2015年11月30日月曜日

伊方3号機再稼働か(小出裕章ジャーナル)

 今回の小出裕章ジャーナルは、四国愛媛県西端の半島佐多岬の付け根にある伊方原発の再稼動問題を取り上げました。
 半島の住民5千人は玄界灘を船で越えて九州方面に逃げるしかありませんが、波が高くて船を港に着けられないこともあるし、津波が来るときには勿論船は来ません。結局そのときには住民は見捨てられることになりそうです。
 そういう原発でも平気で再稼動させるという精神が理解できません。
 
 聞き手の西谷氏は、九州や四国などの再稼動反対の人たちが集まりにくいところで先ず稼働させて、稼動実績を積み重ねようとしているのではと問題提起しました。
 
追記 文中の太字強調は原文に従っています。また原文では小出氏には「さん」がついていましたが、この紹介文では外しました。
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伊方3号機再稼働か小出裕章ジャーナル
第151回 小出裕章ジャーナル 2015年11月28日
「既成事実を積み重ねていって、大飯でも高浜でも順番にやっていくという、そういうやり方を彼らが選んでいるということだと思います」
 
西谷文和 今日のテーマはですね、「伊方原発3号機、年明けにも再稼働か」と題してお送りしたいと思うのですが。伊方原発については、このコーナーでも何回も取り上げましたが、小出さん、残念なことにですね、愛媛県の中村知事、伊方町の山下町長、伊方原発3号機の再稼働に同意を示したが、これのニュースを聞かれて、小出さんご感想はどんなもんでしょうか?
小 出: はい、もちろん残念ですけれども、予想通りというか、中村さんが少し頑張るような素振りを見せていたわけですけれども、それも結局は自分の責任を逃れられればそれでいいということだったわけで、「あ、やっぱりな」と思いました。
西 谷:  私のような素人から見ればですね、鹿児島県の川内原発から入ったでしょ。そして伊方原発が続きますよね。これね大阪や東京や神戸や広島や、この原発に反対している人はなかなか行けないじゃないですか、こんな遠い所に。これ、大飯原発やったら行けるんですよ。だから、その国はですね、反対運動が起こりにくい所から無理やり稼働させてですね、既成事実にしたいのではないのでしょうか?
小 出: もちろんおっしゃる通りだと思います。もうやったぞやったぞという既成事実を積み重ねていって、大飯でも高浜でも順番にやっていくという、そういうやり方を彼らが選んでいるということだと思います
西 谷: この国って結構、役人の世界もそうなんですが、この横並び志向ってあるじゃないですか? AさんもやったからBさんもやったからって、それでね次C、Dがやりやすくなりますもんねえ。この最初のやっぱり川内原発、ここでものすごく皆さん頑張ったんですけど、やっぱりここ大きかったでしょうかね。
小 出: はい。川内の方々、ずいぶん頑張ってくださったし、伊方の方々だって頑張ってくださってきたわけですけれども、それでも国がやると決めてることなわけですし、いわゆる私が原子力マフィアと呼んでいる国や原子力会社、原子力産業、ゼネコンを含めた土建屋さん、マスコミ、全てが一体となって、今再稼働に動いているわけですから、容易なことでは止められないだろうと思います、残念ながら
西 谷:  小出先生がおっしゃるからこの言葉重いわけですが、小出さんは伊方原発、裁判でずっと戦っておられましたよね?
小 出: そうです。
西 谷:  佐田岬の付け根に原発があるじゃないですか? ということは、半島の人は、これ逃げられないんじゃないですか?
小 出:  事故が起こったら、逃げることはできません。唯一、逃げられるとすれば、船に乗って大分県に逃れるという、それぐらいのルートしかありません。
西 谷: でもその船って、津波で流されてるでしょ?
小 出: もちろん、そうです。そんなたくさん船が来てくれるわけもありませんから、結局、住民の避難というのはできないことになると思います
西 谷:  自衛隊のヘリで運ぶ言うても大した人数じゃないですもんねえ。と言うことは、もう切り捨てになるんでしょうね、実際は。
小 出: はい。川内の場合もそうですけれども、鹿児島県の知事自身が30キロ圏の避難なんかできないと、初めからもう言ってしまっているわけであって、避難計画ができないことはもう原子力発電所の事故を考えれば、もう仕方のないことだし、避難計画も作れないようなものは、本当はもうそれだけの理由で受け入れてはいけないということだと私は思います。
西 谷: ただ地元の方々はね、やっぱり長年、この原発産業でもういわゆる麻薬のように打たれてるわけですから。だから地元の方を責めるというのも非常に酷ですよねえ。
小 出: はい、そうなのです。長い間、原子力に依存して町を作ってきてしまったわけですから、原子力がなくなってしまって交付金、固定資産税等がなくなると、間違いなく財政自身が崩壊してしまうという、そんな状態になっているわけです。ですから簡単には、その地元の人達を責めるというようなことはできないと思います。
西 谷: そうですねえ。本当なら鹿児島県ってすごいおいしい魚が獲れるし、愛媛県もそうですし、みかんもできますから。そういうその本当に村の産業でね、本当は村おこしができたのに、それさえも許さない原発なんでしょうね。 
