2016年2月19日金曜日

福島原発 変わる廃炉の現場 事故から5年

 事故5年目の福島原発の現状を福島民友がレポートしました。
 現場作業をする企業棟に通じる道路上の放射線量は200⇒1・5マイクロシーベルト時などと下がりましたが、機械棟近辺では依然として420マイクロシーベルト時ほどということです。
 燃料デブリの在り処は相変わらず不明で、廃炉はまだまだ緒に就いたばかりということです。
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変わる廃炉の現場 震災・原発事故から5年、第1原発の今
福島民友  2016年02月18日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から丸5年になるのを前に、福島民友新聞社は17日、第1原発に入った。史上最悪レベルの惨事を起こし、放射性物質で汚染された構内はこの5年間で環境改善が進み、一部エリアでは防護服を着用せずに一般作業服で移動できるまでに様変わりした。一方、核燃料集合体の取り出しや汚染水対策に向き合う日々はいまだ続き、廃炉作業が本格化するのはまだこれからだ。
 
 「ご安全に」。第1原発の作業員らの出入りを管理する施設の外に出ると、防護服を着用せずに軽装の作業服で歩く作業員の姿があった。同施設から企業棟まで続く道路の空間放射線量は2011(平成23)年4月当時は毎時200~300マイクロシーベルトほどだった。現在は除染などが進み同15マイクロシーベルトほどまで低下。昨年12月、移動に限り一般作業服での通行が可能になった。
 
 海抜35メートルの高台から同10メートルの建屋側に下る斜面は、かつて草木が生い茂っていたが、現在はモルタルを吹き付け放射線量を低減する「フェーシング」で一帯が灰色一色となり、要塞のような様相を呈していた。
 
 一方建屋に近づくほど放射線量が高く、2、3号機建屋の間で毎時420マイクロシーベルトが計測された。汚染水対策の切り札「凍土遮水壁」の建屋海側では、放射線を遮る効果が高い金属製のベストを着た作業員が配管周辺の整備に汗を流していた。敷地北側の海沿いにはがれき保管場が広がり、防護服が詰められたコンテナが整然と並んでいた。廃炉作業で日々増える廃棄物の保管、処理は長期的な課題だ。
 30~40年かかるとされる廃炉作業で、5年が過ぎようとしても、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の状態は分かっていない。東電の広報担当者は「廃炉作業はまだ緒に就いたばかり。自分たちが起こした事故のマイナスを少しでもゼロに近づけていきたい」と語った。