2015年4月16日木曜日

<高浜再稼動認めず> 歓迎と評価の声広がる

 福井地裁樋口英明裁判長による高浜原発3、4号機再稼働差し止め仮処分14日
)を歓迎し評価する声が、反原発運動を進めている全国各地に広がりました。
 また原発再稼動に邁進する政府を後押ししているかのような原子力規制委に対する批判も起きています。
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<高浜再稼動認めず>東北の脱原発派は歓迎
 河北新報 2015年04月15日
 福井地裁が高浜原発3、4号機の再稼働を認めない仮処分決定をした14日、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)などで再稼働へ向けた動きが進む東北にも波紋が広がった。脱原発を訴える市民は決定を歓迎する一方、原発立地自治体では地元への影響を懸念する声が上がった。
 
 「行政が再稼働に突き進む中、司法は福島第1原発事故という歴史的事実を重く受け止めて判断するようになった」。市民団体「女川原発の再稼働を許さない!2014みやぎアクション」の篠原弘典世話人は決定を評価し、「かつての原発訴訟では無力感を感じたが、今は司法判断も大きな力になる」と述べた。
 
 原発事故の避難住民は、あらためて原子力行政に不信を募らせた。福島県楢葉町から茨城県に避難している農業草野巍久(たかひさ)さん(76)は「原因究明も途中なのに再稼働を進めようとする行政は信頼できない」と語った。
 東北電が再稼働を目指す女川2号機と東通原発(青森県東通村)は、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査が続いている。地元では「司法が新規制基準を不十分と指摘した。全国の再稼働にも影響が出てくるだろう」(女川町議)との見方が聞かれた。
 女川町の須田善明町長は「上級審も含め、今後司法判断が続く。司法的見地からの新規制基準の妥当性などについて安全確立の観点から注視していく」とコメント。東通村に隣接するむつ市の宮下宗一郎市長は「司法の最終判断ではないと認識している」と話した。
 東北電は「詳細を把握していない」とした上で「新規制基準に的確に対応し、さらなる安全性向上と地域に対する丁寧な説明に努めたい」との談話を出した。
 
浜岡訴訟に追い風 高浜原発が再稼働差し止め
中日新聞 2015年4月15日
        (前 略)
 福井地裁の仮処分決定を受け、中部電力浜岡原発(御前崎市)の廃炉を求める訴訟の原告は「画期的な決定だ」と歓迎した。決定では原子力規制委員会の新規制基準を満たしても、原発の安全性は確保されないと指摘しており、「浜岡原発にも同じことが言える。早く運転差し止めを判断するべきだ」と訴えた。
 浜岡原発をめぐっては、運転差し止めや廃炉を求める訴訟が東京高裁、静岡地裁、地裁浜松支部で係争中。仮処分の申し立ては東京高裁と静岡地裁で審理されている。
 県内の弁護士が中心に提訴した静岡地裁の弁護団は十四日午後、県庁で記者会見した。鈴木敏弘代表は、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、「二度と福島の惨劇を繰り返してはならないという考えを法的にも認めて、司法の役割を果たすべく判断を示した」と評価。時おり笑顔を見せながら、仮処分決定の意義を強調した。
 さらに、昨年五月に関西電力大飯原発の運転差し止めを決めた福井地裁判決を引き合いに出し、「仮処分も同じ裁判長なので期待していた。運転差し止めの決定を知って大変うれしかった」と説明。浜岡原発の訴訟への影響に関しては「原発の危険性を司法が認めたので追い風になる。裁判所は早く判断を示してほしい」と話した。
         (後 略)
 
「再稼働反対」声届いた 高浜原発差し止め
中日新聞 2015年4月15日
 住民側が掲げた垂れ幕に思いが込められていた。「司法はやっぱり生きていた」。十四日に福井地裁であった関西電力高浜原発3、4号機(高浜町)の再稼働差し止め仮処分の決定をいち早く知ろうと、地裁前には多くの人が訪れ、住民側の主張を全面的に認める決定を喜んだ。
 