小 出: まあそうですねえ。日本というこの国が、いわゆる1次産業を潰して、工業化すれば豊かになれるんだというふうに思ってしまったわけですね。
    次々と農業もつぶされ、漁業もつぶされてきて、結局地方が過疎になって、東京・大阪というような所にみんな労働者として吸い上げられてくる。結局、地方は立ち行かなくなって、原発にすがざるを得ないという、そんなことにされてきてしまったわけです。
    もう一度やはり、国というのはどんなものなのか、人々が生きるということはどういうものなのかということを考え直さなければいけないのだと私は思います。
西 谷: その上にTPPですよ。こんなこと来たらもうねえ、もう村がつぶれちゃいますし。私、農業、農産物とかエネルギーは地産地消でないといかんと思うんですけど。
小 出: そうですね。農業はもちろんそれが一番いいですし、エネルギーだって、本当はそれがいいはずなのであって、都会で使う電気を過疎地から長い送電線で送るという、そんなやり方自身が間違えていたんだと気が付かなければいけないと思います。
西 谷:  長い送電線を使ったらロスするでしょ?
小 出: もちろんです。送電ロスは、たぶん10パーセントとは言いませんけれども、それに近いロスをしてると思います。
西 谷:  例えば、その自然に優しい発電所が近所にあれば、そこで出た熱を供給して、高ジェネレーションと言いますけど、そういうことも都会でできますのに、原発は田舎にあるからできないですよね、それも。
小 出: そうです。今例えば火力発電所、高ジェネのがありますけれども、発生した熱の8割近くまで使えるというようになっているのです。
    でも、原子力発電所だけは今、西谷さんがおっしゃって下さったように、都会に建てることができませんので、高ジェネをやることもできない。おまけに、もともとの発電効率が大変低いので、せいぜい3割ぐらいの熱しか使えないというですね、まことにバカげた装置になっているわけです
西 谷: もう先生からその話聞いて、びっくりしました。僕、なんとなく原発は効率いいもんやと思ってたら、一番悪いんですよね?
小 出:  一番悪いです。
西 谷: もうだから、都会につくれない効率一番悪い、コストも高い、CO2も冷やすためにものすごい出さないかん。ええとこないですよねえ。
小 出: はい。何にも良いことないのですけれども、自民党の人達が何を思ってるかと言うと、原子力を放棄してしまうと、核兵器をつくる能力も無くなってしまうから、やはり、原子力は止められないと彼らが言っているわけです。
西 谷:  石破さんもね、潜在的にって言ってましたもんね、能力持ってる方がいいとおっしゃいましたもんねえ。その自民党の話が出ましたが、安倍首相がこの伊方のことでですね、「万が一、事故があった場合は国が責任を持って対処する」と言ってはるのですが、これを聞かれて、先生ご感想は?
小 出:  今、福島第一原子力発電所の事故が起きて、国が責任を持って、どんな行動をとってるかと言うと、放射線管理区域にしなければいけない汚染地に、赤ん坊も含めて子供達を捨ててしまった。
    一度は逃がた人達も帰れ、2017年4月以降は、もう補償金も出さないぞということを安倍さん率いる国がやっている。次に川内原子力発電所、伊方原子力発電所で大きな事故が起きれば、やはり周辺の人々が捨てられてしまうということになるのだと思います
西 谷: 20ミリシーベルト勝手に引き上げたのも国ですもんね?
小 出: そうです。
西 谷: そんな中でですね、この伊方原発にちょっと戻りますが、これ伊方原発3号機というのはプルサーマルができる原子炉ですか?
小 出: そうです。
西 谷: より危ない原子炉になりますよね?
小 出: もちろんです。どんな機械も、はじめ設計をしていくわけですけれども。例えば、石油ストーブ、ご家庭で使ってる方もいらっしゃると思いますが、石油ストーブというのは灯油を燃やすということで設計してストーブをつくるのですね。その灯油を燃やす石油ストーブで、もしガソリンを燃やそうとすれば火事になってしまう
西 谷: はい、爆発するでしょう。
小 出:  灯油だってガソリンだって、もともとは原油という同じ物から精製して分離した兄弟のようなもんですけれども、それでも、ちょっと性質が違えば、石油ストーブが火事を起こしてしまうということになるわけですね。
    今日、使ってる原子力発電所というのは、ウランを燃やすというために設計された原子炉です。それで、無理矢理プルトニウムという物を燃やそうとしているわけで、危険なことになってしまいます。お金もかかってしまいます。
    危険性が増して、金銭的にも損をするということはわかっているわけですけれども、それでもなおかつ、もうやらざるを得ないというところに日本の原子力が追い込まれてしまっているわけです。
西 谷: もう一度確認しますが、ウランの毒性とプルトニウムの毒性は、20万倍も毒性がプルトニウムは強いと聞きましたが。
小 出: はい、おっしゃる通りです。
西 谷: 20万倍ですよね? 20倍じゃなくて?
小 出: 20万倍です。
西 谷: そんな危険なプルトニウムを燃やすプルサーマル計画ができる伊方の原発3号機が再稼働するというのが現実なんですね?
小 出: そうです。
西 谷: はい、よくわかりました。小出さん、どうもありがとうございました。
小 出: いえ、こちらこそありがとうございました。

