2014年2月22日土曜日

規制委 志賀原発で断層調査 活動性を判断

 原子力規制委員会は22日~23日の予定で、北陸電力志賀原発(石川県)の敷地内の断層調査を始めました。
 
 志賀原発の敷地内には8本の断層があり、うち2本が1、2号機の原子炉建屋直下を走っています
 特に1号機の原子炉建屋直下の「S―1」断層は2012年7月、旧原子力安全・保安院の有識者会合で、建設時に掘削した時のスケッチを見た専門家から「典型的な活断層」と指摘されました
 規制委から断層の再調査を指示された北陸電力は13年12月、再調査の最終報告書を規制委に提出し、敷地内に8本の断層があるが活断層はないと改めて訴えました
 
 規制委の専門家調査団は今回、S―1断層が活断層かどうかを中心に調べ敷地の東約1・4キロを南北に走る「福浦断層」など周辺の活断層が動いたときに、敷地内の断層が引きずられて動くかも見ます。
 規制委が活断層と判断すれば、再稼働できなくなります
 
 今回の調査に関する時事通信の記事と、「志賀原発直下には明らかに活断層がある」とする渡辺満久・東洋大教授の見解を報じた、2012年9朝日新聞の記事を紹介します。
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志賀原発で断層調査=1号機直下、活動性判断—規制委
時事通信 2014年 2月 22日
 北陸電力志賀原発(石川県)の原子炉建屋直下に活断層があると指摘されている問題で、原子力規制委員会の専門家調査団は22日、現地調査を始めた。活断層と判断されれば再稼働できず、北陸電は廃炉を迫られる。調査は23日まで。
 
 調査には島崎邦彦委員長代理や外部の専門家らが参加。北陸電が掘った試掘溝やボーリング調査で採取した試料などを確認し、断層が将来動く可能性があるかどうか検討する。北陸電は活断層ではないと主張している。
 
 ヘルメットをかぶり、作業着に身を包んだ調査団は22日午前、北陸電から説明を受けた後、1号機原子炉建屋近くに岩盤調査のため掘られた縦穴に入った。
 
 1号機原子炉建屋直下には「S—1」と呼ばれる断層が通っている。旧原子力安全・保安院は2012年7月、意見を求めた専門家から「典型的な活断層」などの指摘が続出したため、北陸電に再調査を指示。同社の主張を認めた保安院の審査の在り方も批判を浴びた。
 北陸電は13年12月、再調査の最終報告書を規制委に提出。敷地内に8本の断層があるが、活断層はないと改めて訴えた。
 1号機直下にはS—1のほか「S—4」断層があり、2号機原子炉建屋下も通っている。これらの断層が東側の活断層「福浦断層」などと連動する可能性があるかが焦点になる。原発の規制基準では、将来動く可能性がある地層のずれの上に、重要な施設を建設することは認められない。 
 
 
志賀原発直下「明らかに活断層」 渡辺満久・東洋大教授
朝日新聞 2012年9月1日
 活断層かどうか――。現在、それを確かめる調査に大きな注目が集まっているのが、志賀町にある北陸電力志賀原子力発電所だ。二つの原子炉のうち、1号機の真下にS―1断層と呼ばれる断層があり、活断層であれば廃炉になる公算が大きい。東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)は地質展開図を見て、「明らかに活断層で、逆断層の構図だ」と断言した。
 
 さらに、「活断層についてその断層が揺れるかどうかばかりを気にする人が多いが、ずれが生じるかどうかも大きな問題だ」と指摘する。
 地震を起こす断層(主断層)だけでなく、主断層に引きずられて動く断層(副断層)も広い意味で活断層で、主断層だけにとらわれがちであることに注意を促す。原子炉のある格納容器に損傷がなくても、ずれにより原子炉につながっている配管が壊れ、制御できなくなるおそれが高まるからだ。
 「このS―1断層がずれる大きな要因となるのが、富来川南岸断層だ」と警鐘を鳴らす。
 
 富来川南岸断層は志賀原発の約9キロ北側に東西に延び、断層を挟んで南北で20メートルほどの地層のずれがある。渡辺教授らの研究グループは今年5月の学会で、原発の耐震安全性を考慮しなければならない13万~12万年前以降に動いた断層だと指摘し、「耐震設計上考慮すべきだ」とアピールした。
 渡辺教授は「(活断層などの判断について)絶対と言えるもの以外は、無視してきたのが『原子力村』の特徴だと思う。原発においては疑わしいと思ったものについてはしっかりと対応していくべきだ」と話す。
 1993年7月に1号機の営業運転を開始してから約20年。「この間、何も起こらなかったのは、単に幸運だったと思う」とも。「会社側の怒りも分からないわけではない。『国がいいといったのでは。審査も通したのに手のひらを返したように』と思っているのではないか」と推測する。
 
■福島第一事故後に追加調査
 1987年、1号機の設置許可を申請した際、北陸電力は「浸食作用で生じた」として活断層ではないと説明し、国も審査で活断層ではないと認めていた。
 しかし、福島第一原発事故後の昨年4月、福島県南部で発生した地震で、国と電力会社が「動かない」と主張していた断層がほかの断層と一緒に動いて大きな揺れになり、疑いが生じた。
 今年7月、経済産業省原子力安全・保安院の専門家会合で、原子炉直下に活断層がある可能性が指摘された。保安院からの指示を受け、北陸電力は8月10日、追加調査にとりかかった。北陸電力の堀祐一副社長(原子力本部長)は「問題ないとの評価に変わりはない」と強調している。
 原子炉建屋下に調査用のトンネルを掘るなどし、調査は来年1月ごろまでかかる見通しだ。
 また、渡辺教授が13万~12万年前以降に動いた断層と指摘している富来川南岸断層について、北陸電力は「北側と南側は地層が異なる」と反論しており、それを裏付けるために7月から調査を開始した。
 原発問題住民運動石川県連絡センターなども、地質学専門の立石雅昭・新潟大名誉教授とともに手掘りによる独自のボーリング調査をし、解析を進めている。(広津興一)