2014年3月31日月曜日

世田谷区が区営発電所を推進 脱原発

 世田谷区は、神奈川県三浦市の高台に太陽電池パネルを設置した「世田谷区みうら太陽光発電所」(区営)の建設を進めています。
 約8700平方メートルの土地一面に1680枚の太陽光パネルを並べ、一般家庭130世帯1年分に当たる448300kwを発電する予定です
 電力は競争入札で応札した民間電力会社に売り、収入を再生可能エネルギー普及のため活用します
 
 保坂展人・世田谷区長は、区役所で利用する電気を競争入札したところ、東電から買うより年間1億円以上安くなったことを明らかにし、福島県や群馬県など日本各地で再生可能エネルギーを用いて作った電力を世田谷区内で使う“地域間連携”をさらに強めれば、電力会社の地域独占が崩れる筈だと述べています。
 
 世田谷発の再生可能エネルギー革命が進行しています
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脱原発世田谷区長 区営発電所推進で「電力の地域独占崩れる」
 NEWS ポストセブン2014年3月28日
※女性セブン2014年4月10日号
 およそ8700平方メートルの土地一面に1680枚もの太陽光パネルがずらりと並ぶ。
 今年3月1日、神奈川県三浦市の高台に開設された「世田谷区みうら太陽光発電所」。今後、ソーラーパワーを用いて一般家庭130世帯が1年に使う電力に相当する44万8300kwを発電する予定だ。
 
 この事業を行うのは一般企業ではなく、東京都世田谷区。自治体が“区営発電所”を持つ理由を保坂展人・世田谷区長に聞いた。
 
 「私が2011年4月に『原発依存の社会からの転換』を公約にして世田谷区長に立候補したきっかけは福島原発事故でした。福島で発電した電気を無尽蔵に使ってきた東京23区の中で、世田谷区は88万人という最大の人口です。世田谷で脱原発を実践してみせれば、ここから社会全体の流れを変えられるんじゃないかと考えたんです。そのひとつとして、区で持っていた三浦市の土地に発電所を作りました」(保坂区長)
 
 世田谷区は、「みうら太陽光発電所」で作った電気を、競争入札で応札した民間電力会社に売り、収入を再生可能エネルギー普及のため活用する。
 
 「今後は福島県や群馬県など、日本各地で再生可能エネルギーを用いて作った電力を世田谷区内で使う“地域間連携”をさらに強めたい。そうすれば電力会社の地域独占が崩れるはずです」(保坂区長)
 
 また世田谷区は「電力の地産地消」を目指し、区民の住宅や事業用建物に国の補助金を使って廉価な太陽光パネルを設置する「世田谷ヤネルギー」プランや区が使う電力の競争入札などを推進する。
 「区役所で利用する電気を競争入札したら、東電から買うより年間1億円以上安くなりました。こうした新電力の利用もどんどん進めていきます。原発に頼る社会を一日でも早く脱出したいという消費者が非常に多いので、今後はさらに再生可能エネルギー事業者を盛り上げていきたい」(保坂区長)
 世田谷発の再生可能エネルギー革命が進行している。
 
 

揺れる高速増殖炉「もんじゅ」の行方 小出裕章さんが語る

 
 小出裕章ジャーナルの3月29日版に、「揺れる高速増殖炉もんじゅの行方」についての記事が掲載されました。

 政府や原子力村が「もんじゅ」の運転継続にこだわる真の理由が良く分かります

 やや長文なので、以下に大雑把に要約します。
 
 核分裂するウランは天然ウランの0.7パーセントしかない。残り99.3%の「燃えないウラン」を効率よくプルトニウムに変換しようという技術が高速増殖実験炉「もんじゅ」
 しかし実際は全くの欠陥原子炉で、これまで1兆円以上のお金を注ぎ込んだけれども 豆電球1つ点けることができていない
 
 95年に試運転を開始すると直ぐにナトリウムの漏えい事故を起し、2010年には炉内に中継装置落下させるという大きな事故を起した。その後 機器類の点検を怠る情報隠しが発覚し、ついに2013年5月には原子力規制委から運転準備中止命令」が出された。
 