30- 自主避難者にも住宅無償提供継続を 東京で避難者が集会

 福島原発事故で避難区域外から自主避難した住民らが28日、東京集会を開き、借り上げ住宅の無償提供を2016年度末で打ち切る福島県の方針に対して撤回と支援継続を訴えました。
 年間20ミリシーベルト以下の地域から自主避難した人たちへの支援を真っ先に打ち切るとは、あまりにも非道な話です。
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<原発自主避難> 住宅無償提供、継続して
河北新報 2015年11月29日
◎避難者ら東京で集会
 東京電力福島第1原発事故で福島県の避難区域外から自主避難した住民らが28日、東京都千代田区で開かれた集会に出席し、災害救助法に基づく借り上げ住宅の無償提供を2016年度末で打ち切る福島県の方針について、撤回と支援継続を訴えた。
 
 妻と息子4人がさいたま市に避難している郡山市の中学校教諭瀬川芳伸さん(53)は、除染後も自宅の放射線量が十分に下がっていないと指摘。「支援が無くなると今の収入では家族を支えられない。年齢的に転職も難しく、行政の対応は不可欠だ」と述べた。
 福島市から娘3人と米沢市に移った会社員渡辺加代さん(39)も「長女が中学校に上がったばかり。で、このままでは新しい環境に慣れたころに家を失うことになる。子どもの成長を踏まえ施策を考えて」と求めた。
 
