2014年2月4日火曜日

小泉「原発ゼロ」銀座劇場 +

 ハフィントンポスト4日号に、「小泉原発ゼロ銀座劇場」が載りました。
 
 小泉純一郎氏は首相時代に「聖域なき構造改革」を叫びましたが、実現したのは新自由主義経済下の恐るべき格差社会であり、竹中氏を中心として形成された政治的経済的対米従属でした。鳴り物入りで実現した「郵政民営化」も害悪ばかりが目立つもので、実効性は何もありませんでした。勿論原発も推進しました。
 そうしたことに対する不信感はいまも根強く残っています。
 
 しかし昨年、彼は「過ちては革むるに憚ることなかれ」という論語の言葉を引っ提げて新「即時 原発ゼロ」論者として鮮やかに登場し、いまは連日細川都知事候補の車に乗って、都民に「即時 原発ゼロ」をワン・イシューで訴えています。
 ユーチューブで報じられる彼の演説は実に説得力があって、こと「原発ゼロ」の訴えでは彼に優る弁士はいないのではないでしょうか。(^○^)
 
 選挙演説への「自発的」動員力も完全に他を圧倒していて、いつも聴衆は鈴なりの状態です。マスメディアは一貫して無視していますが、先日の新宿での街頭演説では1万人を集めたとインターネットニュースは報じています。
 
  さすがにハフィントンポストは小泉劇場の雰囲気を見事に伝えています。
 もしもこれだけ明確に脱原発を叫ぶ候補が当選すれば、安倍政権の原発政策にとって大きなブレーキとなることは間違いありません。
2月4日 天木直人ブログ小泉元首相の応援演説は魂の叫びだ。有権者が動かないはずがない」を追記 
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小泉「原発ゼロ」 銀座劇場 
ハフィントンポスト 2014年2月4日 
 東京都知事選、選挙日からちょうど1週間前の2014年2月2日(日)。
 出馬した細川元総理のための銀座四丁目での応援演説は、まさに小泉純一郎の「原発ゼロ」銀座劇場だった。
 埋め尽くされた聴衆を前に、
 「まさか総理大臣辞めて、二度とみなさんに街頭演説する機会があるとは思いませんでしたよ」(「そうでしょー!」「ありがとう!」)
 「こうして、みなさんにお話、お願いしているとね、初めて衆議院選挙に出た頃も蘇ってくるんです。」(「小泉節!」「純ちゃ~ん!」の声援)
 時折聴取を笑わせながら、強いトーンでジェスチャーを使いながら語りかける様子に、往年の衰えは見られなかった。30分、一本勝負。小泉節が銀座で炸裂した。
 
 「原発ゼロを宣言したドイツでさえも、今いくつか原発が動いている。しかし、今、日本は原発を基本エネルギーにするか、ゼロにするか迷っている。ゼロ宣言していないのに、ゼロになってるのは日本だけですよ! もう実現しちゃってるんですよ。あとは政治が決断するだけですよ」(「そうだ!」拍手、笑)
 
 「政治で一番大事なのは方向を決めること。それはみなさんが握っているんです」
 「70過ぎて、引っ込んでろっていう声もある。でもね、原発は安全、コストが安いことが嘘だとわかって、黙って寝てていいですか? そうじゃないでしょう。 反省を込めて、日本をどうするんだと。大きなピンチだが、日本が原発なしで発展する姿を見せれば世界が模範とするに違いない。
 しかもその可能性が十分ある。実現可能だと思ったからこそ、これは過去の人と言われながらも一国民として、一市民としてやるべきことがある。やらなければならないことがある。だから一緒に(細川さんと)立ち上がっているんです」
 
 「みなさんが、真剣に関心を持ってこの選挙を見守っていることを見ると、年寄り引っ込んでろって声は関係ないと思った! 熱い心が伝わってくるんですよ。これはやらなきゃいかん。
 我々はいいですよ。細川さんも私も70過ぎたんだから。もういつ死んでもいいんです!
 ところがこの問題は若い人が考えなきゃいけない。原発の電源によって恩恵を受けた人は、年寄りの人だ。しかし、その過程で出てくる膨大な負担を負わされるのは、若い世代じゃないですか。いや、これから生まれくる未来の子どもたちも負担していかなければならない問題です。
 こんな国を遺すべきじゃない。やはり、原発なしの国をつくるっていうことが、年寄りの私たちにとって、一番、若い世代に残せる財産じゃないかと思った!」
 
