2014年8月2日土曜日

東電元会長は大津波の恐れを認識 検察審議会

 これまで東電の説明では、原子力部門で試算された大津波の可能性についての認識は、武黒元副社長でとどまり、勝俣元会長などには知らされなかったとされていましたが、福島原発事故が発生する約3年前、勝俣氏が出席した社内の会議で、高さ14メートルの大津波が襲う可能性があると報告されていたことを、検察審査会が把握していました。
 
 それによって勝俣氏と2人の元副社長は、「東電の最高責任者として各部署に適切な対応策を取らせることが可能な地位にあった」として「起訴相当」とされました。
 
 今後検察が再捜査しますが、仮に再び不起訴としても、別のメンバーによる検審が再度起訴相当と議決すれば強制起訴されることになります。
 
 いまだに13万人以上の人たちが避難生活を続けているなかで、東電の旧幹部たちが今ものうのうと過ごしていることは、国民感情としてやはり納得はいきません。
 2013年8月7日付のブログ:「SUEの日記」に東電の旧幹部の現況が掲載されていましたのでご参考までに紹介します。勝俣氏の現在の年収は7,200万円で、世界の富豪が蝟集するドバイに超豪華マンションを所有しているということです。
 
       ※ 東電役員 ぬくぬくと海外に住みながら天下り
 
・勝俣恒久会長→日本原子力発電の社外取締役に再任 (現在家族と共に海外在住)
・清水正孝社長→関連会社・富士石油の社外取締役に天下り (現在家族と共に海外在住)
・武井優副社長→関連会社・アラビア石油の社外監査役に天下り (現在家族と共に海外在住)
・宮本史昭常務→関連会社・日本フィールドエンジニアリングの社長に天下り (現在家族と共に海外在住)
・木村滋取締役→関連会社・電気事業連合会の副会長に再任 (現在家族と共に海外在住)
・藤原万喜夫監査役→関連会社・関電工の社外監査役に再任 (現在家族と共に海外在住)
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大津波の恐れ報告 東電元会長出席の会議
東京新聞 2014年8月1日
 東京電力福島第一原発の事故が発生する約三年前、東電の勝俣恒久元会長(74)が出席した社内の会議で、高さ一四メートルの大津波が福島第一を襲う可能性があると報告されていたことが、三十一日に公表された東京第五検察審査会の議決で分かった。これまでの東電の説明では、勝俣氏は大津波の可能性を知らないとされ、本人も検察に同趣旨の供述をしていたが、検審は「信用できない」と否定、起訴相当と判断した。東京地検は同日、議決を受け、再捜査することを決めた。 (加藤裕治、加藤益丈)
 
 議決によると、この会議は二〇〇七年七月の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発(新潟県)が被災したのを受け、〇八年二月に開かれ、福島第一の津波想定を七・七メートル以上に変更する資料が配布された。出席した社員から「一四メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいて、考える必要がある」との発言もあった。
 検察側の捜査資料にあった会議のメモなどから、検審はより詳しい報告や議論もあったと判断。出席していた勝俣氏は大津波の可能性を知りうる立場にあり、「東電の最高責任者として各部署に適切な対応策を取らせることも可能な地位にあった」と結論付けた。
 
 これまでの東電の説明では、大津波の可能性は原子力部門で試算され、武黒一郎元副社長(68)でとどまり、勝俣氏や他部門の幹部には知らされなかった、としていた。
 この会議には武黒元副社長も出席。報告を聞き「(東北電力)女川(原発)や(日本原子力発電)東海(第二原発)はどうなっている」と尋ねていたことが議決から明らかになった。
 
 東海第二原発は〇七年に茨城県が公表した津波想定に基づき、ポンプ室の側壁の高さを四・九メートルから六・一メートルにかさ上げ。東日本大震災で五・四メートルの津波が襲ったが、冷却に必要な電源を確保でき、福島第一と明暗を分けた。
 
 歴代幹部のうち勝俣、武黒両氏と、武藤栄元副社長(64)の三人が起訴相当と議決された。津波の情報を知っても、判断する立場にない二人は不起訴相当、対策を決める権限がない一人は不起訴不当と議決された。
 
 起訴相当の三人については、仮に地検が再び不起訴としても、別の市民による検審が起訴議決すれば、強制起訴される。