 集会は避難者の声を発信する場をつくろうと、都内の弁護士や行政書士でつくる支援団体「とすねっと」が主催した。

2015年11月29日日曜日

浜岡原発住民アンケートで市民団体が大学教授に抗議文

 常葉大経営学部の教授が中部電力浜岡原発の周辺四市で実施している住民アンケートの内容が浜岡原発の再稼働賛成の立場に偏重しているとして、市民団体が27日、教授に抗議文を郵送しました。
 市民団体が指摘しているように、確かに再稼動賛成に誘導する意図が感じられる設問になっています。
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浜岡原発住民アンケート 大学教授に抗議文
中日新聞  2015年11月28日
◆市民団体「再稼働賛成の立場に偏重」
 常葉大経営学部の山本隆三教授(環境経済学)が中部電力浜岡原発(御前崎市)の周辺四市で実施している住民アンケートの内容が浜岡原発の再稼働賛成の立場に偏重しているとして、市民団体「浜岡原発はいらない・命を守る菊川市民の会」は二十七日、山本教授に抗議文を郵送した。
 
 山本教授によると、「日本のエネルギー・原子力政策」と題したアンケート。御前崎、牧之原、菊川、掛川の四市の全三万世帯に今月郵送した。福島第一原発の事故を受けて完全停止した浜岡原発の再稼働の是非を問う内容で、十二月十日までに匿名で回答を返送するよう求めている。
 市民の会は、このアンケートが「原発停止で火力発電の稼働が増加し、電気料金が上昇」や「再生可能エネルギーは高価」という趣旨の主張を掲げた上で「あなたは、この事実についてご存知(ぞんじ)でしたか」という質問が続くことを問題視。事務局の落合明夫さん(67)は「原発事故の多額の処理費などにふれておらず、住民を再稼働賛成に誘導する内容」と憤っている。
 
 山本教授は「エネルギー問題に関心がある人の意識を調べている。私は原発推進の立場だが、アンケートは中立的に聞いた」と反論している。

29- 東通原発 活断層前提に審議へ 規制委

 原子力規制委27日、青森県東通原発の安全審査の会合を開き、「敷地内に活断層がある」とした有識者調査団の報告書を前提に、今後の審議を進める方針を示しました。
 報告書は、敷地を南北に走る10本の断層群のうち2本を活断層と認定し、原子炉などの直下にある別の2本については、活動性の有無を両論併記しています
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東通原発:「活断層」前提に審議へ 規制委、安全審査会合
毎日新聞 2015年11月27日
 原子力規制委員会は27日、東北電力東通原発(青森県)の安全審査の会合を開き、「敷地内に活断層がある」とした規制委の有識者調査団の報告書を前提に、今後の審議を進める方針を示した。東北電は「活動性はない」と反論したが、原発の新規制基準に合格するためには大幅な耐震補強を求められる可能性が高まった。
     
 報告書は、敷地を南北に走る10本の断層群のうち、2本を活断層と認定。原子炉など重要施設の直下にある別の2本については、活動性の有無を両論併記した。
 
 規制委は会合で、南北を走る断層群については「重要施設の直下にはないが、地震動としてどう評価するかが重要」と指摘。重要施設直下の断層については、今後慎重に審査する方針を示した。新基準は、活断層の上に重要施設を建設することを認めておらず、今後の結論次第では廃炉の可能性が高まる。 【酒造唯】

2015年11月28日土曜日

関電、美浜原発の20年延長申請 安全上問題ないと

 関電は26日、来年で運転開始40年なる美浜原発3号機を、更に20年間運転延長することを原子力規制委員会へ申請しました。当初は30年程度と見られていた原発が60年も使えるということになれば、電力会社にとってこんなに旨い話はありません。電力会社は規制委が定めた特別点検を行った結果、安全上の問題がなかったからということです。
 
 原子炉は高温高圧で運転されるのに加えて、絶えず核分裂時の中性子アタックを受けるので激しく劣化するとされているのに、一体どんな点検で一挙に20年間もライフが延長できるのでしょうか。
 安全を保障するものではないと公言する規制委は、一体どんな点検基準を作ったのでしょうか。それは誰にも認められるような根拠を持っているのでしょうか。
 
 規制委はこの8月(5日)にも、九電川内原発1号機が運転開始30年になるということで急遽10年間の運転延長を認めたことがありました。10年といえば実に大幅な期間延長ですが、一体どんな根拠で許可したのか気になります。
 
