2015年3月18日水曜日

美浜1・2号、敦賀1号 廃炉決定 

 関西電力は17日、運転開始後40年以上たち老朽化した美浜原発1、2号機(福井県)の廃炉を正式決定しました。八木誠社長は福井県庁を訪れて西川一誠知事と面談し、基の廃炉方針を報告しました。
 
 日本原子力発電も同日、敦賀原発1号機(同)の廃炉を決定しました。午後に浜田康男社長らが福井県と同県敦賀市を訪れ、方針を説明する予定です
 
 日本ではこれまで福島第一原子力発電所1~6号機の他、東海発電所1号機(日本原電)、浜岡原子力発電所1・2号機(関西電力)が廃炉を決定してきましたが、原発の運転期間を原則40年とする規定に従って、電力会社が廃炉を決めるのは初めてです。
 
 ちなみに今回廃炉を決定した原発の運転開始時期は下記のとおりです。
 美浜原発1号機 1970.11.28
 美浜原発2号機 1972.7.25
 敦賀原発1号機 1970.3.14
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美浜1、2号  敦賀1号 原発3基 廃炉決定 
東京新聞 2015年3月17日
 関西電力は十七日、臨時取締役会を開き、運転開始後四十年以上たち老朽化した美浜原発1、2号機(福井県)の廃炉を正式決定した。八木誠社長は福井県庁を訪れて西川一誠知事と面談し、二基の廃炉方針を報告した。日本原子力発電も同日、敦賀原発1号機(同)の廃炉を決定した。午後に浜田康男社長らが福井県と同県敦賀市を訪れ、方針を説明する。
 
 東京電力福島第一原発事故後、原発の運転期間を原則四十年とする規定に従って、電力会社が廃炉を決めるのは初めて。古い原発の選別を進めることで政府は安全重視の姿勢を強調する一方、一定程度の原発は今後も活用していく方針だ。原発行政は、大きな転換点を迎えることになる。
 
 関電は一方、運転開始から四十年前後たった美浜3号機と高浜原発1、2号機(福井県)について、十七日午後、再稼働に向け原子力規制委員会に新規制基準の適合性審査の申請をする。
 
 八木社長は美浜廃炉について西川知事に「将来の(電力)供給力などを総合的に勘案した結果、廃炉を決定した」と説明。西川知事は「地域住民の安全、安心の確保に万全を期していただきたい」と述べた。
 
 宮沢洋一経済産業相は十七日の閣議後会見で、廃炉に伴い交付金や税収の減少が見込まれる地元への財政支援に関し「どういうことができるのか立地自治体とも相談して決めていく」と述べた。
 
◆廃棄物最終処分は白紙
 
<解説>  日本の原発は古いものが多い。原発の運転期間は原則四十年間に制限されており、今後十年間に、廃炉にするかどうか判断が求められるものは二十一基あり、既存の原発の四割に上る。
 これまで電力会社は「老朽化」と言われるのを非常に嫌い、「高経年化」という言葉を使い、「古い原発も、配管などを交換すればまだまだ使える」と強調してきた。しかし、古い原発はケーブルの火災対策が不十分だったり、長年、炉の鋼材が強い放射線にさらされてもろくなったりというリスクをもっている。
 多額の資金をかけて対策を講じれば、例外的に二十年間の運転延長が認められる可能性はある。だが、対策費と運転延長によるもうけをてんびんにかけ、費用が上回るとして廃炉を決断する電力会社が相次ぐ可能性が高い。
 その際、いくつか大きな課題が残っている。廃炉に伴う電力会社の損失処理、原発マネー頼みの立地自治体の対策、廃炉で出る高レベルの放射性廃棄物だ。
 損失の分割処理を認めるなど国は対策に乗り出したが、廃棄物をどこに最終処分するかなどは白紙の状態。廃炉を停滞させないよう、国には早急な対応が求められる。(山川剛史)
 

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