 裁判長は昨年五月に関電大飯原発3、4号機(おおい町)の差し止め判決を出した樋口英明氏。当時「司法は生きていた」の垂れ幕を掲げて判決を喜んだ住民たちは、今回も自分たちの主張が認められると確信していた。大津市の無職福塚通広さん(65)は「大津地裁の仮処分申し立ては昨年十一月に却下されたが、今回判断を下すのは樋口さん。絶対大丈夫と安心して待つことができた」と話した。
 決定文を受け取った海渡雄一弁護士が興奮気味に「この命令は(原発再稼働を推進する)国と電力会社の暴挙を正した。今度こそ司法の判断を厳粛に受け止めるべきだ」と声明を発表すると「万歳」「素晴らしい」と歓声が次々と上がり「樋口さんありがとう」と叫ぶ人もいた。
         (後 略)
 
(滋賀)県内原告団「画期的」 高浜原発差し止め
中日新聞 2015年4月15日
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、福井地裁が再稼働を認めない仮処分の決定を出した十四日、県内の関係者からも「画期的」と評価する声が上がった。
 
 高浜原発3、4号機をめぐっては、滋賀県の住民も再稼働禁止を求めて大津地裁に仮処分を申し立てている。原告団の辻義則団長は「画期的で歴史的な決定。大津地裁で我々が主張しているような内容が認められており、大変勇気づけられた。大津でも再稼働禁止の決定を勝ち取りたい」と話した。
 大津市の越直美市長はコメントを発表し、「原発の安全性を厳格に判断し、安全性に対する市民の不安が反映された内容である」と評価。「このように厳格な基準がなく市民が不安を持っている状況で、再稼働すべきではない。国は決定を重く受け止め、新基準について再考すべきだ」と意見した。
 高島市の福井正明市長もコメントを出し、「これまでの原子力規制委で審査されてきた新しい規制基準そのものを、根底から否定することにつながるのではないか」と指摘。「原発の再稼働については、あくまで国の責任で判断されるべきものと考えており、市としては再稼働の有無に関わらず、万一の原子力災害のために防災対策の推進に努めていきたい」とした。 (原田晋也)
 
住民側が審査中止要請=高浜差し止めで規制委に
時事通信 2015年4月15日
 福井地裁が関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を差し止める仮処分決定を出したことを受け、仮処分を申し立てた住民と弁護団は15日、原子力規制委員会に対し、再稼働の前提となる審査の手続きを直ちに中止するよう求める緊急申し入れ書を送付した。
 申し入れ書は、地裁決定で規制委の策定した新規制基準が合理性を欠くと指摘されたことを重く受け止め、高浜3、4号機に加え全ての原発の審査手続きを直ちに中止するよう求めている。
 
玄海原告団声弾む 玄海町や経済界、工程遅れ懸念
佐賀新聞 2015年04月15日
■重い判断、評価と動揺
 関西電力高浜原発の運転差し止めを命じた14日の福井地裁の決定。九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働に向けた手続きが進む中、国と電力会社の安全対策の不備を指摘した司法判断に、玄海原発操業差し止め訴訟の原告団は「安全の根拠を覆した画期的な内容」と評価した。一方、早期再稼働を求めてきた玄海町や地元経済界などには「今後のスケジュールが大幅に遅れるのでは」と動揺が広がった。
 
 「司法が世論を反映してくれた」。全国最多の約9100人が提訴している玄海原発操業差し止め訴訟の原告団長を務める長谷川照・元佐賀大学長は声を弾ませた。原告弁護団も佐賀市内で会見し、「今回の決定は全国の原発に当てはまり、再稼働は許されない」と強調。玄海原発でも同様の仮処分申し立ての準備を進める意向を明らかにした。
         (後 略)