2014年7月26日土曜日

牛のセシウム濃度、筋肉は内臓の2倍 岩手大など調査

 セシウムが筋肉に取り込まれやすいことは知られていましたが、岩手大などの研究者が原発事故後に20キロ圏内で飼養されている牛を調査した結果、放射性セシウム濃度は筋肉で高く、内臓のおおむね2倍に上ることが分かりました。
 
 部位別では、ネック(首)やモモ(腿)、ヒレ(大腰筋)の値が心臓や肝臓などの約2倍に上り、なかでもヒレ(大腰筋)の濃度が最も高かったということです。
 
 大型動物の放射性物質の体内分布が測定されたのは世界で初めてです。
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牛セシウム濃度、筋肉は内臓の2倍 岩手大など調査 
岩手日報 2014年7月25日
 岩手大、北里大の研究者を中心とした「東京電力福島第1原発の事故に関わる家畜と農地の管理研究会」(代表理事・山根義久前日本獣医師会長)は、原発事故後に20キロ圏内で飼養されている牛の健康状態などを調査し、牛の部位別の放射性セシウム濃度は筋肉で高く、内臓のおおむね2倍に上るという研究成果をまとめた。26日に東京大で開く公開シンポジウムで発表する。同研究会は、大型動物の放射性物質の体内分布などについて世界で初めて得られたデータとしており、さらに調査を続ける予定だ。
 
 同研究会は、同原発20キロ圏内にある福島県浪江町、南相馬市、大熊町、富岡町の畜産農家12戸が管理する約280頭の牛からデータを集積している。農業者は同県内の仮設住宅から牧場に通い飼養を続けている。
 
 同研究会は牛の行動解析、被ばく線量測定、血液採取で得られる遺伝子の変化などを分析。牛の部位別の放射性セシウム濃度についてネックやモモ、ヒレの値が心臓や肝臓などの約2倍に上るという研究成果を得た。ネックよりもモモやヒレの方が濃度は高いという。
 
 公開シンポジウム「福島第1原発事故 帰還困難区域で生きる牛が教えてくれるもの」は26日午後1時から東京大医学部教育研究棟14階の鉄門記念講堂で開く。申し込みは不要だが、事務局に事前に申し込んだ人が優先。定員は約200人。申し込み、問い合わせは事務局(090・2023・9353、Eメールinfo@liffn.jp)へ。