2014年6月18日水曜日

「最後は金目でしょ」 石原発言に憤激の嵐

 福島原発事故に伴う中間貯蔵施設建設をめぐり、石原伸晃環境相16日、記者たちに対して「最後は金目(かねめ)でしょ」と語ったのは、石原氏の品性の低劣さをそのままあらわしたものでした。住民を見下したこの態度は、つくづくと政治家の資質に欠けるところがあることを感じさせます。
 
 当然、建設候補地がある大熊、双葉両町の住民をはじめ心ある人たちから、「故郷を追われる人の気持ちが分からないのか」と憤激をかっています。
 
 佐藤雄平福島県知事は16日、「避難者、福島県民の気持ちを踏みにじるものだ」と福島市内で報道各社の取材に答えました
 
 福島県議会は17日、「早急に発言を撤回し、大臣自らが真摯で誠意のある態度を住民に示すよう求める」との抗議文を、石原氏宛てに送りました
 
 石原環境相5月31日から計16回開かれた中間貯蔵施設の住民説明会に一度も出席しなかったことも、各会場で住民から批判されていました。当然中間貯蔵施設問題は一層難航することになります。
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石原環境相に「発言撤回を」 福島県議会が抗議文
東京新聞 2014年6月17日
 石原伸晃環境相が東京電力福島第1原発事故の中間貯蔵施設をめぐる交渉を「最後は金目でしょ」と発言した問題で、福島県議会は17日、「早急に発言を撤回し、大臣自らが真摯で誠意のある態度を住民に示すよう求める」との抗議文を、石原氏宛てに送った。
 
 抗議文は平出孝朗議長名で「多くの住民は、生まれ育ったふるさとの将来への不安に苦しんでいる。環境相の発言は住民の尊厳を踏みにじるもので、とうてい容認できない」とした。
 
 佐藤雄平知事も17日の定例県議会で「住民の皆さんのふるさとを思う気持ちを踏みにじり、誠に遺憾だ」と、あらためて批判した。(共同)
 
 
金じゃない古里返せ 石原環境相発言に住民怒りの声
福島民報 2014年6月17日
 「最後は金目(かねめ)でしょ」。東京電力福島第一原発事故に伴う中間貯蔵施設建設をめぐる石原伸晃環境相の16日の発言に、建設候補地がある大熊、双葉両町の住民は「故郷を追われる人の気持ちが分からないのか」と批判の声を上げた。施設受け入れに向けた政府と地元との交渉は難航している。避難住民は、古里への愛着と施設の必要性とのはざまで揺れ続ける。 
 
 「お金なんか要らない。古里を元に戻してほしい」 
 会津若松市で避難生活を続ける大熊町農業委員会長根本友子さん(66)は、インターネットで石原環境相の発言を知り、怒りが込み上げてきたという。 
 根本さん宅は中間貯蔵施設の建設予定地にあり、いわき市と会津若松市で開かれた住民説明会に出席した。「3年余り、帰る日を待っていた。中間貯蔵施設建設で追い出される者の気持ちを踏みにじる発言だ」と憤った。 
 大熊町から新潟県柏崎市に避難している主婦森口須美枝さん(71)は、2日に同市で開かれた住民説明会に参加した。遠い古里を思い、「先祖代々の土地を泣く泣く手放すつらさを分かっていない。金なんて要らない。家に帰りたいという人がほとんどだ」と避難住民の気持ちを代弁した。 
 いわき市に避難している大熊町の仮設住宅自治会長を務める出羽秀一さん(56)は中間貯蔵施設が将来、最終処分場になるのを懸念する。「古里の将来に不安を抱いている。金銭問題を前面に出すこと自体、住民の思いを理解していない証拠だ」と突き放した。 
 白河市にある双葉町県南借り上げ住宅自治会長を務める舘林孝男さん(59)は「金で中間貯蔵施設の問題が解決するのか」とあきれた様子。白河市で開かれた住民説明会では、避難住民が子孫のために、いかに町の将来を考えているかを伝えようとした。「私の声は国に届いてなかったようだ」と落胆した。 
 いわき市の南台仮設住宅で暮らす双葉町のパート山田史子(ちかこ)さん(56)は「本当は震災前の双葉町を返してほしいという町民の気持ちを何も分かっていない。信用できない」と政府に対する不信感を一層募らせた。 
 
■説明会16回石原氏出席せず
 石原環境相は5月31日から6月15日まで計16回開かれた中間貯蔵施設の住民説明会に一度も出席しなかった。 
 各会場では大熊、双葉両町民から「なぜ大臣が直接説明しないのか」などと批判が相次いだ。
 
 
環境相発言 双葉、大熊町民ら一斉反発「許せない」
河北新報 2014年6月17日  
 中間貯蔵施設の建設をめぐる石原伸晃環境相の発言に対し、候補地の福島県双葉、大熊両町関係者は一斉に反発した。
 双葉町議の一人は「地権者の心を踏みにじるものだ。住民説明会で国が納得できる回答をせず、町民から『なぜ大臣が説明に来ないのか』との声が出ていた中での発言。古里を失うことになる住民の気持ちを全く分かっていない証拠だ」と憤った。双葉町幹部は「町民感情に配慮を欠いた発言だと感じている。残念だ」と批判した。
 大熊町の建設候補地に含まれる行政区の区長で、会津若松市の仮設住宅に避難する根本充春さん(74)は「町民を侮辱する話だ。ここまで言われる筋合いはない。町民は故郷を追われあちこちで暮らしている。私たちに押しつける立場の人が『金さえ払えばいい』というような話をするのは納得いかない」と話した。
 別の行政区で区長を務める木幡仁さん(63)も「自民党が原発政策を推進した結果として、全町民が避難を強いられている。その責任も取らずに、こんな発言をするのは人を小ばかにしているとしか言えない。上から目線のこの失言は許せない」と非難した。
 同町幹部は「住民への説明では、避難させられて財産を全て失う町民の心にいかに寄り添うかが大切なのに、表に出して言う言葉ではない」と険しい表情を浮かべた。
 
◎「心踏みにじる」/福島知事
 石原伸晃環境相の発言について、佐藤雄平福島県知事は16日、「避難者、福島県民の気持ちを踏みにじるものだ」と述べた。福島市内で報道各社の取材に答えた。