2014年2月27日木曜日

福島原発 炉心溶融の経過と現況は今も不明

 
 福島原発は事故後もう直ぐ3年になりますが、なぜ炉心が溶融するに至ったのかの詳細な経過や、炉心=燃料がいまどういう形態で何処に存在しているのかについて、何も分かっていないというのが実態のようです。
 
 その一方で、昨年8月には ストロンチウムなどを8億ベクレル/L含む水が約300トンも漏洩(漏洩量は240兆ベクレル)したことが、最近になって明らかにされるなど、外界への放射性物質の放出は留まるところを知りません。
 東電は漏れた水が地中に留まるとか、海岸側に作られた地中壁で地下水の流れが阻止されるなどという珍妙な説明で、海洋への流出を否定していますが、いずれもあり得ない話で、兆の上の「京」レベルが放出されていると考えるべきでしょう。
 
 そうした実害を考えるならば、いつまでも何も分からないでは済ませられないはずですが、東電も政府もいまだにその段階に留まっているというわけです。
 
 せめて炉心の所在を推定する科学的な方法論くらいはそろそろ確立して欲しいものですが、そうした情報もありません。
 事故直後に「安全です」、「大丈夫です」を連呼していたあの原子力学者たちはいまどうしているのでしょうか。原発を導入してからもう50年、「アメリカの技術なので何も分かりません」で通る筈はないとは、思わないのでしょうか。
 
 日本原子力研究開発機構に蝟集して、専門に原子炉や核燃料の研究に取り組んできた人たちには何もアイデアはないのでしょうか。
 彼らは潤沢な研究費を使って、毎年膨大なテーマの研究成果を発表していますが、そのすべてはこうした実務?とは無縁の研究だったのでしょうか。そうであれば道楽的な研究のそしりを免れません。
 
 福島の原子炉の現況に関するNHKのニュースを紹介します。
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福島第一原発 廃炉への道のり遠く
NHK NEWS WEB 2014年2月26日
福島第一原子力発電所では、事故でメルトダウンした核燃料がどのような状態で存在しているのか、3年たった今も高い放射線や汚染水に妨げられ、解明されていません。
廃炉に向けて、核燃料をどう取り出すのか、その核燃料を冷やすことで発生し続ける汚染水問題の解決に道筋をつけられるのか大きな課題のままです。
 
核燃料の取り出しは早くて6年後
福島第一原発の事故は、1号機から3号機までの3つの原子炉でメルトダウンが起き、高温で溶けた核燃料は一部が原子炉を突き破り、外側の格納容器の底に達しているとみられています。
国や東京電力が示した工程では、この溶けた核燃料の取り出しを最も早いケースで、6年後の2020年度上半期から始め、30年から40年かけて廃炉を完了するとしています。
 
格納容器の損傷した場所特定できず
しかし、その実現に向けて、解明が急がれる問題があります。
まず、核燃料が溶け落ちている格納容器の損傷箇所が分かっていないという問題です。
核燃料の取り出しは放射線を遮る効果のある水を利用するため、1号機から3号機の格納容器の損傷箇所を補修し、水で満たしてから行う計画です。
去年11月、1号機の格納容器の周辺で核燃料に触れた汚染水が流れ出している様子が、ロボットに搭載したカメラで初めて捉えられました。
3号機では先月、原子炉建屋1階の床を水が流れているのが見つかり、近くにある格納容器の配管の貫通部などから漏れている可能性が指摘されました。
しかし、いずれも具体的な損傷箇所は特定されておらず、2号機では手がかりすら得られていない状況で、補修に着手できる具体的な見通しは立っていません。
 
溶けた核燃料の現状も不明
そして、溶けた核燃料が格納容器のどこにどのような状態で存在しているのか、分かっていないという問題です。
核燃料を取り出す具体的な方法を決めることができないだけでなく、格納容器を水で満たしたときに、核燃料の状態によっては、核分裂反応が連続する「臨界」が起こりやすくなるとも指摘されています。
調査を妨げているのは、強い放射線や放射性物質を含む汚染水です。
人が近づけないため、国や東京電力は、ロボットや解析などの技術開発を進め、核燃料の状態を正確に把握しようとしています。
 
