2016年4月17日日曜日

17- 川内原発の避難計画ルートは全て大地震で止まった

 熊本地方は16日深夜から未明にかけてM7.3の本震が襲い、多数の被災者、死者、けが人が出ました。建物の倒壊、がけ崩れ、農業用水ダムの決壊、道路の破壊と途絶等々の恐ろしい災害が付随しました。
 共産党の小池書記局長は16日、世耕弘成官房副長官に川内原発の運転停止を求めましたが、政府側は「原子力規制委員会は停止の必要性はないとの認識を示している」として運転を容認しました。
 また共産党熊本委員会は同様に、九電に川内原発の運転停止を求めました。
 
 ブログ「Everyone says I love you !」は、「鹿児島川内原発の避難計画に入れられている新幹線も高速道路も、すべて熊本地震で止まった」とする記事を載せ、今回の熊本地震で、川内原発などが避難計画に組み込んでいる九州新幹線や高速道路が軒並み脱線事故や地割れ・陥没を起こして使用不能となっているので、避難計画が実効性を持っていないことが明らかになったとしました。
 
 政府と原子力規制委はまるで福島原発事故などなかったかのようにして、原発の再稼働に向けて励んでいますが、今回熊本地方を襲った激震が川内原発を襲わなかったのは単なる僥倖に過ぎません。襲っていればどうなったかわかりません。多分福島原発事故を再来させて世界に呆れられたことでしょう。
 
 熊本大地震を目の当たりにしたのを機に、あらためて規制委がこれまでどれほど甘い考えで再稼働を進めて来たのかを確認すべきです。
 同ブログは火山灰の問題も取り上げていますが写真版が中心のためここでは紹介できません。
 原文でご覧になってください。
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鹿児島川内原発の避難計画に入れられている新幹線も高速道路も、
すべて熊本地震で止まった
Everyone says I love you ! 2016年4月15日
 熊本県を震源とする強い地震が2016年4月14日夜から15日未明にかけて相次いでいます。
 あらためて、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災者の方々の一刻も早い救援と復興をお祈り申し上げます。
 
 日本で震度7を記録したのは、1995年の阪神大震災以降4回目となりますが、今回は内陸にある活断層型の地震だったため震源が浅く、マグニチュードの規模のわりに揺れが大きくなって被害につながったとみられています。
 多くの人が心配されたと思われる川内・玄海原発にはいまのところ異常はないということで、いまだに稼働していますが、今回の地震と全国で唯一稼働している川内原発の場所がずれていて無事だからと言って、両原発が安全ということには全くなりません。
 
 九州電力川内原発1、2号機については運転差し止めを同県などの住民が求めた仮処分申し立ての即時抗告審で、住民側の抗告を棄却する決定が4月6日に出たばかりです。
 この裁判所の決定は、地震への備えを定めた新規制基準や原子力規制委員会の審査に「不合理な点はない」と判断したのですが、原子力安全委員会の安全審査にはそもそも避難計画に対する審査が含まれていません
 例えば鹿児島県は川内原発の事故について、10キロ圏の病院・老人福祉施設17施設は避難先を確保したと言っていますが、10~30キロ圏の227施設は、県が事故後にコンピューターで避難先を探し、個別連絡することにした!というのです。
 そんなの、間に合うわけない!ちゅうか、それ、避難計画がないってこと!
 
 福島原発事故ではろくな避難計画もなかったため、福島の住民は避けられたはずの被曝を余儀なくされ、救出が遅れた病院では入院患者が体調悪化で相次いで亡くなりました。福島県内の関連死は1900人を超えています。
 原発事故は放射線以外でも人を殺すのです。
 しかも、今回の熊本地震で、この避難計画に組み込まれている九州新幹線や高速道路が軒並み脱線事故や地割れ・陥没を起こして使用不能となっています。
 つまり、川内原発周辺住民の安全を確保できているという前提が全く狂ってしまったことが、今回の地震の大きな教訓です。
 