 当初なんとしても高速増殖炉を作ろうと米国フランスロシアなどが挑戦したが、結局成功しなかった。フランスは小さな実験炉、その後原型炉さらには巨大な原子力発電所まで作ったけれども、その全てが動かなかった。みんな壊れて、フランスも高速増殖炉計画から撤退している
 
 核分裂するウラン少ないので、高速増殖炉を動かすことができない限りは直ぐにウラン燃料は枯渇し、安定的エネルギー源にはなりえない。
  ところが「増殖」は出来ないので、いまでは「高速増殖炉」(という名称)から「増殖」を外して、高速炉(=プルトニウムを高速で反応させる)という名前の原子炉になっている。そしてそれを動かそうとしている。
 
 それはなぜか。日本が使っている軽水炉原子炉では、せいぜい核分裂性のプルトニウム7レベルのものしか出来ないが、高速炉を動かすことができれば同プルトニウム98パーセントという超優秀な核兵器材料が手に入る。これが高速炉にこだわる理由である。
 
 それで核のゴミを少しでも減らすというような理屈を探してきて、なんとか「もんじゅ」の運転を続けようとしているのが実態。
 高速処理により減容できる可能性科学的に言えばゼロではないが、まず核燃料を再処理をしなければいけないわけで、それをすれば周辺環境を猛烈に汚染してしまい、事故の可能性もある、という大きな危険性を抱え込むことになる。
 
