2016年4月19日火曜日

原子力規制委 「川内原発は現状では停止させず」と

 規制委の田中俊一委員長記者会見し、これまでの川内原発の揺れは小さくて安全なので運転は継続するし、その停止については、「科学的根拠がなければ、国民や政治家が止めてほしいと言ってもそうするつもりはない」と述べました。
 なにやら「運転する権利」の主張のように受け取れる異様な発言です。
 規制委はこれまで「規制基準に適合するかを判断するだけで、原発の安全を保証しているわけではない(⇒ 稼働の責任は政府や自治体にある)」と、責任逃れの態度に終始していたのに突然どうしたのでしょうか。
 
 委員長が会見で発言したことは、要するに遠くで起きた地震においては揺れは少ないということを、数字を挙げて説明しているだけで、地震が川内原発を直撃する可能性はないのかについては何も述べていません。 
 そして益城町で1580ガルの揺れが観測されたことについて聞かれると、ナント「今後、詳細を分析する」と説明しました。一番肝心なことを分析しないままで会見に臨んだという訳です。
 そうすると、万一原発の近くで大地震が起きたらという検討は抜きにして、単に「断固、運転を続ける」と力んだのでした。
 
 田中氏の発言にはいろいろと理解できないことが山ほどもあります。
 「今までの言動を見て、このひとは正常な精神をもっているのかと不安になったことが何回もあった」とコメントしている人もいるくらいです。
 
 かつて、川内原発を火砕流が襲わないのかを記者に問われると、「破局的な大噴火が起きたら九州は全滅するのだから、原発事故どころではない」と答えました。
 破局的な災害に、「放射能禍」の災害が加わることを避けることが規制委の使命の筈です。破局的な大噴火だからと言って、すべての核燃料を大気中に放出されるがままにするなどは世界が許しません。
 
 また破局的な噴火が近づいたら原発を停止して核燃料を取り出せばいいとも言いました。
 それに対して記者が「噴火予知出来ない」という火山学会の見解を伝えると、「火山学者はただ予知ができないと言うのではなく、夜も寝ないで研究すればいいじゃないか」と述べました。勿論睡眠時間を削って解決するような問題ではありません。そんなことは中学生でも分かることです。
 
 また話の勢いで、原発の核燃料は数ヶ月で全量発電所外に取り出せるとも言いました。
 一体そんなことが可能なのでしょうか。取り出した核燃料はかなりの間燃料プールで冷却しなくてならないし、そんな生々しい核燃料を一体どこに、どのようにして搬出しようというのでしょうか。具体的な方法を詰めているとはとても思えません。
 果たして会見の直ぐ後、文書で発言の取り消しがありました。しかしこれは取り消して済む話ではなくて、いざ「田中流の判断」で噴火の予兆が明らかになった時点で、核燃料をどう具体的に処置するのか明確な方針を持っていなくてはならない筈です。少なくとも危険を冒して運転するというのであれば・・・
 
 こんな人に任しておいていいのでしょうか。
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原子力規制委 「川内原発を現状では停止させず」方針決定
毎日新聞 2016年4月18日
審査方法も「既に今回より大きい地震を想定」と見直さず 
 原子力規制委員会は18日、熊本地震を受けた臨時会合を開き、国内で唯一稼働中の九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)を現状では停止させない方針を決めた。審査方法も「既に今回より大きい地震を想定している」として見直さない方針だ。 
 
 規制委によると、川内原発で観測した今回の地震動は最大86ガル(ガルは加速度の単位)。審査で想定した最大の揺れである基準地震動620ガルや、九電が保安規定で原子炉を自動停止する基準としている160ガルより小さかった。 
 また、布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯で今回起きた地震の規模は最大でマグニチュード(M)73だった。規制委は川内原発の審査で、この断層帯全体が動く最も強い地震としてM81を想定しているが、それでも地震動は150ガルで基準地震動まで十分余裕があると評価している。このため、今後も同じ断層帯が地震を起こしても「今は安全性に問題はない」としている。 
 今回、停止中の同玄海原発(佐賀県)▽四国電力伊方原発(愛媛県)▽中国電力島根原発(島根県)の揺れも基準地震動を下回った。震源に近い熊本県益城(ましき)町で1580ガルの揺れが観測されたことについては「今後、詳細を分析する」と説明した。 
 
 田中俊一委員長は記者会見で「科学的根拠がなければ、国民や政治家が止めてほしいと言ってもそうするつもりはない」と述べた。【酒造唯】