※ 8月6日 規制委が川内原発の「30年」超運転を急遽許可 
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関電、美浜原発の20年延長申請 「安全上問題ない」
東京新聞 2015年11月26日
 関西電力は26日、運転開始から来年で40年となる美浜原発3号機(福井県)の20年間の運転延長を原子力規制委員会へ申請した。関電の八木誠社長は26日の定例記者会見で、「(特別点検で)安全上の問題がないことを確認した。原発は供給力確保の観点から大変重要で、引き続き活用したい」と強調した。
 
 申請に先立ち、関電の森中郁雄常務執行役員が福井県庁を訪れ、延長申請について報告。応対した県の桜本宏安全環境部長は「なぜ40年超の運転が必要か、県民理解が不可欠だ」と述べた。 (共同)

28- 福島原発 2号機建屋を来夏解体

 政府と東電は26日、福島原発2号機建屋の5階床面から上の部分の解体・撤去を来年夏から開始すると発表しました。
 使用済み核燃料プール内の燃料や炉心から溶け落ちた燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けた作業です。
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2号機建屋、来夏解体へ 福島第1原発
東京新聞 2015年11月26日
 政府と東京電力は26日、福島第1原発2号機の原子炉建屋上部の解体作業を来年夏ごろに開始すると発表した。使用済み核燃料プール内の燃料や炉心から溶け落ちた燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けた作業で、クレーンなどを設置するため最上階の5階床面より上の構造物を全て撤去する。
 
 本格的な解体作業に先立ち来年春ごろ、建屋脇に作業台を設置する。
 
 現在の廃炉工程表では、2号機プールからの燃料取り出しは2020年度に始まる。燃料デブリの取り出しは最初の号機で21年開始の見通し。 (共同)

2015年11月27日金曜日

放射性廃棄物焼却設備が完成 飯館村

 飯舘村福島市、南相馬市など6市町村の放射性廃棄物と福島市・南相馬市・国見町の下水汚泥を焼却する設備(環境省が運営)が飯館村に完成し、25日、火入れ式が行われました。
 日処理量は240トンで3年を目処に処理し、処理しきれない場合は最大2年延長します。
 焼却処分の場合は、排燃焼ガスやリーク煤塵中への放射性物質の混入の防止がポイントですが、その性能は十分なのでしょうか。
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焼却減容化施設火入れ 飯舘
福島民報 2015年11月26日
 飯舘村など6市町村の放射性廃棄物を受け入れる焼却減容化施設の火入れ式は25日、同村蕨平(わらびだいら)で行われた。
 施設を運営する環境省や村民合わせて約100人が出席した。丸川珠代環境相と内堀雅雄知事、菅野典雄村長、小林香福島市長がそれぞれあいさつし、点火スイッチを押した。丸川環境相は「福島の復興に重要な施設だ。安全に運用する」と述べた。県の安全性検査を受け、来月15日ごろに稼働する。
 
 放射性物質を含んだ廃棄物を広域的に集約して処理する施設は初めて。飯舘村の除染廃棄物や家屋の廃材、福島と南相馬、伊達、国見、川俣の5市町の稲わら、福島と南相馬、国見の3市町の下水汚泥を焼却する。処理能力は1日当たり240トン。
 3年間にわたり使用し、廃棄物の残量に応じて最大で2年間延長する。焼却灰は放射性物質濃度が1キロ当たり10万ベクレル以下の場合、富岡町の管理型処分場に移送する計画。10万ベクレル超は中間貯蔵施設に搬出する。

27- 指定廃棄物処分場建設の反対署名を市に提出 千葉の市民団体

東京新聞 2015年11月26日
 東京電力福島第一原発事故に伴う指定廃棄物の処分場建設に反対する千葉市の市民グループなどが二十五日、熊谷俊人市長あてに、建設を受け入れないように求める九千四百十三人分の署名を提出した。八月に続き二度目で、計約二万四千人分となった。
 
 国は県内の処分場候補地として、東電千葉火力発電所(千葉市中央区)の敷地を選定。市は反発し、国に再協議を求めている。署名活動は「放射性廃棄物最終処分場に反対するちば市民の会」などが実施。市長には、選定を知らない市民も多いとして、市政だよりで取り上げることも求めた。
 