 注.下記の記事中の太字部分は原文のままで、一部青字化は事務局で行っています。
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小出裕章ジャーナル 2014年3月29日
           (ラジオ放送日 2013年3月28日〜4月4日
石丸次郎
   今日のテーマは、揺れる高速増殖炉「もんじゅ」の行方についてです。 ラジオフォーラムでは、これまでも「もんじゅ」についてはたびたび触れてまいりました。 「もんじゅ」の問題について、たびたび小出さんにも解説をしていただきましたけれども、 3月5日にNHKがこんなニュースを流してます。
   「フランスが取り組んでいる、いわゆる核のゴミを減らす次世代型原子炉の 研究開発に協力するため、もんじゅの活用も見据えた政府間の取り決めを検討している」
   なにか「もんじゅ」の新しい延命策をフランスとやり取りを重ねているようですが。 まず、リスナーのために「もんじゅ」のおさらいを小出さん、ちょっと簡単にお願いできますでしょうか?
小出さん
   はい。原子力というのは、ウランを燃料にして発電をしようとする、そういう技術です。 ただ、ウランと一口で言っても、そのウランの中には2種類ありまして、 いわゆる「燃えるウラン」、つまり「核分裂するウラン」というものと、 「核分裂しない燃えないウラン」というものがあるのです。 そして、大切な「核分裂するウラン」というのは、 実はウラン全体の0.7パーセントしかないのです。
   私自身は原子力が将来の夢のエネルギーで、資源が山ほどあると思って、 この道に足を踏み込んだのですけれども、実は燃えるウランはもうほとんど無くてですね、 原子力をやろうとすると、すぐに無くなってしまうということに気が付いたわけです。
   そこで、ウラン全体の99.3パーセントを占めている「燃えないウラン」。 それをなんとか活用できないかと考えまして、 そのウランをプルトニウムという物質に もし変換することができるのであれば、 そのプルトニウムがまた原子力発電の燃料になると考えたのです
   プルトニウムというのは長崎の原爆にもなった材料ですから、 原子炉の中で燃料として使うこともできるということを実現しようとしたのです。 その実現するためには、「燃えないウラン」を効率よくプルトニウムに 変換していく技術が必要になるわけで、 そのための原子炉が高速増殖炉と私達が呼んできた原子炉で、 日本では「もんじゅ」という原型炉と言うのですが、 まあ実験炉の毛の生えたようなものをなんとか作って やってみたいと計画が進んできました。
   ところが、その「もんじゅ」というのは全くの欠陥原子炉でして、 これまで1兆円以上のお金を注ぎ込みましたけれども、 豆電球1つ点けることができないという、そんな原子炉なのでした。
石丸次郎
   はい。この福井県敦賀市にある「もんじゅ」。 今、おっしゃられたようにですね全然動かなかったどころかですね、 事故をたびたび起こしてます。
   95年に試運転を開始しましたけれども、ナトリウムの漏えい事故。 それから、2010年には炉内に中継装置が落下するという大きな事故。 それから、点検を怠る情報隠しが発覚してですね、 2013年、昨年5月には、とうとう原子力規制委員会から 運転準備中止命令が出されると。
   ですから、これで「もんじゅ」は終わりに向けた計画が始まるのかなと 思ったところがですね、フランスと組んでやると。 このフランスが計画している核のゴミを減らす次世代型原子炉、 これは、どういう物なんでしょうか?
小出さん
    要するに悪あがきをしている。
石丸次郎
    悪あがき。はあ~。
小出さん
   世界中の原子力推進派の人達は、ウランが少ないということはすぐに気が付きまして、 高速増殖炉を動かすことができない限りは、 原子力がエネルギー源になんかならないんだということが、 もうずーっと前から分かっていたのです。
   そのため、なんとしても高速増殖炉を作ろうとして、 米国にしてもフランスにしてもロシアにしても、 みんながやろうとしたのですけれども結局できなかったのです。
   フランスもラプソディーという小ちゃな実験炉。 そして、フェニックス。つまり、不死鳥という原型炉。 さらには、スーパーフェニックスという巨大な原子力発電所まで 作ったのですけれども、その全てが動かない。 みんな壊れていってしまうということで、 フランス自身も高速増殖炉計画からはすでにもう撤退しているのです。 つまり、原子力がエネルギー源になるということは、 もうありえないということがハッキリと分かってしまっている
   そこで、フランスにしても日本にしてもエネルギー源にならないにしても、 なんとか高速増殖炉と実は名前が付いてるのですが、 今はその増殖というのを取ってしまって。 つまり、プルトニウムを増殖なんかもうできないと。 高速炉という名前の原子炉を動かそうとしているのです。
石丸次郎
   なんか記事を検索しててもね、増殖という言葉はどんどん消えていってるんで、 おかしいなと思ってたんですけど、そういう理由だったんですね。
小出さん:
   そうです。 もうプルトニウムをどんどん増殖して、エネルギー源にするっていうことは できないってことがもう分かってしまっているのです。 それでも、なんとしてもこの原子炉を動かそうという人達がいるわけで。 それは、なぜかというとですね、 この高速炉という原子炉が、もし高速炉を動かすことができるなら、 その高速炉の炉心の周辺にブランケットという、 いわゆる毛布と呼ぶような領域があるのですが、 そこに超優秀な核兵器材料のプルトニウムが貯まってくるという、 そういう性質を持っているのです。
