2015年2月28日土曜日

福島県議会が抗議の決議 原発汚染雨水流出で

 福島原発2号機の原子炉建屋屋上の汚染雨水が排水路を通じて外洋に流出していた問題で、福島県議会は26日東電に対して抗議する決議を全会一致で可決しました。
 
 決議は、汚染雨水が流出しその公表が遅れたことは「誠に遺憾」であるとし東電に原因究明や再発防止策の徹底などを求めています
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県議会が抗議決議 第一原発汚染雨水流出で
福島民報 2015年2月27日
 東京電力福島第一原発2号機の原子炉建屋屋上の汚染雨水が排水路を通じて港湾外の海に流出していた問題で、県議会は26日開いた2月定例会本会議で、東電に対して断固抗議する決議を全会一致で可決した。原因究明と再発防止策の徹底、県民への十分な情報提供を求めた。
 
 決議では、これまで県議会全員協議会の場で、東電に対して汚染水対策の確実な実行を重ねて要請してきたにもかかわらず、汚染雨水が流出し公表が遅れたことは「誠に遺憾」としている。
 さらに、「汚染水対策をはじめとする原発の安全確保は本県復興の前提となる最重要課題」とし、東電に原因究明や再発防止策の徹底などを訴えた。
 決議の可決を受け、平出孝朗議長が27日、県庁で東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者に対し決議内容を申し入れる。
 
 決議は全6会派の代表が連名で提出した。原発事故に関連する県議会の決議は、平成23年9月議会で可決された「原発事故による損害賠償に関する決議」以来となった。
 

原発再稼働同意「必要」8割 30キロ圏の京都滋賀9市町議

 市民団体が行った、高浜原発から30キロ圏の京都府、滋賀県の9市町議会議員を対象にしたアンケートの結果30キロ圏の自治体に対して再稼働への同意権や住民説明会の開催が「必要」と答えた議員は、いずれも8割前後に上りました。
 
 原発から30キロ圏の自治体の同意権は「必要」が77%、再稼働に関する住民説明会は「必要」が90%でした。
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原発再稼働同意「必要」8割 30キロ圏の京都滋賀9市町議
京都新聞 2015年2月27日
 関西を中心に活動する市民団体でつくる「若狭の原発周辺住民ネットワーク」が26日、高浜原発(福井県高浜町)から30キロ圏の京都府、滋賀県の9市町議会議員を対象にしたアンケートの結果を発表した。30キロ圏の自治体に関して、再稼働への同意権や住民説明会の開催が「必要」と答えた議員は、いずれも8割前後にのぼった。
 アンケートは9市町議180人を対象に実施し、97人が回答した。
 
 再稼働への同意が福井県と高浜町のみで良いかを尋ねた質問では「そうは思わない」が82人(85%)と最も多く、「それで良い」は6人いた。原発から30キロ圏の自治体の同意権は「必要」が75人(77%)、「必要ではない」は3人だった。
 
 再稼働に関する住民説明会は「必要」が87人(90%)、「必要ない」は4人。30キロ圏内での開催が「必要」と答えたのは81人(84%)、「必要ない」も5人いた。
 
 30キロ圏内の同意権や住民説明会に関する質問に「その他」を選択した議員の中には、自由記入欄に「30キロ圏より範囲を広げるべき」との声もあり、実施団体は「同意権や説明会を求める割合はさらに多い」としている。
 

2015年2月27日金曜日

外洋放流は当初から規制委も認識 今度はデタラメの解決策

 福島原発の汚染水が排水溝を通じて外洋に放流されていたことは、遅くても2013年11月には規制委は東電から報告を受けていたのに、規制委は対策を明確に指示していなかったことが明らかになりました。
 田中俊一委員長は25日の記者会見で、「放置していたわけではなく、会合で議論していた。規制委に責任問題はまったくない」と述べましたが、そういう言い訳では納得出来ません
 
 また田中委員長がその記者会見で、「排水溝を港湾内に流れ込むようにした方がいいと思う」と述べたことを受けて、東電は26日、雨水が流れる排水溝にポンプを設置し、港湾内に通じる別の排水溝に移すと明らかにしたほか排水溝を港湾内につなげる形に付け替えることも検討するとしています。
 