 今回提出したうちの半数以上は、同じく候補地となっている栃木県塩谷町の住民による署名だった。ちば市民の会代表の岡美由紀さん(55)は「国の千葉市への回答は先延ばしになっている。署名活動を続けたい」と話した。 (内田淳二)

2015年11月26日木曜日

福島原発「護岸部遮水壁」 早くも傾いてひび割れ

 福島原発で先月完成したばかりの「護岸部遮水壁」が、地下水の圧力で海側に最大20センチき、舗装面にひび割れが発生しているということです。
 地下水流をせき止めればそれなりの水位上昇が生じ、遮水壁に圧力が掛かるのは当たり前のことです。
 何故この現場はやることが一つひとつチグハグで、お粗末なのでしょうか。
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福島第一原発「遮水壁」 僅かに傾く 
NHK NEWS WEB 2015年11月25日
東京電力福島第一原子力発電所で、汚染された地下水の海への流出を抑えるため先月完成した「遮水壁」と呼ばれる設備が、地下水の圧力で海側に僅かに傾いていることが分かり、東京電力が設備の補強やひび割れの補修を進めています。
 
福島第一原発では、汚染された地下水が海に流れ出るのを抑えるため、護岸沿いに打ち込んだ鋼鉄製の壁で地下水をせき止める「遮水壁」が先月26日に完成しました。
この遮水壁を東京電力が調べたところ、陸側の地下水の圧力によって、上下の長さが30メートルある壁の頂上部分が海側に最大20センチほど傾き、護岸の舗装には、ひび割れも発生しているということです。
東京電力によりますと、「遮水壁」が完成したあと、陸側の地下水の水位が上昇しているのが原因だということです。
このため東京電力は、壁の回りに鋼鉄製の柱を設置して補強を行っているほか、舗装のひび割れから雨水が入り込んでさらに地下水が増加しないよう、樹脂を吹き付けて補修を進めているということです。
東京電力は、この傾きによって遮水壁の地下水をせき止める機能に影響が出ることはないとしています。 

核燃サイクルは時代遅れ 意味も不明 中止するしかない

 一向に動こうとはしない日本の核燃サイクルは、もはや考え方が時代遅れだということです。
 六ヶ所村の「軽水炉 核燃サイクル」は、もともと経済的に何のメリットもないものです。
 それに「高速増殖炉 核燃サイクル」は、もしも正常に稼動すれば「プルトニウム」が増加するので、プルトニウムを保管しないという国際公約にはそもそも合致しないものです。
 「軽水炉 核燃サイクル」が正常に稼動して、「高速増殖炉」用の「ウラン+プルトニウム」燃料を生産したとしても、それの「高速増殖炉」への装荷は初期の1回のみなので、元々サイクルなどと呼べるものではありません。
 それに「高速増殖炉」の実装置化などは、あまりにも危険すぎて真面目に考えるような話ではありません。
 
 それなのに原子力ムラは二言目には、「高速増殖炉」は「核燃サイクルの中核をなすもの」という言い方をします。
 いつ爆発するか(そうなれば対処方法はありません)分からない危険な装置である上に、不要なプルトニウムを生み出すという始末に負えないもののどこが一体「中核」だというのでしょうか。
 
 核燃サイクルはすべて中止すべきです。
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<核燃サイクル> 専門家「政策は時代遅れ」
河北新報 2015年11月25日
 核燃料サイクルの主な仕組みは図の通り。使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し、混合酸化物(MOX)燃料を製造して活用する。
 高速増殖炉もんじゅは、燃料として利用した以上のプルトニウムを生む「夢の原子炉」の原型炉。国は実証炉、商用炉を段階的に開発する間、MOX燃料を利用する計画だった。
 運転実績は1995年のナトリウム漏れ事故以来、ほとんどなく、運営主体の日本原子力研究開発機構は機器点検漏れなど管理ミスを繰り返した。原子力規制委員会は今月13日、「機構は必要な資質を有していない」とし、別の運営主体を見つけるよう文部科学省に勧告した。
 