   日本は、もともと核兵器を作りたいという動機に基づいて、 平和利用とか言いながら原子力開発を始めたわけですけれども。 今日、日本が使っている原子力発電所の原子炉、私たち軽水炉と呼んでいますが。 その原子炉では、核分裂性のプルトニウムが せいぜい7割ぐらいしか含まれていないプルトニウムしかできないのです。
   しかし、もし高速炉を動かすことができれば、そのブランケットの部分には、 98パーセントが核分裂性というプルトニウムが貯まってくるのです。 超優秀な核兵器材料が手に入るということで、 どうしてもこの原子炉は動かさなければいけないのです
石丸次郎
   なるほど。 小出さん、すみません。 小出さんは、つまりこの非常に核兵器を作るために優秀なと言いますか、 純度の高いと言いますか、そのプルトニウムを獲得を目指してる というふうな見方されているってことですよね?
小出さん
   そうです。 ですから、今、その石丸さん、そのゴミの処理、始末のためにとかですね フランスが言っていて、日本もまあその研究に協力するっていうようなことを 言ってますけれども、本当はそうではないのです。
   本当の彼らの目的は、超優秀な核兵器材料を懐に入れたいのです。 そのためには、もうエネルギー源にならないということは歴然と分かってしまったので、 なにか理由を作らなければいけないということで、 核のゴミを少しでも減らすというような理屈を今探してきたということです。
石丸次郎
   なるほど。 小出さん、この政府のですねエネルギー基本計画原案。 2月26日に発表されてますけれども、この中にこういう一説があります。
  「高レベル放射性廃棄物の現用化。有害提言等の観点から使用済み燃料を再処理し、 回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本方針とする。」
   と、つまり核のゴミをここに7分の1に減らすと。 そして、有害でない、つまり非常に汚染度の高い物を、汚染を減らしいくという。 そういう研究をするんだっていうことだと思うんですけれども。 こういうことは可能と言いますか、目指す意味っていうのはあるんですか?
小出さん:
   はい。 原理的に言えば、高速炉の中にプルトニウム等を入れて燃やすことはできる。 つまり、もう増殖できないこと分かっているわけですから、 プルトニウムをそこに入れれば燃やすということはできる ということは分かっているわけです。
   で、プルトニウムは半減期という半分に減るまでの時間が 2万4千年もかかってしまうという、途方もなく寿命の長い放射性物質ですので、 それをなんとか私達の世代で消していきたいと私自身も思います。
   そのために、さまざまな研究が続いてきたのですけれども、 それを今度「もんじゅ」を使って研究する というような理屈を考え付いたわけですね。
   そして、その可能性がもちろん科学的に言えばゼロではありませんけれども。 今、石丸さんもちょっとおっしゃって下さったように、 それを実現しようとすれば、まず再処理ということをやらなければいけないわけで、 再処理をやってしまうと、これまでの世界中の再処理工場の歴史が示してきたように、 周辺環境を猛烈に汚染してしまいます
   そして、事故の危険も消えません。 そして、おまけにようやく取り出したプルトニウムをまた 「もんじゅ」というような危険な原子炉で燃やそうとするわけですから、 そこでもまた危険を抱えてしまうわけです。
   これまで確かに危険な物を作り出してきてしまったけれども、 それをまた別な形の危険なやり方でなんとかしようとする。 そういう試みですので、私はできればそういう方向じゃない方向を 目指すべきだと思いますし、先ほども聞いて頂いたように、 そのような屁理屈をこねながら結局彼らは 超優秀な核兵器材料を欲しんだろうなと私は思っています
石丸次郎
   この「もんじゅ」をなんとしてでも延命させたいと。 これ実は、断層が「もんじゅ」の原子炉地下にあるということが見つかってて、 活断層かどうかの検証が今続いてますよね。
小出さん
   そうです。 
石丸次郎
   そういう意味でも「もんじゅ」は非常に危険だっていうこと。 それから、事故が繰り返されてきたっていうこと。 そして、もうかなり古いということがありますので、「もんじゅ」は てっきりもう去年の段階で、これ終わりに向けて動き出すのかなと思ったら、 ところがどっこいっていう感じですね。
小出さん:
   そうなのです。 先ほど、石丸さんおっしゃってくださったけど、 1995年にナトリウム漏れという事故を起こしました。 そして、ずーっと停止していて、14年間止まったままだったのです。 それを2009年にまた動かし始めようとして、 すぐにまた事故を起こしたわけですけれども。
   皆さん考えていただきたいんですけれども、14年間も止まったままだった機械、 自動車でもいいですけれども、そんな物をもう一度動かそうという気に なるかどうかということなんだと思います
   日本の政府、核兵器を作りたいという人達から見れば、確かにこれはまずいし、 当初の皆さんに言ってきたような増殖というような目的も達成できないけれども、 それでもやはり核兵器材料を懐に入れるためには、 なんとしても諦めることができないということでやってしまったわけです。
石丸次郎:
   諦め悪いですね~。
小出さん:
   ほんとに諦めが悪いと思います。
石丸次郎
   小出さん、もうちょっとお聞きしたいんですが、 今日はじゃあこの辺までにしたいと思います。 ありがとうございました。
小出さん
   ありがとうございました。
 
