2014年9月12日金曜日

吉田調書 柏崎原発の集中立地懸念

新潟日報 2014年9月12日
 政府は11日、東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会が関係者から当時の状況を聞いた「聴取結果書(調書)」のうち、現場の指揮を執った吉田昌郎元所長=昨年7月死去=や菅直人元首相ら計19人分を公開した。関係者を非公開で聴取した政府事故調の調書が公開されるのは初めて。
 
 政府の事故調査・検証委員会の聴取に対し、吉田昌郎元所長は柏崎刈羽原発に全7基の原子炉が集中立地していることや、東電社員らの事故対応能力に懸念を示していた。
 吉田氏は、全6基を備えた福島第1原発の事故対応について触れながら「会社(東電)はずっと集中立地をしてきた。福島第2(原発)のように(原子炉が)4つぐらいでこぢんまりやっているのが運用上も一番楽なんです」と答えた。
 
 その上で、中越沖地震で変圧器火災が発生するなど広範囲に被災した柏崎刈羽原発のケースに言及し「6個、7個となってくると、大混乱になりました」と振り返った。多数の原子炉を備えた原発で、電源が一度に失われた場合は「大変なことになる」と話した。
 東電社員らの能力についても語った。福島第1原発のスタッフの事故対応について「(東電の)3発電所を見ても、今まで一番トラブルも経験していますから、これだけのことができたんだと思います」と評価する一方、「柏崎で(福島第1原発と)同じことがもし起こったとした時に、彼ら(柏崎刈羽原発のスタッフ)がそういう風にできるかどうか」と述べた。
 
 公開された調書について東電は「コメントは差し控えさせていただきたい」と話している。