 しかし港湾と外洋を仕切っている堤は、コンクリートブロックと大石を断面を台形の形に積み上げて、頂部のみをコンクリートの構造としたいわゆる透過堤なので、下部は石やブロックの間隙を通じて外洋とつながっています。内側に張ったというシルトフェンスも水の流通を阻止するものではありません。そもそも潮の満ち干に伴っていくらでも海水は出入りしています。
 従って汚染した排水を港湾内に導くことが何の解決にもならないのは明らかなのに、規制委も東電もまことしやかに解決策であるかのように振舞っているのは一体どういうことなのでしょうか。
 (漁連に)バレさえしなければ何をしても良いと思っているようです。
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汚染水漏れ1年以上前報告 規制委、対策指示せず
東京新聞 2015年2月26日
 東京電力福島第一原発の排水溝から、高濃度の汚染水が外洋に漏出している問題で、原子力規制委員会は遅くとも二〇一三年十一月、東電から漏出の報告を受けていたのに、排水溝の付け替えなど有効な対策を明確に指示していなかったことが二十五日、規制委や東電への取材で分かった。現在も、外洋への汚染は続いている。 
 
 東電は漏出の兆候として一三年十一月ごろ、1~4号機の山側を通るK排水溝を流れる水に含まれる放射性セシウムなどの濃度が高いことを規制委に報告。昨年四月以降の測定で、法令で放出が認められている濃度基準を上回る数値であることを確認した。
 規制委は一四年一月から作業部会で議論を始め、二月には東電に「一五年三月末までに濃度基準を下回るように」と文書で求めた。作業部会では、メンバーから、浄化対策が講じやすい専用港内に排水溝の出口を付け替える案や、海に放出する前にいったん水をためて、基準を満たしていることを確認した後に排出する案などが出された。
 ところが、東電は「検討中」「データの整理中」などの答えを繰り返し、結局は排水溝内を清掃する方針を示し、部会で出た改修案はうやむやになった。
 その一方、東電は一四年四月から一週間に一回、排水溝の流量や放射性物質の濃度などの測定を開始。日常的に汚染された水が流れ、雨になると濃度が急上昇する状況を明確につかんでいた。
 
 しかし、規制委は東電に測定データを要求せず、東電がどんな対策を練っているのか積極的に把握しようとせず、待ちの姿勢に終始した。その結果、今月二十四日に東電が高濃度汚染水の漏出のデータを報告するまで、規制委は明確に状況を把握できていなかった。
 規制委の金城慎司事故対策室長は「東電がデータの整理中と答えていたので、待っていた。排水溝近くののり面をカバーで覆ったり、除染するなど汚染源を取り除いてきたのを確認してきた」と釈明した。
 田中俊一委員長は二十五日の記者会見で「排水溝は雨水などがあり、コントロールできない。放置していたわけではなく、会合で議論していた。(規制委に)責任問題はまったくない」と述べた。
 
◆政府なお「状況コントロール」
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十五日の記者会見で、東京電力福島第一原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けていた問題について「港湾外の海水の濃度は法令告示濃度に比べ十分に低い。汚染水の影響は完全にブロックされている。状況はコントロールされている」と述べた。政府は遅くても二〇一三年十一月以降、継続的な汚染水漏れを把握しながら、外洋への影響を否定してきた。
 安倍晋三首相は二〇一三年九月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、福島第一原発について「アンダーコントロール(管理されている)」と明言。汚染水漏れが続いていた一四年十月の参院本会議で、この発言の撤回を求められた際も「全体として状況はコントロールされている」と繰り返した。
 これに対し、民主党の枝野幸男幹事長は二十五日の記者会見で、汚染水漏れについて「まったくアンダーコントロールではない状況が証明されている」と指摘。「(所管する)経済産業省がきちっと監督をしていないことの裏返しだ。国会論戦で責任を厳しく追及していきたい」と述べた。
 
 
流出汚染水、港内へ 雨水をポンプで移動
東京新聞 2015年2月26日
 東京電力福島第一原発2号機原子炉建屋から放射性物質を含む雨水が排水溝を通じて外洋に流出していた問題で、東電は二十六日、雨水が流れる排水溝にポンプを設置し、港湾内に通じる別の排水溝に移すと明らかにした。排水溝を港湾内につなげる形に付け替えることも検討するとしている。
 
 東電は昨年五月、他の排水溝に比べて問題の排水溝の水の放射性物質濃度が降雨時に上昇することを把握した。しかし測定結果を公表せず、海洋流出を防ぐ対策もとっていなかった。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は二十五日の記者会見で「排水溝を港湾内に流れ込むようにした方がいいと思う」と述べ、東電に汚染防止対策を求めた。
 福島県や地元市町村、専門家などでつくる廃炉安全監視協議会が二十七日、立ち入り調査する。
 

