2014年10月21日火曜日

臨時国会でも 原賠法抜本改正は見送りの方針

 政府はこの臨時国会でも、原子力損害賠償法の抜本改正を見送る方針だということです。同法は原発事故の損害賠償を定めている法案で、具体的な資金の額や国と電力会社が責任をどう分担するのか等について議論する予定だったということです。
 
 政府は福島原発事故について、損害賠償で5兆円、除染費など含めて11兆円になると計算しているということですが、そういうレベルでいいものなのかを含めて、これまでどの程度運用されてきているのか、今後はどうするのかなど全容は一向に分かりません。
 月々の僅かな賠償金や、ADRでの合意や訴訟判決のニュースには時々接しますが、肝心の被害者救済の損害賠償についてはずっと先送り状態が続いている状態ということです。このまま被災者があきらめるのを待つということなのでしょうか。
 
 損害賠償の全容とそのタイムスケジュールを早く明らかにして欲しいものです。
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原発賠償金「備え」放置 臨時国会 抜本改正見送り方針
 東京新聞 2014年10月19日
 政府が臨時国会で原子力損害賠償法の抜本改正を見送る方針を固めたことが分かった。東京電力福島第一原発事故で、原発が事故を起こせば巨額の賠償金が必要になることが分かったのに、政府は、資金的な備え不足や、国と電力会社が責任をどう分担するのかの議論を避けた。このままでは備えが不足したまま、九州電力川内(せんだい)原発が再稼働に向かうことになる。(岸本拓也)
 
 政府は十一月末まで開かれる臨時国会に、原賠法の一部改正案を提出する考えだが、原発の輸出促進を狙った「原子力損害の補完的補償に関する条約」(CSC)の承認に必要な文言修正など、部分改正にとどめる。文部科学省の担当者は本紙の取材に「(必要な備えのあり方など)基本的な問題については、CSCの後で議論することになる」と、抜本改正を先送りすることを認めた。
 
 福島事故では、十一兆円を超える損害が生じる見通し。しかし、現行の原賠法による事故の備えは一千二百億円の保険金だけ。福島事故では不足分を国が一時的に肩代わりし、制度の不備を取り繕ったものの、資金量は東電対応で手いっぱいだ。
 日本がCSCに加盟すると、米国などの加盟国が賠償金を支援する仕組みもある。ただし、文科省の試算では、もし日本で再び重大事故が起きた場合、日本が得られる支援金は七十億円ほど。備えるべき兆円単位の被害額に比べると、ほとんど対策にはならない。
 本来なら、電力会社と国はどこまで責任を分担するのかや、保険金額を拡充できないのか、などの検討が不可欠。しかし、政府は六月と八月に原賠制度の見直しを議論する副大臣会議を開いたものの、実質的に議論はしていない。

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