2014年7月26日土曜日

巨大噴火リスク 川内原発 核燃料緊急移送 手つかず

 500~600℃といわれる火砕流が原発に到達すれば、構内を走るトレンチ内のケーブルが焼損し全ての設備が止まるので、原子炉はいずれ核爆発を起こします。その時の放射能の量は福島原発の比ではありません。
 
 規制委はこの火砕流の問題について、九電「原発の運転中に巨大噴火が起きる可能性は小さい。今後衛星利用測位システム(GPS)の観測などで噴火の予兆を監視し、カルデラ周辺の地盤の動きなどで異常が確認されれば、原発を止めて核燃料を緊急移送する」との方針を了承しました
 
 しかし原子炉内の核燃料はプール内で少なくともカ月冷やした後でなければ取り出せず、プールから核燃料を取り出す作業にも、(福島原発に見るように、)また数年がかかります。
 東京新聞からの問い合わせに対して九電の担当者は、巨大噴火の予兆は噴火する数年前に察知できるとの前提なので・・・その時点で検討する述べたということですが、数年前に察知できるなどとは誰も言っていません。
 
 火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長東大名誉教授)は、「巨大噴火は7300年間経験しておらず、今の火山学では巨大噴火を中長期的に予測するのは非常に困難将来何が起こるのか監視すれば分かるというものではない」と噴火の前兆を監視することは難しいと述べています
※ 2014年6月4日 川内原発 巨大噴火の予測は困難と噴火予知連 
 火山学会のリーダーは、大噴火を予測することはできないと国に申し入れましたが、国はいずれは可能になるとして全く取り合わなかったということです。
 
 再稼動に不都合な専門家の意見は無視して、また一旦基準合致の判定が下れば、あとは判定の内容を都合の良いように拡大解釈して、具体的に対応は行わないままに川内原発は再稼動に向かおうとしています。 
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巨大噴火リスク 川内原発 核燃料緊急移送 手つかず
 東京新聞 2014年7月25日
 火山の巨大噴火リスクを抱える九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)で、九電は予兆を察知した場合には核燃料を安全な場所に緊急移送すると明言しながら、実際には原子炉を止めて運び出すまでに二年以上かかる上、搬出方法や受け入れ先の確保なども具体的に検討していないことが分かった。(小倉貞俊)
 
 原子力規制委員会は緊急移送を条件に、川内原発が新規制基準を満たしていると判断した。
 九電の担当者は取材に「巨大噴火の予兆は噴火する数十年前に察知できるとの前提なので、その時に検討する」とコメント。
 
 規制委の審査担当者は「現状は方針を宣言した段階で、今後の審査で具体策を示してもらう。ただ、どこまで具体的に踏み込めるかは難しいだろう」としている。
 川内原発をめぐる自然災害で最も脅威となるのが、周辺に五つあるカルデラの巨大噴火だ。原発から四十キロの姶良(あいら)カルデラで三万年前に起きた噴火と同じ想定では、火砕流が原発敷地内に到達する可能性がある。
 
 規制委の新基準による審査で、九電は「原発の運転中に巨大噴火が起きる可能性は小さい」と主張。衛星利用測位システム(GPS)の観測などで噴火の予兆を監視し、カルデラ周辺の地盤の動きなどで異常が確認されれば、原発を止めて核燃料を緊急移送する方針を示し、規制委は基準を満たすと判断した。
 
 運転中の原子炉内の核燃料は強い放射線と高熱を発し続けており、原発を止めてもすぐには動かせない。数日間は炉内で循環冷却した後、隣接するプールで長期間冷却する必要がある。
 九電や核燃料の輸送会社への取材では、外部に運び出すにはプール内で少なくとも二年二カ月冷やした後、専用の輸送容器を使うことが不可欠。九電は輸送容器を所有しておらず、輸送会社が持つ全ての容器を使っても一度に移送できるのは三百五十体。原発内には二千体近い核燃料があり、六回は往復しないと運び出せない。新たに容器を製造するにも約三年かかる。
 
 核燃料を運び込む先も確保できていない。九電玄海原発(佐賀県)のプールは満杯に近い。青森県六ケ所村の再処理工場のプールも満杯。他の電力会社の原発のプールを使う道もあるが、協議をしていない。
 空冷式の貯蔵容器で保管する方法は、保管場所を確保していない上、空冷式には、あらかじめ五~八年冷やした後の核燃料しか入れられない。
 
 川内原発の審査結果案に関し、規制委は8月15日まで意見募集(パブリックコメント)をしている。詳しくは規制委のホームページ( http://www.nsr.go.jp/ )右側にある「パブリックコメント一覧」で。