東電が「就労不能損害」を再考して認める 「そうま農協」

 原発事故の影響で仕事の収入を失う「就労不能損害」の賠償をめぐるADRで、東電側が、賠償の対象外としていた「そうま農協」(福島県南相馬市)の従業員計79人に対し、計約2723万円を支払う和解が成立していました。
 
 東電は、79人については避難指示などが出ていない自治体に居住や勤務しているとして賠償の支払いを拒否していましたが、最終的に「原発事故の影響を大きく受けた農協に勤務していた」ということを認めたものです。
 この件に関して東電の機械的・事務的な拒否の態度が改められたのは何よりのことです。
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原発事故「就労不能損害」 賠償対象外に支払い
東京新聞 2015年2月26日
 東京電力福島第一原発事故の影響で仕事の収入を失う「就労不能損害」の賠償をめぐる裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電側が、賠償の対象外としていた「そうま農協」(福島県南相馬市)の従業員計七十九人に対し、計約二千七百二十三万円を支払うことで和解が成立していたことが同農協への取材で分かった。
 
 そうま農協によると、原発事故に伴い業績が悪化しボーナスが減額されたとして、当時の全従業員四百五人が東電に賠償を請求。しかし東電は、七十九人については、避難指示などが出ていない自治体に居住や勤務しているとして賠償の支払いを拒否した。
 七十九人はこれを不服として二〇一三年十一月にADRを申し立てた。昨年十二月、東電に賠償を支払うよう求める和解案が示され、東電は「原発事故の影響を大きく受けた農協に勤務していたという特殊事情を考慮したものと理解する」として、今月十日付で和解が成立したという。
 七十九人以外に対しては既に賠償を支払った。
 

2015年2月26日木曜日

福島原発汚染水垂れ流しに漁連が怒りの声

 東電が、福島原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けるのを放置していたことが、24日、明らかにされました。
 昨年月に外洋に汚染水が直接放流されていることを把握しながら公表せず、何らの対策も取りませんでした
 
 特に1~4号機の山側を通る排水溝(K排水溝)はほかよりも一段高い汚染濃度を示し例えば、昨年26日には、リットル当たりセシウムが1010ベクレル、骨にたまりやすいストロンチウムなどは1500ベクレルで、日常的に、両物質とも数十ベクレル以上のレベル流量は一日当たり約1700トンにります。
 2号機の建屋屋根にたまった放射性物質などが雨で流され、溝に入り込んだ可能性があるとされています
 
 この排水を外洋に直接放流するのを止めて仮に港湾内放流に変更したとしても、若干の時間差が生ずるだけで基本的には全ての放射性物質は外洋に流出します。
 
 福島県漁業協同組合連合会は25日、この問題について東電と国から説明を受けましたが、問題を把握しながら対策を講じなかったことに、出席者からは「信頼関係が崩れた」「漁業者を甘く見ているのか」と怒りの声が相次ぎました
 
 東電と国は福島原発の汚染水対策として、建屋周辺の井戸「サブドレン」などからくみ上げた地下水を浄化して海に流す方針で漁業者に理解を求めていますが、東電のこの問題での信じがたいような対応が明らかになった以上、とても収まりがつくとは思われません。

 東電が原発を扱うに値しない企業であるといわれる理由が良く分かります。
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福島第一汚染水垂れ流し 漁連「信頼崩れた」
東京新聞 2015年2月25日 
 福島県漁業協同組合連合会は二十五日、同県いわき市で組合長会議を開き、東京電力福島第一原発2号機の原子炉建屋屋上から汚染雨水が排水路を通じて外洋に流出していた問題について、東電と国から説明を受けた。東電が問題を把握しながら対策を講じなかったことに、出席者からは「信頼関係が崩れた」「漁業者を甘く見ているのか」と怒りの声が相次いだ。
 内堀雅雄県知事はこの日の関係部長会議で「県民に不安を与える問題が起きたこと、情報が速やかに公表されなかったことは遺憾だ」と述べ、県や地元市町村、専門家でつくる廃炉安全監視協議会の立ち入り調査を近く行う考えを示した。
 