 核燃料サイクルへの影響について、所管する林幹雄経済産業相は「(問われているのはもんじゅの)管理体制。政策そのものではない」とかわし、当面は通常の原発(軽水炉)でMOX燃料を使うプルサーマル中心のサイクル政策を描く。
 その場合も再処理工場の稼働が不可欠だが、当初計画で97年完成だった工場は試運転中のトラブルによる工程ずれ込みや、規制委の安全審査への対応遅れが続く。原燃は新たな安全対策などを理由に今月16日、完成時期を2016年3月から18年度上期に延期した。
 
 福島第1原発事故後、原発再稼働のハードルは高まり、事故前に全国で4基だったプルサーマルが拡大する見通しは立っていない。
 明治大の勝田忠広准教授(原子力工学)は「(核燃料サイクルは)科学的に古い技術になった。電力需要対策など政策の目的も時代遅れ。政府は表面上『実現する』と主張するが、何をもって成功とするのかを定義し、国民が判断しやすい状況を作るべきだ」と見直しを訴える。
 

26- 九電の核燃料乾式貯蔵施設計画に佐賀県が抗議

 九州電力が検討している使用済み核燃料の「乾式貯蔵施設」はそれ自体は安全性の高いものですが、使用済み核燃料の保管設備については九電が佐賀県、玄海町と結んでいる安全協定の規定で事前了解が必要とされているものでした。
 九電が県や町に詳しい説明をして事前了解を取ることなく、20日、経産省などに設置計画を公表したことに県が抗議し、九電側は佐賀県と玄海町に陳謝しました。
 
(関係記事)
11月24日 九電、使用済み核燃料の乾式貯蔵施設を検討
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核燃料乾式貯蔵施設 県が抗議 知事ら「理解得ず問題」
河北新報 2015年11月25日
 九州電力が検討している玄海原発(東松浦郡玄海町)敷地内への使用済み核燃料の「乾式貯蔵施設」建設について、佐賀県は24日、九電の山元春義取締役を県庁に呼び、詳しい説明や理解を得ない形で公表したことに口頭で抗議した。山元氏は陳謝した。山口祥義知事は定例会見で「非常に当惑している。信頼関係が何より大事で、善処してもらいたい」と改善を求めた。
 
 九電は20日に経産省で開かれた会議で、原発敷地内での設置を検討していることを明らかにした。県によると九電から初めて説明を受けたのは16日で、その際、「敷地内という表現が一人歩きして誤解を招く」として再考を求めていたという。しかし、九電はそのまま公表した。
 この日は県くらし環境本部の伊藤正本部長が「具体的説明もなく、理解を得ない中で公表したことは問題だ」と抗議した。山元氏は「社内での検討ということだが、公表したことは申し訳ないと思う。二度とこのようなことがないようにしたい」と応じたという。
 山元氏は玄海町も訪れ、同様の説明をした。
 
 また、唐津市の坂井俊之市長は24日の会見で「九電から事前の連絡は何もなかった。今は再稼働の問題もあり、信頼関係が大事なとき。唐突な発表に驚きと同時に不快にも思った」と憤りを見せた。「再稼働に理解を示している市民からも戸惑いの声が多く寄せられた」と語り、「乾式貯蔵の安全性に関する議論もまだ十分ではない。九電の方針は段階を踏まえたものではない」と批判した。
 乾式貯蔵施設は、使用済み燃料をプールではなく、特殊金属製の容器に入れて、外気で冷却しながら保管する。設置には九電が県、玄海町と結んでいる安全協定の規定で事前了解が必要になる。

2015年11月25日水曜日

もんじゅに連動し、東海村核燃料サイクル施設も足踏み

 茨城県東海村の核燃料サイクル関連施設には、「もんじゅ」の核燃料製造設備とリサイクル機器試験施設RETFもんじゅの使用済み核燃料を再処理)それにもんじゅの前段階に当たる高速実験炉「常陽」がありますが、「常陽」を除いて、「もんじゅ」自体が20年も動かないので当然開店休業状態にあります。設立後40年になるということです。
 「常陽」については、プルトニウムを増やす「増殖」の研究は既に終了し、高速中性子を使って高速炉用の核燃料や材料の照射試験を行うことになっていますが、07年に故障したまま現在に至っています
 