汚染水も解決策を模索中
核燃料を冷やすことで発生する汚染水も根本的な解決が急がれます。
汚染水は格納容器から漏れ出し、建屋の地下などにたまっています。
ここに山側から地下水が流れ込んで汚染水が増え続け、一部は海に流出していることが去年、発覚しました。
海側に掘った観測用の井戸の水の放射性物質のデータなどから、建屋とつながるトレンチと呼ばれる地下のトンネルや1号機の建屋周辺から汚染水が漏れだした可能性が指摘されていますが、漏えいルートは特定されていません。
国と東京電力は、トレンチの汚染水を抜き取る対策や、山側からの地下水の流入を防ぐ地中の氷の壁、「凍土壁」など複数の対策を進めていくことにしています。
凍土壁は1号機から4号機を取り囲むように作られる計画ですが、これほど大規模なものはほかに例がなく、どこまで効果が出るかは未知数です。
また東京電力は、来年度中に、タンクにたまっている30万トン以上の汚染水を処理する目標を掲げていますが、ほとんどの放射性物質を取り除くことができる「ALPS」と呼ばれる新型の処理設備を増設し、性能を向上させる必要があり、達成は容易ではありません。
事故から3年がたった今も廃炉や汚染水問題の解決に向けては課題が多く、国内外の技術を集めながら、道筋をつけていくことが求められます。
 
 
原発事故 核心部分でさえ未解明多く
NHK NEWS WEB 2014年2月26日 
福島第一原子力発電所の事故は3基の原子炉でメルトダウンが起きるという世界に例のない事故だけに、全容の解明は極めて難しい課題です。
原子炉を冷やせなくなり、核燃料が溶け落ち、放射性物質の大量放出に至った事故の経過は、これまでの調査である程度明らかになってきました。
しかし、何がメルトダウンを決定づけたのかや大量の放射性物質はどこから、どのように放出されたのかなど、事故の核心部分でさえ、3年たった今も未解明の問題が多く残されています。
 
福島第一原発の事故を巡っては、当事者の東京電力のほか、政府や国会、それに民間の有識者などが調査や検証を行う委員会をつくり、事故の経過や取られた対応を調べてきました。
これまでに、1号機では、津波で電源が失われ計器類の確認ができないなか、発電所の対策本部が「非常用復水器」と呼ばれる電源がなくても動く冷却装置が正常に作動していると誤って認識していたことが明らかになり、原子炉の冷却の遅れにつながったと考えられています。
また事故後しばらくの間、非常用の冷却装置が動いていた2号機と3号機でも、その後、消防車などによる注水に切り替えて原子炉を冷やそうとした際、十分に水が入るよう原子炉の圧力を下げる装置が機能せず、作業に手間取ったり、水が配管の抜け道から漏れたりして冷却が遅れたことが明らかになっています。
 
事故核心部分に多い未解明の問題
その一方で、今も解明されていない問題も多くあります。
3号機での注水の切り替えを巡っては、原子炉の圧力を下げる装置がすぐに機能しなかった原因までは特定できていません。
2号機では、冷却が遅れ危機的な状況を迎えた3月14日の夜から15日にかけて、格納容器が壊れないよう高まった圧力を下げる「ベント」という操作が急務になりましたが、ここでも作業に手間取りました。
これはその後の放射性物質の大量放出につながったとみられていますが、何がベントの操作を妨げていたのか、現場でどのような対応がとられていたのか詳しい状況は明らかになっていません。
また放射性物質は2号機と3号機からより多く放出されたとみられていますが、原子炉や格納容器のどこが壊れ、いつ、どのような経緯で放出されたのか、詳しい状況は解明されていません。
こうした問題は、廃炉の重要な工程となる溶け落ちた燃料の取り出しにも関わります。
原子炉周辺は高い放射線量の影響で、人が近づいて確認することができないため、東京電力は原子炉や溶け落ちた燃料の状態をコンピュータで解析していますが、つじつまの合わない解析結果が出るなど、結論は出ていません。
事故から3年がたった今も原子炉の冷却の状況や放射性物質の放出に至る経緯など事故の核心部分には未解明の問題が多く残され、東京電力は引き続き検証を続けるとしています。