 東電と国は第一原発の汚染水対策として、建屋周辺の井戸「サブドレン」などからくみ上げた地下水を浄化して海に流す方針で漁業者に理解を求めているが、今回の汚染雨水の流出で反発が強まりそうだ。
 会議では、いわき市漁協の矢吹正一組合長が「以前から分かっていたのになぜ黙っていたのか。漁業者は大ショックで、サブドレンどころではない」と批判。相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長も「東電と漁業者の信頼関係が崩れた」と述べた。
 
 
汚染水 外洋に垂れ流し 1年前に把握、放置 福島第一
東京新聞 15年2月25日
 東京電力が、福島第一原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けるのを放置していたことが二十四日、分かった。外洋への継続的な漏出を昨年四月に把握しながら公表せず、排水溝を専用港内に付け替えるなどの対策も取っていなかった。(荒井六貴)
 
 東電によると、昨年四月十六日以降、一週間に一回、四本ある排水溝の出口付近で流れる水を採取し、放射性セシウムやストロンチウムなどを分析。当初から四本とも明確に汚染が確認され、特に1~4号機の山側を通る排水溝(K排水溝)では、ほかよりも一段高い濃度を示していた。
 例えば、昨年八月二十六日には、一リットル当たりセシウムが一〇一〇ベクレル、骨にたまりやすいストロンチウムなどは一五〇〇ベクレルと、水としては非常に高い値だった。日常的に、両物質とも数十ベクレル以上のレベルで推移している。流量は一日当たり約千七百トンに上る計算になる。2号機の建屋屋根にたまった放射性物質などが雨で流され、溝に入り込んだ可能性がある。
 
 ほかの排水溝も、K排水溝ほどではないものの、日常的に汚染が確認され、降雨で濃度が上がる同様の傾向を示している。
 東電は、一昨年八月にタンクからの高濃度汚染水漏れを受け、タンク群近くのC排水溝の出口は、水が比較的拡散しにくい専用港内に付け替えた。
 しかし、東電は他の排水溝は対策を取ろうとせず、昨年四月以降のデータを公表しようともしなかった。
 東電は、自社が実施する外洋の濃度測定で、セシウムとストロンチウムなどはほとんどが同一ベクレル以下であるとして、「外洋には影響はない」と説明している。
 東電の小林照明原子力・立地本部長代理は「(排水溝内を清掃するなど)できるだけ放射性物質の濃度を下げるという方策を取ってきた。(漏出防止については)重要な項目であるので、検討を進めたい」と話した。
 
◆東電、今も続く隠蔽体質
 <解説> 東京電力は「福島復興への責任を果たす」と強調する一方で、福島第一原発から高濃度汚染水が漏れ続けているのを知りつつ公表せず、対策を講じようともしなかった。東電の隠蔽(いんぺい)体質は今も続き、福島を裏切り続けていたとも言える。
 海に出た汚染水は、波や潮流で急速に薄まる。海水魚は取り込んだ塩類をどんどん放出するため、淡水魚に比べセシウムなどを体内にためにくいのも事実だ。
 しかし、汚染水は「八」の字形をした原発専用港の中でブロックされているどころか、外洋を直接汚していた。しかも雨のたび通常の百倍の濃度にまで高まる状況。こんな状況を放置していて何も影響が出ない保証はない。
 東電の精度の低いモニタリングでも、原発の南北にある放水口近くの海水から時折、一リットル当たり数ベクレル、高い時には一〇ベクレルを大きく超える放射性セシウムが検出されてきた。こうしたデータは、海の浄化作用でもカバーしきれない汚染が続いていることを示している。
 せめて問題の排水溝を専用港内に付け替え、港内の海水を浄化する機能を強化しないと、復興に向けて試験操業を続ける地元の漁業者にとっても大きな痛手となりかねない。
 本紙と共同で福島や首都圏各地の放射能汚染調査を続けてきた独協医科大の木村真三准教授は「やはり原発の状況を、東電自身ではなく、第三者がきちんと調べないと、信頼回復につながらないのではないか」と指摘した。(山川剛史)
 