 開店休業状態で20年を経過しても何の問題意識を持たないなど、民間企業ではありえないことです。さすがは原子力ムラというわけです。
 
 茨城新聞が東海村の核燃料サイクル関連施設の現状を報じました。
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もんじゅ勧告 県内施設も足踏み 核燃料サイクル行き詰まり
 存続・改造に多額費用
 茨城新聞 2015年11月24日
 原子力規制委員会が高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運営する日本原子力研究開発機構(原子力機構、本部東海村)を「資質なし」と断じ、文部科学相に運営主体の変更を勧告した。新たな担い手探しは難航必至で、核燃料サイクル政策の中核だった「夢の原子炉」は存続の危機に立たされた格好。廃炉が現実味を帯びるもんじゅの影で、県内に立地する核燃料サイクル関連施設も先行きが見通せない状態だ。 (報道部・戸島大樹、東京支社・高岡健作)
 
■厳しい視線
 「多額の金を掛けて造り直す合理的な説明ができるのか」
 政府が11日に開いた中央省庁の事業の無駄を点検する行政事業レビュー。やり玉に挙げられたのが原子力機構核燃料サイクル工学研究所(同村村松)のリサイクル機器試験施設(RETF)だ。
 もんじゅの使用済み核燃料を再処理する予定だったが、もんじゅ自体が動かないため、約800億円以上投入されながら工事は15年前に中断されたままとなっている。
 文科省は新たに100億円を掛けて別目的の施設に改造する計画を示したが、批判が集中。結局、来年度の概算要求は撤回に追い込まれ、河野太郎行革担当相は「今後も原子力機構の予算は細かく見ていく」とくぎを刺した。
 
■製造したまま
 同研究所にはもんじゅで使う核燃料を製造する施設、プルトニウム燃料第三開発室もある。
 1988年に完成したが、トラブル続きのもんじゅの影響で、核燃料製造実績は9095年度までの6年間と、200810年度の3年間にとどまる。
 これまでに製造した核燃料366体の一部はもんじゅに陸上輸送したものの、残りはまだ東海にあり「もんじゅが運転再開の準備停止命令を受けているため持ち出せない」(原子力機構)状態だ。
 核燃料に含まれるプルトニウム241の半減期は1415年で、時間経過に伴い燃料性能は落ちる。仮にもんじゅが運転再開にこぎ着けても相当な期間を要するため、東海に残る核燃料は無駄になる可能性も生じている。
 
■険しい再開への道
 原子力機構大洗研究開発センター(大洗町成田町)には、もんじゅの前段階に当たる高速実験炉「常陽」がある。
 発電設備はなく、プルトニウムを増やす「増殖」の研究は既に終了。高速中性子を使って高速炉用の核燃料や材料の照射試験を行う。「車で言えばエンジンの研究をする場所だ」(原子力機構)。
 規制委の勧告について、同センター高速実験炉部の前田幸基部長は「もんじゅをやめろと言われたわけではない。常陽が抱えるミッションは変わらない」と強調する。ただ、常陽も07年に実験装置が故障して以来運転停止しており、再開への道のりは険しい。
 原子力機構は、再開に向けた国の審査を16年度に申請する方針だが、空気と触れると燃える冷却剤のナトリウムが流れる配管は耐震補強が必要で、工事に時間がかかる。
 常陽の原子炉格納容器の床面には77年4月の初臨界を記念し、ローマの哲学者セネカの詩の一節がラテン語で書き込まれている。
 「かくも明白な事実を我々が今やっと経験したということを、子孫たちが驚く時が来るだろう-」
 現行の軽水炉に代わり、エネルギー需要を高速炉が支える社会の到来を見据えたものだが、今回の勧告で実現は一段と遠のいた。
 国策の下、約40年前に研究者たちが思い描いた「その時」は一向に見えてこない。