 

2014年3月30日日曜日

関電 四電 原発ゼロでも電力は余力

 関西電力は28日、全原発が停止した場合でも今夏の電力需給には余力があることを明らかにしました。
 また四国電力も、28日この夏の電力の需要と供給について、愛媛県の伊方原発が運転を再開していなくても安定的な供給を確保していけるという見通しを明らかにしました。
 
 福島原発事故後4年目に入りますが、ピーク時の需給の関係からも原発の再稼動が不要であることが、時間の経過とともにますます明らかにされています。
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関電今夏「電力足りる」 原発ゼロでも余力
 東京新聞 2014年3月29日
 関西電力は全原発が停止した場合の今夏の電力需給見通しに関し、供給力の余力を示す「予備率」をプラスと想定する方針を固めたことが二十八日、分かった。深刻な電力不足には至らず、計画停電の準備は見送られる可能性が強まった。
 東日本大震災後の夏で、関電が原発ゼロを前提としてプラスの予備率を見込むのは初めて。家庭や企業の節電が定着していることに加え、火力発電所の効率化や他電力会社からの調達「電力融通」を増やすことを織り込んだ。
 今後も他電力からの電力融通をさらに増やし、安定供給に最低限必要とされる予備率3%の実現を目指す。
 四月にも開かれる政府の電力需給検証小委員会に報告し、家庭や企業に対し数値目標を伴う節電要請が必要かどうかを議論する。
 昨夏は大飯原発3、4号機(福井県、計二百三十六万キロワット)が運転して需要期を迎え、九月まで稼働した。このため、予備率は3%をぎりぎり確保できた。
 今夏は火力の姫路第二発電所1~4号機(兵庫県、各四十八万六千五百キロワット)が寄与するが、大飯3、4号機の穴は埋まらない。
 
 
四電 原発なしで安定供給確保
NHK NEWS WEB 2014年3月28
四国電力の千葉昭社長は、28日の会見で、ひっ迫することが予想されるこの夏の電力の需要と供給について、愛媛県の伊方原子力発電所が、運転を再開していなくてもさまざまな対策を講じて安定的な供給を確保していきたいという姿勢を示しました。
四国電力の千葉社長は、28日、定例の記者会見を開き、来年度・平成26年度の電力の需要と供給の見通しを公表しました。
それによりますと、需要は、緩やかな景気の回復が見込まれる一方で、節電の定着などから今年度をやや下回る270億キロワットアワーを想定しているということです。
一方、供給は、伊方原発の運転再開の見通しが不透明なことから「未定」としました。
また、冷房などでひっ迫することが予想される夏の電力需給について千葉社長は、「計画停電は、心理的なプレッシャーを含め、利用者への影響が大きいので、なんとしても避けたい。数値付きの節電目標も設定しないようにしたい」と述べました。
その上で、千葉社長は、「伊方原発が運転を再開しているのが望ましいが、そうでない場合でも、火力発電所の定期検査を延ばし運転を継続したり、節電を呼びかけたりする」と述べ、安定供給の確保に向けてさまざまな対策を進めていく姿勢を示しました。
 
 

2014年3月29日土曜日

火力発電の新設が相次ぎ、正常化の方向

 電力各社の平成26年度の供給計画によると、原発再稼働が見通せない中、将来にわたって電力を安定供給するため火力建設にシフトしたことが分かりました。
 
 電力各社は25年度では1年以内の原発再稼働を想定していましたが、原子力規制委員会で安全審査中の原発は今も再稼働の見通しが立たず、他の老朽化原発の再稼働はさらに厳しい状況のため、26年度の計画で一斉に火力の増強に乗り出すことになったものです。
    日本にある48基の原発のうち3分の1の16基は、老朽原発の目安となる運転30年を既に超えています。昨夏の原発の新規制基準施行時に、原発の運転を40年まで延ばすことが決まりましたが、中性子アタックを受ける原子炉の使用期限を不用意に延長するのは危険な話で、そういう点からも原発は再稼動すべきではありません。
 