2015年2月25日水曜日

南相馬市「脱原発宣言」へ 全国初

 南相馬市の桜井勝延市長は、市が「脱原発宣言」を表明することを明らかにしました。自治体の脱原発宣言はほかに例がないということです
 市の復興総合計画の前提として原発への依存を排除するもので、桜井市長は「避難計画が決まらないまま、各地で原発再稼働が進められようとしている中で、市の態度を示したい」と話しました。
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南相馬市「脱原発宣言」へ
河北新報 2015年2月24日   
 南相馬市の桜井勝延市長は23日、市が「脱原発宣言」を表明すると明らかにした。市によると、自治体の脱原発宣言はほかに例がないという。
 定例会見で明かした。市の復興総合計画の基本となる宣言で、まちづくりの前提として原発への依存を排除する内容。3月2日開会予定の市議会3月定例会で宣言する。
 桜井市長は「福島第1原発事故で、6万人以上の市民が避難することになった。避難計画が決まらないまま、各地で原発再稼働が進められようとしている中で、市の態度を示したい」と話した。
 原発事故後、同市は建設予定だった東北電力浪江・小高原発(計画中止)の立地拒否を表明。全国の原発立地自治体などでつくる「全国原子力発電所所在市町村協議会」からも退会している。
 

福島県、中間貯蔵搬入受け入れ決定 地元同意前提

 福島県内の除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設について、県は地元の同意を前提に、施設への搬入を認める方針を決めました
 
 内堀雅雄知事は建設予定地の大熊、双葉両町など双葉郡8町村長らと会談して異論が出なければ、搬入を受け入れる見通しです
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県、中間貯蔵搬入受け入れ決定 24日、地元首長と協議
福島民友ニュース 2015年2月24日
 (福島)県内の除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設をめぐり、県は23日、県庁で関係部局長会議を開き、地元の同意を前提に、施設への搬入を認める方針を決めた。県が搬入の是非を判断するために求めた5条件に対し、政府対応がほぼ地元の意向に沿っていると確認した。内堀雅雄知事は24日、建設予定地の大熊、双葉両町など双葉郡8町村長らと福島市で会談して異論が出なければ、搬入を受け入れる見通し。 
 
 内堀知事は23日の2月定例県議会代表質問で自民党の杉山純一議員(大沼郡)に対し、5条件への政府対応について「おおむね県や地元の意向を踏まえて対応されている」との見解を明らかにした。その上で、8町村長らとの会談で県の方針を伝え、自ら最終判断する考えを示した。
 内堀知事は町村長の了承を得られれば、25日に望月義夫環境相、竹下亘復興相と会談、搬入容認の意向を表明するとみられる。同日に大熊、双葉両町、県、国が安全協定を締結する方向で詰めの調整をしている。
 
県、中間貯蔵搬入受け入れ決定 24日、地元首長と協議

2015年2月24日火曜日

浜岡3号機の再稼働申請、4月以降に先送り

 中部電力は、浜岡原発3号機の新規制基準への適合審査の申請を、4月以降に先送りする方針を固めました。必要なデータが3月末までには準備できないことと、安全対策の工事完了が2017年9月にずれ込むので申請を急ぐ必要もないためです。
 
 浜岡原発は1、2号機は廃炉が決定し、5号機は以前に原子炉圧力容器内に海水が入る事故があって使用できないため、再稼動の対象は3号機と4号機だけです。
 4号機は昨年2月に適合審査申請し、つい先日規制委が初の現地調査を行ったばかりです
※ 2015年2月15日 浜岡4号機を規制委が初の調査 

 浜岡原発は、将来必ず起こるとされている東海大地震の震源域の中央付近に立地しているため、世界的に最も危ない原発であるとされています(英国フィナンシャル・タイムズなど)。
 島崎邦彦委員長代理が在籍していたときには、「巨大地震の発生確率がほかの原発に比べてはるかに高い。震源域で何が起こるか知見も限られている」として、審査では地震の想定が妥当かどうかなどを慎重に確認する方針を示しましたが、厳格だった同氏は電力会社に忌避されて真っ先に交代させられました。
 
 その後の審査の様子については殆ど報じられていませんが、どのように進められているのでしょうか。
 国内では勿論ですが海外からも注目されているなかで、耐震性の向上を満足に行いまま安易に合格させるなどは絶対に避けなければなりません。
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浜岡3号機の再稼働申請、4月以降に先送り 中部電力
朝日新聞 2015年2月23日
 中部電力は、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)3号機の再稼働に向けた新規制基準への適合審査の申請を、4月以降に先送りする方針を固めた。申請済みの4号機や他の原発の審査状況から、安全対策などで3号機でも提出が必要と見込まれる項目が増え、データ解析などに時間がかかるため、目指してきた3月末までの申請を断念する。
 