 「少年大志を抱けっていう有名な言葉がある。老人だって大志を抱いていいですよ!」(「そうだー!」拍手)
 
 原発のない社会をつくる、大きな志じゃないですか。しかも実現不可能な夢じゃないです。実現可能な夢です。理想家だったって、現実を見なきゃダメだっていう人もいますけど、あの福島の現実を見たからこそ、これは原発を残しちゃダメだと思ったんですよ」(「そうだー!」拍手)
 
 「細川さんも、私も、これからいつまで生きるか分からないけれども、例え死んでも原発ゼロの社会、再生可能エネルギーで全部やっていける姿を見ることが出来ないかもしれないけれども、後に続く子どもたちの世代が、そういう時代にしたら、日本だって様々な技術が発展してきます。これからは技術も進歩する。し かもその科学技術が、自然環境を破壊するような科学技術じゃない。自然の生態系を活かす科学技術の発展で日本はやっていける。そいういう社会をつくるのが、夢だけども、壮大な事業だけども、実現可能性が十分ある夢じゃないですか!」
 
 「一人ひとりが、これは自分たちの問題だ。電力を使っているのはみんな市民一人ひとり。その電力を使っている人が投票所に足を運んで、自然の生態系を活かす社会をつくろうという思いならば、必ず細川さんは当選出来る!」
 
 そう締めくくった。
 賽は投げられた。東京都民の選択が試されている。
 
小泉元首相の応援演説は魂の叫びだ。有権者が動かないはずがない。
 天木直人 2014年2月4日
 今度の東京都知事選挙ほど権力側が露骨にその本性をむき出しにして、権力に正面から手向かうものを弾圧しようとした選挙はない。
 いうまでもなく安倍政権とそれに加担したメディアの細川・小泉連合つぶしの事である。
 はじめは細川たたきだった。
 政策論争に参加しない細川候補を批判し、とっくに終わっている佐川急便献金疑惑を蒸し返す。
 選挙戦に突入して細川・小泉連合に人気が集中すると、こんどは細川・小泉隠しだ。
 大手メディアは本当の事を一切書かない。
 テレビは映像を流さない。
 あげくの果てに細川劣勢の世論調査結果を流し続ける。
 かつてならこれで決まりだ。
 外に出て街頭演説を聞かない都民はメディアの予想を鵜呑みにして投票を左右される。
 ましてや東京都民でない全国の日本国民にとっては、東京都知事選などどこで行われているのか、というほど存在しないに等しい。
 しかし、いまはユーチューブの動画によって寝転んでも街頭演説が聞ける世の中になった。
 そこで流される小泉元首相の細川応援演説を見るがいい。
 まったく別の世界が広がっている。
 そこにはかつて権力をほしいままにした元首相が、自らの無知、過ちを素直に認め、あの3・11によって脱原発に目覚め、今では最強の脱原発論者になった姿がある。
 権力の絶頂にあったものが、いまやただの人となって、巨大な権力に攻撃されながらも果敢に歯向かう姿がある。
 小泉という政治家は、この時のためにあったのか、と思わせる姿がある。
 何と言っても圧巻は、 原発がなくても日本は立派にやっていける、そのことをもう我々は知ってしまった、という脱原発応援演説だ。
 それは魂の叫びである。
 どのような政治家もまねのできない最高の政治演説である。
 そしてそれは、私を含め、3・11を経験して脱原発の考えを持つようになった多くの日本国民の素直な思いである。
 およそ脱原発を望む者で、この演説を聞いて細川候補に一票を入れる気にならないものはいないだろう。
 私が細川・小泉連合を支持しているからこう書いているのではない。
 ユーチューブに流れる街頭演説を見て、すべての候補者の訴えと、それに対する聴衆の反応を見て、そう思うのだ。
 細川候補が勝てないはずがない。
 もしこれで細川候補が負けるようなら、よほど東京都民はバカか、選挙に不正があるか、どちからだ。
 どっちにしても不幸なことである(了)