 平成26年度の火力発電所の建設計画は下記のとおりです。
  東北電力 : 120万キロワット/アワー  (石炭火力)
  中部電力 : 100万キロワット/アワー (石炭火力)
  関西電力 : 150万キロワット/アワー (石炭火力・LNG火力)
  九州電力 : 100万キロワット/アワー (石炭火力)
  東京電力 : 600万キロワット/アワー (石炭火力?)
 
 火力発電用の燃料は、日本では1960年以降石油が主力の時代が続いたものの、2度のオイルショックを経て、1980年以降は石炭と天然ガスが火力発電の主力となりました。
 
 正しく計算すれば原子力発電は低コストではなく、石炭火力が最も低コストで、次いでLNG(天然ガス)発電なので、期せずして平成26年度は本来目指すべき方向に軌道修正されました。
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火力発電 新設相次ぐ 電力各社、原発再稼働見通せず
産経新聞 2014年3月28日
 電力各社の平成26年度の供給計画が27日までにほぼ出そろった。4社が原発1基分(100万キロワット)を上回る大型の火力発電所新設に乗り出すほか、未発表の東京電力も600万キロワット規模の火力を建設する。原発再稼働が見通せない中、将来にわたって電力を安定供給するため、各社の火力建設ラッシュが始まる。
 
 東日本大震災後、電力各社が火力発電所を新設・更新する際は経営効率化のために入札が必要となった。
 東北電力は計120万キロワットの入札を実施。自ら応札して落札できれば、能代発電所3号機(石炭、秋田県)の稼働を従来計画の「40年度以降」から「32年度」に前倒しする。
 中部電力は、100万キロワット程度の火力を新設。入札では調達価格が比較的安い石炭火力の建設が有力視される。自らの応札も検討する。
 関西電力も150万キロワットの火力の入札を実施し、早ければ33年度に稼働させる。燃料は石炭や液化天然ガス(LNG)が軸となる見通し。原発停止に伴って供給力の柱となっている火力は老朽化が進んでおり、最新鋭発電所の導入を進める。ただ、資金力に余裕がないため自社応札はしない。
 九州電力の入札は100万キロワット余り。自社落札できれば、凍結中の松浦発電所2号機(石炭、長崎県)の建設を再開し、33年の稼働を目指す。
 一方、東電は原発6基分に相当する600万キロワット程度の火力入札を検討。昨年、260万キロワット分の入札を実施したが、入札価格の上限が低すぎて最終的に約60万キロワットしか確保できなかったため、今回は未達分の200万キロワット分を再入札。さらに、新再建計画で打ち出している計1千万キロワット分の老朽火力建て替えのうち、400万キロワット分の入札も予定する。
 
 各社とも25年度の供給計画策定時には1年以内の原発再稼働を想定していた。しかし原子力規制委員会で安全審査中の原発は今も再稼働の見通しが立たず、他の老朽化原発の再稼働はさらに厳しい状況だ。このため各社は26年度の計画で一斉に火力増強に乗り出す。
 

(参考記事)
首相、川内原発再稼働へ意欲 
日経新聞 2014年3月28日
 安倍晋三首相は28日の参院本会議で、九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の再稼働について「できないという後ろ向きの発想ではなく、どうすれば地元の理解を得られるかが重要だ」と述べ、意欲を示した。「万が一の事故の場合は自衛隊の車両や船舶などで住民の避難対応に総力を挙げる」と安全対策に万全を期す考えも強調した。共産党の仁比聡平氏への答弁。
 
 同原発を巡っては、原子力規制委員会が安全審査を優先的に進めており、最も早く再稼働にこぎ着ける可能性が高まっている。首相は「原子力規制委が認めない限り再稼働しない」との方針を示している。