 中部電は昨年2月、浜岡4号機の適合審査を原子力規制委員会に申請。これまでの審査で、竜巻や外部からの火災への対応などについても安全性を自社で評価した結果の提出を求められている。3号機の審査でも同様の項目が必要になると見込まれるため、3月末までの申請をあきらめ、事故発生の確率分析などのデータをそろえたうえで4月以降の早期申請を目指す。
 
 中部電は昨年10月、再稼働に向けた浜岡原発の安全対策工事の完了を1年延期すると発表。申請先送りの背景には、3号機について2017年9月の工事完了前の再稼働は見込めないため、申請を先送りしても再稼働までの日程に大きな影響がないこともあるとみられる。4号機の審査も他の原発より遅れており、地元の反発も根強いことから、再稼働の時期が見通せない状況が続いている。
 
 中部電は東日本大震災後の11年5月、当時の菅直人首相の要請で、廃炉作業中の1、2号機を除く3~5号機の運転停止を決めた。停止の長期化で代わりに動かしている火力発電所用の燃料費がかさんで14年3月期まで3年連続で最終赤字が続き、浜岡原発の再稼働の必要性を訴えている。5号機は海水が流入する事故があり、当面は再稼働申請を予定していない。(井上亮)
 

2015年2月23日月曜日

弁護士が作ったドキュメンタリー映画「日本と原発」の上映会

 世界一危険な原発といわれる浜岡原発差し止め訴訟弁護団長を務める河合弘之弁護士が、私財を投じ年をかけて製作したドキュメンタリー映画「日本と原発」上映会が八王子市でかれます。
 河合弁護士自らが監督を務め、脱原発で連携する海渡雄一弁護士らが協力しました。
 
 2時間15分の映画は、被災地住民や原子力の専門家らへの取材、報道資料などをもとに、被災者の苦しみ、原発事故を引き起こした背景、エネルギー政策の問題点などを明らかにしています。
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弁護士が訴える脱原発 八王子の市民団体が記録映画上映
東京新聞 2015年2月22日
 東日本大震災から丸四年になる来月十一日を前に、八王子市の市民団体「ハカルワカル広場」は同七日、脱原発を訴える弁護士らが製作したドキュメンタリー映画「日本と原発」の上映会を北野市民センターホール(北野町)で開く。
 
 映画は、浜岡原発(静岡県御前崎市)差し止め訴訟の弁護団長・河合弘之弁護士が、福島第一原発事故後、私財を投じて二年をかけて製作。自ら監督を務め、脱原発で連携する海渡雄一弁護士らが協力して二時間十五分の作品に仕上げた。被災地住民や原子力の専門家らへの取材、報道資料などをもとに、被災者の苦しみ、原発事故を引き起こした背景、エネルギー政策の問題点などを浮き彫りにしている。
 
 上映会を開くハカルワカル広場は、原発事故後、市民が持ち込んだ食品などの放射線量を測定している。西田照子共同代表(67)は「地震列島、火山列島の日本に、原発はあまりに危険とだれもが気づいている。この映画は、『気づいているあなたは、どう行動しますか?』と問い掛けている。多くの人に見てほしい」と来場を呼び掛けている。
 当日は、午後一時半と六時からの二回上映。入場料は前売り五百円、当日券七百円で、障害者と高校生以下は無料。問い合わせは、火~土曜の午前十時~午後三時にハカルワカル広場=電042(686)0820=へ。 (村松権主麿)
 

福島第一 汚染水が海に流出

 福島原発の事故から間もなく丸4年になろうとしていますが、汚染水の問題は全く解決していません。
 1号機~4号機の周囲を凍土遮水壁で囲う工事は進めていますが、果たして凍土壁が完全に出来上がって遮水ができるのかを含めて、その効果は未知数です。
 もしも凍土壁工事は終了したものの止水ができないということになれば、この間一体何をしてきたのかということになります。
 
 22日午前、福島原発排水路の放射能濃度が急上昇し、高濃度の放射性排水が原発の港湾内に流出しました。
 東電は例によって原因は不明で港の外への流出はないとしていますが、そもそもこの港は透過堤(大石やコンクリートブロックを積み上げた構造)で仕切られたものなので、その間隙を通る分少し時間が掛かるだけでいずれは外洋に拡散していくものです。それを湾内と外洋とが仕切られているかのような言い方をしているのは、東電お得意のゴマカシです。
 
