2014年12月14日日曜日

高浜原発17日にも審査合格|伊方の耐震目安 規制委が「妥当」|規制委、柏崎刈羽を現地調査|大間原発の適合性審査 16日にも申請

 原子力規制委が、関電高浜原発3、4号機について、17日にも審査合格証を出す方針を固めました。九電力川内原発1、2号機に続く2カ所目です。意見公募などにかけ審査合格が確定するのは年明けで、地元同意を経て再稼働するのは来年度以降になるとみられます大飯原発1、2号機の再稼動差し止めをした福井地裁判決では基準地震動700ガルは不十分で1260ガルでも不十分ということでした。
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 原子力規制委、四電伊方原発について、四電が作成した計11の基準地震動を、おおむね妥当として了承しました。基準地震動の確定は審査の最難関とされているので、これ以降は審査が促進されます。規制委がこれまでに基準地震動を了承した原発は関西電力の高浜、大飯と九州電力の川内、玄海です
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 原子力規制委は12日、審査を進めている東電柏崎刈羽原発6、7号機の設備や事故対策について現地調査しました。過酷事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型原発に、規制委が審査の一環として設備や事故対策の現地調査に入るのは初めてです。審査で焦点となっている事故対策設備「フィルター付きベント」について「設置場所や運用方法で、まだまだ議論の余地がある」と指摘しました
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 電源開発(東京)、青森県大間町で建設中の大間原発について新規制基準への適合性審査を、16日にも原子力規制委員会に申請する方向で調整しています。昨年7月の新基準施行後、建設中の原発の申請は初めてです
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高浜原発、17日にも審査合格 規制委 
産経新聞 2014年12月13日
 原子力規制委員会が、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)について、事実上の合格証となる「審査書案」を17日にも公表する方針を固めたことが12日、分かった。九州電力川(せん)内(だい)原発1、2号機(鹿児島県)に続く2カ所目。意見公募(パブリックコメント)などにかけ審査書が確定するのは年明けで、地元同意を経て再稼働するのは来年度以降になるとみられる。
 
 高浜原発は昨年7月に審査を申請し、規制委はこれまで、3回の現地調査を実施し、公開の審査会合を約70回開いた。
 焦点となっていたのは、基準地震動(想定される最大の揺れ)の設定で、周辺活断層の連動を考慮して、当初の550ガルから700ガルへと大幅に上昇。基準津波(想定される津波の高さ)も2・6メートルから6・2メートルへと引き上げた。このため、高さ8メートルの防潮堤のかさ上げなどの追加工事が必要になった。
 審査書案は一般から科学的・技術的意見を30日間募集する。地元から要望があれば公聴会を開き、審査書案に反映させる。
 規制委は高浜の審査書を完成させた後、機器などの設計内容を記した「工事計画認可」と、運転管理体制を確認する「保安規定変更認可」の審査に移る。
 
 
伊方の耐震目安 規制委が「妥当」 最難関審査通る
 東京新聞 2014年12月13日
 原子力規制委員会は十二日の審査会合で、四国電力伊方原発(愛媛県)について、四電が作成した計十一の基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を、おおむね妥当として了承した。基準地震動の確定は審査の最難関とされている。規制委がこれまでに基準地震動を了承した原発は関西電力の高浜、大飯と九州電力の川内、玄海。
 
 規制委が検討してきたのは、原発敷地直下で起こる地震の揺れの想定。十一月の会合で四電は、モーメントマグニチュード(Mw)が6・6だった「鳥取県西部地震」(二〇〇〇年)を考慮せず、Mw5・7の「北海道留萌支庁南部地震」(〇四年)に基づく最大加速度六二〇ガルを基準地震動の一つに設定。しかし規制委は両方の地震を考慮するよう再検討を求めた。
 
 四電は今回、揺れの想定に鳥取県西部地震から導いた五三一ガルを追加し、規制委も認めた。規制委は既に、敷地直近を走る長大断層を震源として考慮した六五〇ガルなど九つの基準地震動を了承していた。
 
 
規制委、柏崎刈羽を現地調査 福島原発と同型で初
東京新聞 2014年12月13日
 原子力規制委員会は十二日、再稼働の前提となる審査を進めている東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の設備や事故対策について現地調査した。担当の更田豊志委員長代理は「ケーブルやホースのつなぎ方に改善がみられ、福島第一原発事故の反省や教訓を生かそうとする緊張感が垣間見えた」と評価した。
 過酷事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型原発に、規制委が審査の一環として設備や事故対策の現地調査に入るのは初めて。本格化している沸騰水型の審査に、調査で確認した内容を反映させる。
 更田氏らは、電源喪失に備えて高台に配備したガスタービン発電機の起動訓練や中央制御室など約百カ所を視察。更田氏は審査で焦点となっている事故対策設備「フィルター付きベント」について「設置場所や運用方法で、まだまだ議論の余地がある」と指摘。審査の状況については「沸騰水型の審査はまだ序盤。どこの原発が先行しているか述べるのは時期尚早だ」とした。
 
 フィルター付きベントは、事故時に原子炉格納容器の破損を防ぐため、放射性物質を減らした上で容器内の蒸気を放出する設備で、沸騰水型の再稼働には事実上必須となっている。審査中の沸騰水型では唯一、柏崎刈羽6、7号機でほぼ完成している。
 規制委が審査中の沸騰水型は七原発八基。十九日には中国電力島根2号機を、来年一月以降に東北電力女川2号機(宮城県)を現地調査する予定。
 
   
大間原発の適合性審査 電源開発、16日にも申請
北海道新聞 2014年12月13日
 電源開発(東京)が、青森県大間町で建設中の大間原発について新規制基準への適合性審査を、16日にも原子力規制委員会に申請する方向で調整していることが12日分かった。昨年7月の新基準施行後、建設中の原発の申請は初めて。規制委は申請を受理後、地震・津波や過酷事故の対策が新基準に適合しているかを確認する審査に着手する。 
 
 電源開発は2020年12月の工事終了を見込み、21年度の運転開始を目指す。大間原発はプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料だけを使う「フルMOX」発電を目指しているが、計画では当初はMOX燃料を3分の1以下とし、5~10年かけて100%まで増やす。 
 
 申請では、耐震設計の前提となる最大地震の揺れの大きさ(基準地震動)を建設許認可時の450ガル(加速度の単位)から650ガルに引き上げる。想定する最大の津波高(基準津波)も4・4メートルから6・3メートルに見直す。東日本大震災後の知見を踏まえたとしている。<どうしん電子版に全文掲載>