2016年3月15日火曜日

川内原発周辺 線量計の半数が避難線量を測れず 監視不十分で再稼働

 運転中の九州電力川内原発(鹿児島県)周辺に設置されたモニタリングポストのうち、ほぼ半数が事故時の住民避難の判断に必要な放射線量毎時500マイクロシーベルト以上は即時に避難、毎時20マイクロシーベルト以上が一日続いた場合は一週間以内に避難)を測れないことが分かりました
 
 鹿児島県は、川内1号機の530キロ圏に48台設置しましたが、そのうち22台は毎時80マイクロシーベルトまでしか測定できず、県が予備用に配備している可搬型ポストも44台のうち30台は毎時100マイクロシーベルトまでしか測定できません。
 県は、事故時は可搬式線量計を持ち運んで測定すると言いますが、過酷事故時に本当にそんな対応がとれるものでしょうか。また地震で道路が通行できなくなった場合、必要な場所に設置できない可能性もあります。
 
 線量計は少なくとも5キロ間隔以内に設置する必要があるとされますが、設置数量がそれに対応しているのかも不明ですし、規制委=政府の避難の原則はSPEEDIではなく実測値に基づくというものなので、
線量計ポストの設置範囲は30キロ圏を超えて50~100キロ圏まで及ぼす必要があります。
 
 そうした配慮が一切ないままに川内原発は無謀に再稼働したわけです。
 大津地裁が高浜の再稼働禁止仮処分決定で、避難の計画が不十分と指摘した事の正当性が改めて確認されます。
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川内原発周辺 装置の半数、即避難線量を測れず 監視不十分で再稼働
東京新聞 2016年3月14日 
 昨年再稼働した九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)周辺の放射線監視装置(モニタリングポスト)のうち、ほぼ半数の四十八台中二十二台が事故発生時の即時避難の基準となる高い放射線量を測定できないことが、同県への取材で分かった。監視態勢が不十分なまま、再稼働したとの批判が出そうだ。
 国の指針では重大事故時被ばくのリスクが高い五キロ圏の住民はすぐに避難。五~三十キロ圏はまず屋内に退避し、ポストの数値で避難の必要性を地域ごとに判断する。毎時五〇〇マイクロシーベルト以上は即時に避難、毎時二〇マイクロシーベルト以上が一日続いた場合は一週間以内に避難させる
 ポストは原発の三十キロ圏にある道府県が設置。鹿児島県は川内1号機が再稼働した昨年八月までに、五~三十キロ圏に四十八台設置したが、そのうち二十二台は毎時八〇マイクロシーベルトまでしか測定できないという。
 県原子力安全対策課は「高い値まで測定できる近くのポストから総合的に判断でき、持ち運べる可搬型でも対応できるので問題はない」と説明している。
 ただ、県が配備している可搬型ポスト四十四台のうち三十台は毎時一〇〇マイクロシーベルトまでしか測定できない。地震で道路が通行できなくなった場合、必要な場所に設置できない可能性もある。
 一方、関西電力高浜原発(福井県高浜町)の五~三十キロ圏では、京都府がおおむね小学校区ごとにポスト四十一台の設置を決めた。しかし、このうち増設する二十七台は3、4号機が再稼働していた二月末時点で工事中だった。府環境管理課によると、三月末までに測定可能になる。