 今回はベータ線源の流出なので、もしも魚介類を経てベータ線粒子が人間に摂取されれば大変危険なことになります。
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福島第一 汚染水が港湾に流出か 
NHK NEWS WEB 2015年2月22日
東京電力福島第一原子力発電所の敷地内にある排水路で22日午前、放射性物質の濃度が上昇し、東京電力は漏れ出した汚染水が原発の港湾内に流出した可能性があるとして、汚染水の移送を止めて原因を調べています。
 
東京電力によりますと、22日午前10時ごろ、福島第一原発の敷地内にある山側から港湾内につながる排水路で、簡易測定している放射性物質の濃度が上昇したことを示す警報が鳴りました。
調べたところ、通常は検出限界未満になっているベータ線と呼ばれる種類の放射線を出す放射性物質の濃度が最大で1リットル当たり7230ベクレルに上昇していることが分かりました。
排水路の放射性物質の濃度は雨が降った時にも上昇しますが、今回、検出された濃度は、その10倍以上に当たるということです。
東京電力は何らかの原因で汚染水が漏れ出した可能性があり、この排水路を通じて港湾内に流出したとみて、海側に取り付けられたゲートを閉鎖するとともに汚染水の移送作業をすべて止める措置を取りました。
この排水路はもともと港の外の海につながっていましたが、おととし汚染水漏れが相次ぎ、海に流出したことをきっかけにルートが変更され、東京電力は港の外への流出はないとしています。
東京電力によりますと、排水路の放射性物質の濃度が上昇した原因は分かっていないということで、今のところ、山側にあるタンクで汚染水の漏えいを示す水位の低下は確認されておらず、タンクの周囲で汚染水漏れを防ぐせきに取り付けられた排水弁も、すべて閉じられていたということです。
 

2015年2月22日日曜日

再稼動容認の自治体には支援金 2015年度予算

 安倍政権は、2015年度予算案でも原発の再稼働を急がせるため多種多様な策を盛り込んだということで、東京新聞はその一例を取り上げました。
 それは再稼働を認めた自治体に配る新しい交付金で、予算案の発表資料には新しい交付金の明記はなく、新設したことが分からないようになっています
 原発立地自治体に交付する「電源立地地域対策交付金」は2015年度は912億円ですが、それとは別に15億円を上記の用途に当てるということです。
 
 原発の危険手当にも相当する交付金は極めて潤沢なので、各自治体の収入の半分かそれ以上にもなっています。そうした状況が数十年も続けば、各立地自治体は交付金がなくては立ち行かなくなります。
 従って完全な脱原発を目指す場合でも、一挙に交付金をゼロにするわけにはいかないので、各自治体がその状況下で自立できるようになるまでは継続する必要があるとされています。
 
 しかし今回の15億円はそういう趣旨のものではなく、あくまでも再稼動に同意することを促す目的のもので、不健全というしかありません。
 
 東京新聞の記事を紹介します。
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再稼働促す政権 容認自治体に交付金
東京新聞 2015年2月21日
 原発を重視する安倍政権は、二〇一五年度予算案でも再稼働を急がせるため多種多様な策を盛り込んだ。このうち経済産業省内からも「やり方がおかしい」と異論が上がったのが、再稼働を認めた自治体に配る新しい交付金だ。予算案の発表資料に新しい交付金の明記はなく、新設したことが分からないようになっていたからだ。 (吉田通夫)
 
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 資料によると、一四年度から続く「原発施設立地地域基盤整備支援事業」の予算額が、前年度の八億円から二十三億円に膨らんでいた。これは原発停止の影響を受けている自治体の経済を活性化するため、特産品の販路開拓などを支援する政策だ。なぜ三倍近くにも膨らんだのかという本紙などの質問に対し、経産省は新しい交付金十五億円分を上乗せしたことを認めた。
 
 放射線モニタリング事業の民間委託など経済活性化に使ってもらう想定で、同事業の一環に位置付けたという。しかし「厳密に使途を限定しているわけではない」と担当者。実態は原発の再稼働を認めた自治体に配る新しい原発マネーだ。
 これまでも国は、原発のある自治体に、稼働実績に応じて「電源立地地域対策交付金」を配ってきた。震災後は全国の原発が停止したものの、政府は地方財政への影響を避けるためすべて稼働しているとみなして交付してきた。今年は関西電力の高浜原発や九州電力の川内(せんだい)原発などの再稼働を見込み、稼働を認めた自治体の財政を優遇しなければ「交付金制度の趣旨に照らして公平でない」(経産省幹部)と、新交付金制度創設の背景を説明する。
 