 川内原発と地震の関係についていえば、原子力規制委員会が再稼働を認める際には計画されていた免震重要棟の建設を九州電力が撤回してしまっていることが非常に問題です。
 免震重要棟とは、2007年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発の事務棟が使えなくなった教訓から東京電力が所有する原発に設置し、福島第一原発事故では対応拠点として極めて重要な役割を果たしました。
 これは免震装置で地震の揺れを大幅に低減する構造で、自家発電機や通信設備、被ばく対策設備のほか、休憩施設や物資置き場も備える。原発の新規制基準では義務付けられていないが、ほとんどの原発で設置が進んでいます。
 この免震重要棟の建設は、川内原発の再稼働を原子力規制委員会が審査する際にも前提になっていました。ところが、九電は再稼働後にいきなり建設しないと言い出したのです。
 とにかく、川内原発は今、震災の際に司令塔となる免震重要棟がないまま稼働しており、しかも作る気がないということを覚えておいてください。
 
 さらに、川内原発について地震と同じくらい心配されているのが火山の噴火です。
 川内原発の安全審査基準には、桜島、霧島山、阿蘇山などの火山噴火の詳しい影響予想など入っていません。
 前述した福岡高裁宮崎支部の決定で、西川裁判長は、原発周辺の火山の影響については、噴火の時期や規模を事前に予測できることを前提としている点で「不合理」だとする一方、原発が安全性に欠けるとまでは言えないとし、規制委の判断は「不合理とは言えない」としました。
 矛盾した判断だと思われませんか?
 
 日本火山学会は、火山の噴火は予知できないと言っています。
 しかし、田中俊一原子力規制委員会委員長は相変わらず他人事のようなことを言っています。
 
田中俊一 「とんでもなことが起きると平気で言わないで、火山学会あげて必死で夜も寝ないで観測して国民のために頑張ってもらわないと・・・」
 
 以下の番組で取り上げられたように、1万年に1度というような火山の大噴火があったら川内原発などはもちろん危険なのですが、100年に1度というような規模の火山の噴火でも、原子力発電所には噴煙・火山灰で予想外の障害が起きうることが指摘されています。
 九州熊本を襲った地震を機に、我が国の原発ゼロをもう一度考えるべき時だと思います。
 川内原発再稼働迫る。この猛暑でも太陽光発電と省エネで電力は安定している。危険な原発はいらない。
 原発ゼロでも電力が不足したとか、そのせいで人命に影響が出たなどということが一切ないのに、余震が続く中、どうしてビクビクしながら無理やり原発を動かし続けなければならないのでしょうか。
 
 
熊本地震 川内原発の即時停止申し入れ 共産党鹿児島県委
毎日新聞2016年4月16日
 熊本、阿蘇、大分と地震が相次いでいるため、日本共産党鹿児島県委員会は16日、九州電力に対して川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の即時運転停止を求める緊急申し入れをした。同党の小池晃書記局長も同日、世耕弘成官房副長官に川内原発の運転停止を求めた。一方、政府側は「原子力規制委員会は停止の必要性はないとの認識を示している」と説明した。 
 
 県委員会は、原発を即時停止して地震による機器類の影響がないか点検し、余震が続く間は稼働させないことなどを九電に求めた。 
 川内原発は基礎岩盤上の地震計が、水平方向の最大加速度160ガルを観測すると自動停止するが、今回の一連の地震では最大86ガルだった。このため九電は「自動停止の設定値を下回り、異常も確認されていない」として稼働を続けている。 
 小池氏は記者団に「停止しても電力需要に支障はないはずだ」と語った。【遠山和宏】
 
 
川内原発「停止の必要なし」=丸川担当相-熊本地震
時事通信 2016年4月16日
 丸川珠代原子力防災担当相は16日午前、熊本地震の非常災害対策本部で、運転中の九州電力川内原発(鹿児島県)について、観測された地震動が自動停止させる基準値を下回っているとして「現在のところ、原子力規制委員会は停止させる必要はないと判断している」と報告した。