2015年3月4日水曜日

原発事故「営業損害賠償」などの打ち切りを 先送り

 国と東電、避難区域内の商工業者に支払ってきた「営業損害賠償」を来年2月で打ち切るとした素案について、当面適用しないことに決めました。
 賠償打ち切りにより廃業が相次ぐなどの指摘が出たためで、避難区域外の商工業者に対する「風評被害賠償」も1年後に打ち切るという素案になっていましたが、同様に棚上げされます
    
 そもそもまだ元通りの地域社会が形成され、曲がりなりにも営業を再開できた事業者が半数程度に過ぎないのに、損害賠償を打ち切るというのはあり得ない話でした。
 とりあえず引っ込めましたが、当面ということなのでいずれまた持ち出してくる惧れがあります。
 
  (関係記事)
2015年2月19日 営業再開まだ半数 損害賠償打ち切りに猛反発 
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原発賠償:「営業損害」「風評被害」対象打ち切りを先送り
毎日新聞 2015年03月03日  
 東京電力福島第1原発事故を巡る一連の損害賠償問題のうち、国と東電は、主に避難区域内の商工業者に支払ってきた「営業損害賠償」を来年2月で打ち切るとした素案について、当面適用しない方針を決めた。賠償打ち切りにより廃業が相次ぐなどの指摘が出たため。避難区域外の商工業者に対する「風評被害賠償」も素案では1年後に打ち切ると提案していたが、棚上げする。
    
 営業賠償の対象は、原発事故後に避難区域が指定されるなどした福島県内13市町村の事業者。避難区域の場合、休業中の事業者のほか、移転先で営業を再開したり、廃業したりした場合も対象になっている。1月末現在で総額4581億円が支払われてきた。
 
 素案について、経済産業省資源エネルギー庁の幹部は「国の原子力損害賠償紛争審査会の指針に、賠償期間には『一定の限度がある』と明記されている。(長期間支払い続けても)復興にはつながらない」と説明。ただし、昨年12月に素案を示した際、商工団体などから「損害は発生し続けている」などと猛反発を受けたため実施は当面見送る。今年2月まで4年分の賠償金は、東電が一括払いに応じたり、3カ月ごとの請求に応じて支払ったりしてきたが、3月以降の支払い方法は検討中という。
 
 一方、風評被害賠償は、主に避難区域外の観光業者などに支払われており、1月末現在の総額は、農林水産物の出荷制限による損害賠償も含めて1兆2991億円。素案によると、農林水産業者への賠償は、原発事故の影響が大きいため継続されるが、観光業などの商工業者については来年2月の打ち切りを提案していた。
 
 東電の賠償項目は、個人に支払う精神的損害(月10万円)や、避難に伴い減収分を補てんする就労不能損害など多岐にわたり、これまで支払ってきた総額は約4兆7125億円に達する。精神的賠償は避難指示が解除されてから1年後に終了することが既に決まっており、就労不能賠償は今年2月末で打ち切られた。個人への賠償スキームの大枠が決まる一方、商工業者らへの賠償については原発事故から間もなく4年になるが、合意形成に向けた糸口が見つかっていない。【土江洋範、小林洋子】
 
◇原発賠償
 賠償金の原資は、国が発行する国債。2011年9月に設立された「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」を通じて東電に交付する。同機構は東電を含む原子力事業者11社から毎年徴収する「一般負担金」と、東電が資産売却などで捻出した「特別負担金」から回収する。一般負担金は電気料金で構成されており、国民負担が発生している。東電は昨年7月、賠償総額が5兆4214億円になると推計した。