2016年2月5日金曜日

05- 食の安心、学校給食にも 福島県産利用27.3%に上昇

 福島民友 2016年02月04日
 (福島)県内の学校給食で本年度、県産食材を活用している品目の割合が27.3%となり、前年度より5.4ポイント上昇、東日本大震災前の水準の8割弱にまで回復したことが3日、県教委の県産食材活用状況調査結果から分かった。東京電力福島第1原発事故による放射性物質への不安などで激減した活用割合に回復が見られ、県教委は「県産品への保護者の安心感が広がってきている」とみている。ただ、水準を震災前に戻すには、一層の周知が課題となる。
 
 学校給食での県産食材活用割合は原発事故が発生した2010(平成22)年度に36.1%だったが、12年度には18.3%と半減した。その後、徐々に回復し、本年度は前年度からの上昇幅が震災以降で最も大きかった。
 県教委は、学校給食用食材の放射性物質検査結果を公表したり、保護者対象の試食会を開くなどして安全性を周知していることが保護者の理解につながったとみている。
 
 14年12月から地元産米の使用を再開したいわき市では当初、保護者の中から不安視する声もあったが、地元産米のご飯を食べない児童、生徒は減ってきているという。吉田尚市教育長は「県産食材を積極的に活用していく上では、放射性物質検査などによる安全確認や、検査状況の見学会などを通じて保護者の理解を得ることが大切」とした。
 
 鮫川村学校給食センターは、月の献立で地元産食材の使用品目を明記し、周知している。舟木正博所長心得は「給食を通じて子どもたちに地元食材や県産食材の良さを実感してもらうことが狙いの一つ」と話す。
 
 ただ、地区別では、相双・いわきと県北の活用割合が、いずれも16%台と低い。県教委は「他地域と比べ、放射線への不安が完全には払拭(ふっしょく)されていない」とみて、保護者への理解を得られるよう安全対策への取り組みを続けていく方針。