2014年5月27日火曜日

自主避難者に月40万円仮払い命令 京都地裁

 福島原発事故で京都市内に自主避難した人に対して、京都地裁東電に月40万円の支払いを命じる決定(仮処分)をしました。
 原発事故による損害賠償で、裁判所が避難者への仮払いを命じたのは全国めてということです。
 
 40代の男性は妻子と福島県内の自主避難の対象区域に住み会社を経営していましが、事故の影響で心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったため、男性は昨年5月、就労不能に伴う計約1億3千万円の損害賠償を求めて東電を提訴しました。
 しかし仮払いがないことには生活を維持できないとして、昨年12月月60万円の仮払いを求める仮処分を申し立てていたものです
 
 日本の裁判は結審するまでに気の遠くなるほどの時間が掛かるので、その間の生活が保証されることは死活的に重要です。
 代理人の弁護士は「生活に困窮している避難者にとって、生活資金を確保しながら東電との訴訟を闘う道筋を開いた」と評価しています。
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福島原発の自主避難者に月40万円仮払い命令 京都地裁
朝日新聞 2014年5月26日
 東京電力福島第一原発事故の影響で京都市内に自主避難し、京都地裁に東電への損害賠償請求訴訟を起こしている40代の男性が申し立てた賠償金仮払いの仮処分について、同地裁は東電に月40万円の支払いを命じる決定をした。20日付。東電によると、原発事故による損害賠償で、裁判所が避難者への仮払いを命じたのは全国初という。
 
 訴状などによると、男性は妻子と福島県内の自主避難の対象区域に住み、会社を経営していた。原発事故後の2011年3月中旬、金沢市へ避難し、同5月から京都市に移った。事故の影響で心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったと診断されたという。
 
 男性は昨年5月、就労不能に伴う計約1億3千万円の損害賠償を求めて東電を提訴し、係争中。さらに昨年12月、仮払いがないと生活を維持できないとして、月60万円の仮払いを求める仮処分を申し立てていた。
 決定は、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の指針には「個別具体的な事情に応じて因果関係を認め得る」との基本姿勢があることを指摘。「事故と自主避難の損害の因果関係は事案ごとに判断するべきだ」と認定。事故が原因でPTSDになったとする男性の主張を認め、男性が避難前に得ていた所得などを考慮して今年5月から1年間、月40万円を支払う必要性を認めた。
 
 東電側は自主避難者に対しては同指針の損害項目に就労不能損害が挙げられていないと反論していた。決定に東電は「個別の案件の詳細は回答を差し控える。決定内容を精査し、真摯(しんし)に対応する」としている。
 男性の代理人の井戸謙一弁護士は「生活に困窮している避難者にとって、生活資金を確保しながら東電との訴訟を闘う道筋を開いた」と決定を評価した。(泉田洋平)