 地方自治体はいったん原発マネーを受け取ると、交付金ほしさに原発を求め続け廃炉が進まない。原発マネーが「麻薬(電力会社関係者)に例えられるゆえんだ。古い原発も抱える福井県は、廃炉が決まった場合も財政支援を続けるよう国に求めている。経済も原発頼みになり、地域の特産品や地元企業を生かした本来の経済政策が手薄になる。
 新しい原発マネーを忍ばせた一五年度の原発関連予算案には、原発への依存度を下げるための本気度は感じられず、原発を抱える自治体の自立も阻む恐れがある。
 

2015年2月21日土曜日

福島事故放出セシウム 手賀沼など底土高濃度

 東京新聞は12627の両日千葉、茨城両県にまたがる水郷地帯の湖沼の計32カ所で底土や河川敷の土を採取し、セシウム濃度を測りました。
 汚染が目立ったのは手賀沼で、沼の中心部や利根川につながる堰内の底土の放射能濃度は、乾燥させた土キログラム当たり1000ベクレル超でした。
 手賀沼に流れ込む複数の川の周辺土7174701ベクレルと高い値でした。
 印旛沼や霞ケ浦、牛久沼の河川流入部では200300ベクレル台の地点が多、湖沼の水深のある地点では濃度が高くなる傾向が見られました。
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福島事故放出セシウム 手賀沼など底土高濃度
東京新聞 2015年2月20日
 東京電力福島第一原発事故による首都圏の放射能汚染問題で、本紙は新たに千葉、茨城両県にまたがる水郷地帯の湖沼を調べた。これまで調べた東京湾や主要河川と比べ、大幅に高い濃度の放射性セシウムが検出された。水の入れ替わりが少なく、流入したセシウムが抜けにくい地理的な特徴が影響していそうだ。 (小倉貞俊、山川剛史)
 
 調査は一月二十六、二十七の両日、環境省の調査でも高濃度汚染が確認されている手賀沼(千葉県)をはじめ、印旛沼(同)、茨城県内の霞ケ浦や牛久沼で行った。流れ込む川がどう影響を与えているかに着目し、計三十二カ所で底土や河川敷の土を採取。土は乾燥させた後、測定器で三時間以上かけてセシウム濃度を測った。
 
 その結果、汚染が目立ったのは手賀沼で、沼の中心部や利根川につながる堰(せき)内の底土の放射能濃度は、乾燥させた土一キログラム当たり一〇〇〇ベクレル超を計測。流入部から流出部まで高い値が出た。環境省の直近の調査では、三二五~三六〇〇ベクレルとさらに高い値も出ている。
 
 手賀沼に流れ込む複数の川の周辺土も調べたが、七一七~四七〇一ベクレルと高かった。指定廃棄物として特別の処理が求められる基準(八〇〇〇ベクレル超)より低いが、雨などで川に流れ込み、沼に運ばれてたまり続けていく懸念もある。
 ただ、放射能が人体に与える影響(放射線量)は採取地点で毎時〇・一〇~〇・一七マイクロシーベルト(マイクロシーベルトはミリシーベルトの千分の一)と都心と大きな差はなかった。
 印旛沼や霞ケ浦、牛久沼の河川流入部では二〇〇~三〇〇ベクレル台の地点が多かったが、湖沼の水深のある地点では濃度が高くなる傾向が見られた。おおむね環境省の調査と同水準だった。
 
 本紙の測定結果について独協医科大の木村真三准教授(放射線衛生学)は「ただちに騒ぐレベルではないが淡水魚は海水魚に比べ(セシウムを含む)塩類を排出する機能が弱く、セシウムを濃縮しやすい。長期的な観測が必要だ」と指摘した。
 現実に、水郷で捕れた淡水魚では、いまだに食品基準(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超えるセシウムの検出が相次いでいる。このため手賀沼ではギンブナやコイ、ウナギ、モツゴの出荷制限や自粛が続く。霞ケ浦でもギンブナやアメリカナマズの出荷が制限されており、水郷への放射能の悪影響は収まっていない。
 
◆調査7回 各地の汚染今も
 本紙は昨年五月から、福島第一原発事故による放射性物質の汚染状況を調査しており、今回が七回目。福島県楢葉町の農地では水源の深刻な汚染を明らかにしたほか、いわき市志田名(しだみょう)地区では表土の除去が遅れ、農地の回復が遅れている現状を報じた。東京湾や首都圏の主要河川でも要警戒レベルの汚染が続いている。
 
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