2015年7月14日火曜日

「福島は避難する状況にない」 被災者支援法・基本方針改定へ

 竹下復興相は10日、「子ども被災者支援法」の基本方針改定案を公表しました避難指定区域の解除・変更等に向けて必要となるからです。
 
 その中で、「放射線量は発災時と比べ大幅に低減し、避難する状況にない」と明記し、支援対象地域の変更は今回は実施しないものの、今後、「縮小または撤廃することが適当である」としているので2年後避難指示区域解除し、被災者支援法の支援対象地域を撤廃すること予想されます
 
 放射線量大幅に低減し避難する状況にないとはいうものの、具体的な空間線量基準は明らかにしていません。記者からの質問に対しては、「福島県悩んだ末に2年間で準備区域や居住区域は帰還しようと決断した」ので、それができるように最大の努力をしたいとかわしました
 また小児甲状腺がんが通常よ数十倍多い問題にも触れていません。
 
 Our planet の記事を紹介します。
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福島「避難する状況にない」〜子ども被災者支援法基本方針改定へ
 Our planet 2015年7月10日
 復興庁は10日、「子ども被災者支援法」の基本方針改定案を公表した。支援対象地域について改定案では、「放射線量は発災時と比べ大幅に低減し、避難する状況にない」と明記。今回に限り支援対象地域の変更は実施しないものの、今後、「縮小または撤廃することが適当である」としている。子ども被災者支援法の基本方針は、2013年10月に閣議決定されてから初の改定となる。
  
「原則、帰っていただきたい」
 今回の改定案で最大の変更点は、「原発事故発生から4年余が経過した現在においては、空間放射線量等からは、避難指示区域以外の地域から避難する状況にはなく、支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当であると考えられる」と明記されいることである。さらに応急仮設住宅の供与期間が、平成29年度末までとされていることについて、「空間線量が低減していること等とも整合的である」と記述。被災者が、帰還するか他の地域で定住するかのいずれかを選択するよう、判断を迫る内容となっている。
  
 子ども被災者支援法は、第一条で「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」と言及。「一定の基準以上」のある「支援対象地域」の住民は、避難をしてもしなくても、「いずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。」と規定されている。
  
このため記者から、法の趣旨に反するのではないかとの質問が出たが、復興庁の竹下大臣は、「基本的なことは福島に決めていただいて、我々が支援していく構図になっている。住宅、避難の時期等については、基本的に帰っていただきたいと。これは福島の強い思いでありまして、それを期日を示すことで、促進していきたいという思いがある」と説明。自主避難も強制避難も同じく、「原則として、帰っていただきたい。帰らない人は、帰らない人への対応を考えるというのが福島県の立場」と強調した。
 改定案の「避難指示区域以外の地域から避難する状況にはなく」「支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当である」との文言から、2年後の避難指示区域解除に伴い、子ども被災者支援法の支援対象地域を撤廃することも予想される。
  
避難する状況にない線量とは?
 「避難する状況にない線量とはどんな線量か」との質問に対して竹下大臣は、「細かいことは分からない」と回答。法制斑の佐藤紀明参事官は、「外部被曝、内部被曝、食品検査の結果から、発災時から見るとだいぶ低減し、避難する状況にはない」と述べただけで、具体的な線量基準については触れなかった。
 2013年の支援方針策定の際も、「一定の基準」があいまいにされたまま、33市町村が指定されたことに対し、多くの市民から疑問の声があがった。さらに追及すると、竹下大臣はこう答えた。
 「福島県に180万人の方が生活していらっしゃる。福島県はそのことは福島県は一番、重く考えている。福島県は悩んだ末に、2年間で準備区域や居住区域は帰還しようと決断したわけですから、我々としては、それができるように最大の努力をする。」
  
福島の甲状腺がん「多発」に触れず
前回の基本方針では、支援施策について、数多くの施策を列挙していた。しかし、今回は個別施作策を網羅することをやめ、4つの内容のみを記載するスタイルに変更した。その一つは「住宅の確保」だが、そのほか「放射線による健康への影響調査、医療の提供等」と福島県外で暮らす被災者の支援団体の支援、地方創生分野を活用した政策の展開が挙げられている。
  
 「放射線による健康への影響調査、医療の提供等」は、初期被ばく線量の把握や福島近隣県における疾病罹患動向の把握、リスクコミュニケーション事業の充実などが謳われている。その根拠として、環境省の専門家会議の「中間とりまとめ」を引用。「今後も放射線被曝によって何らかの疾病リスクが高まることも可能性は小さい」との記載にとどまり、福島県の甲状腺検査について触れられていない。福島県では、環境省の取りまとめより半年遅い5月18日に、県民健康調査検討委員会「甲状腺評価部会」が、福島県の小児甲状腺がんが通常よ数十倍多い「多発」であるとの「中間とりまとめ」を提出。「被ばくによる過剰発生」か「過剰診断」のいずれかと結論づけている。
  
県外避難者向けの切り札は「地方創生」
 今回、突如、基本方針に記載された政策が「地方創生」の活用だ。現在、政府は「地方創生」戦略として、人口減少地域の活力を取り戻すための様々な定住促進政策を展開している。福島から他県に避難している家族の多くは子どものいる世帯であることから、復興庁は、福島以外の地域で定住を希望する避難者に対し、「地方創生」施策を活用したプランを提示できるとの考えだ。「原発事故避難者」向けの定住策は用意できないが、「地方創生」戦略の一環でなら定住は可能だとする。これに対し記者から、首都圏の避難者はどうするのかと質問が出たが、佐藤参事官は「地方創生は活用できなくとも、福島からの支援措置がある」と繰り返すにとどまった。
  
パブコメは8月8日締め切り〜東京・福島で説明会
この改定案は、8月8日までパブリックコメントを募集し、その後、閣議決定される。復興庁では、7月17日(金)に東京で、18日(土)に福島で、それぞれ説明会を開催する。16日までの事前申し込みが必要。