていて、そこからベーター線ベースで1リットル当たり2400万ベクレル、セシウム137:170万ベクレルが検出されました。これは建屋の地下にたまっている汚染水の値に近く、水温も20℃と原子炉の底の温度とほぼ同じなので、格納容器の破損箇所から漏れ出ている冷却水と考えられます。
 
 こうした「情報」は、3号機原子炉建屋のがれきの撤去作業をしていたロボットによって捉えられたもので、事故後ほぼ3年経ってロボットの「力」によってようやく判明したわけです。1,2号機でも同じようにロボットががれきの撤去をしているのであれば、追ってそちらの「情報」も上がってくると思われます。
 
 チェルノブイリの事故は停止操作時における結果論的な操作ミスによって引き起こされましたが、軍隊を投じた必死の作業により多大な犠牲者の出しながら、事故後10日ほどで放射能の放出を含めてほぼ収束しました。
 このときの停止操作の詳細も既に明らかにされ、それにより原子炉の欠陥や操作手順書の不備も分かりました。また地下室に解け落ちた核燃料のデブリ(残骸の堆積物)は映像で確認され、その後原子炉は厚いコンクリートで石棺状態にされました。
 
 チェルノブイリの事故は極めて悲惨でしたが、事故の終息は非常にクリアでした。ただIAEAの介入によって停止操作が担当者の個人的なミスに置き換えられたり、放射能による死者の数が過少に見積もられるなどの問題はありました0が・・・
 それに対して福島原発の事故は3年経っても一向に収束せず、核燃料がいまどうなっているのかも分からず、建屋地下室床面上で、格納容器から漏れ出した水の流れというような、極めて表層的なことが僅かに確認できたという有様です。
 すべては放射線量が桁外れに高くて人間が近寄れないためですが、これは原子炉で過酷事故が起きれば不可避的に生じる事柄です。
 
 格納容器から冷却水が漏れているであろうことは当初から想定されていたもので、問題は今後ロボットの探索でどこまで原子炉の破損状態や燃料に関する情報が得られるかということです。
 このすべてはロボットに頼るしかなく、いまも膨大な放射能を撒き散らしつつ遅々として対策が進まないという実態こそが、原子力は一旦事故を起せば人間の手には負えないということを改めて教えています。
 
 以下にNHKのニュースを紹介します。
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3号機 冷却水が格納容器から漏れたか 
NHK NEWS WEB 2014年1月20日
東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋1階の床を流れている水を調べたところ、放射性物質の濃度が高く、メルトダウンした燃料を冷やした水が格納容器から漏れている可能性が高いことが分かり、東京電力では、詳しい漏えい箇所などを調べることにしています。
 
福島第一原発3号機では18日、原子炉建屋1階の床に幅30センチほどの水の流れがあり、継続的に排水口に流れ込んでいる様子をがれきの撤去作業をしていたロボットのカメラが捉えました。
東京電力が調べた結果、1リットル当たりの放射性物質の濃度はストロンチウムなどのベータ線と呼ばれる放射線を出す放射性物質が2400万ベクレル、セシウム137が170万ベクレルと建屋の地下にたまっている汚染水の値に近い、高い濃度であることが分かりました。
水の温度はおよそ20度で、原子炉の底の温度とほぼ同じだということです。
東京電力は、「地下にたまった汚染水よりやや濃度が低いが、何らかのルートで格納容器から漏れ出した水と考えられる」と話しています。
3号機ではメルトダウンした燃料を冷やすための水が原子炉に注がれ、格納容器の破損箇所から漏れて建屋の地下にたまっていますが、燃料の状態や格納容器の破損状況は分かっておらず、東京電力は詳しい調査を行うことにしています。