2016年4月22日金曜日

大間原発差し止め訴訟「政府は安全神話流布」と函館市が批判

 20日、函館市が提訴した大間原発建設差し止め訴訟の第8回口頭弁論で、函館市側は次のような点を挙げて、運転差し止めを求めました。
 
原発の新規制基準について欧州諸国と比べて緩やかであり、世界で最も厳しい基準だと強調する政府は新たな安全神話を流布している
欧州では基準地震動は1万年に1回未満の発生確率で設定されているのに対して、大間原発の基準地震動は、2005~11年の約6年間に全国の原発立地地域でそれを超えるものが5回観測されている
・大間原発は世界初のフルMOX商業炉であるが、新規制基準にはフルMOXに特化した規則がない
 
 それとは別に、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、日本原子力研究開発機構が新規制基準に適合させて再稼働するには安全対策に約432億円掛かるとの試算をまとめていました。
 完成のめども立たず、何の意味も認められない「もんじゅ」は一刻も早く廃炉にすべきです。
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「政府は安全神話流布」 大間原発訴訟、函館市が批判
北海道新聞 2016年4月21日
 函館市が国と電源開発(東京)に大間原発(青森県大間町)の建設差し止めなどを求めた訴訟の第8回口頭弁論が20日、東京地裁(林俊之裁判長)であった。函館市側は、原発の審査基準となる新規制基準について「欧州諸国と比べて緩やかであり、世界で最も厳しい基準だと強調する政府は新たな安全神話を流布している」と批判した。
 
 函館市側は新規制基準の問題点として、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)を挙げた。2005~11年の約6年間に、基準地震動を超える揺れが全国の原発立地地域で5回観測されていることを指摘。欧州では基準地震動は1万年に1回未満の発生確率で設定されているとして「日本の発生頻度は異常だ」として基準を見直すべきだと強調した。
 
 大間原発は、ウランと原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムを混ぜて作る混合酸化物(MOX)燃料だけを使う、世界初のフルMOX商業炉だ。函館市側は「ウラン燃料の原子炉より危険性が高いのに、新規制基準にはフルMOXに特化した規則がない」とも批判した。
 
 また、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを認めなかった今月6日の福岡高裁宮崎支部決定については「論理矛盾が複数ある不当な決定」と述べた。国と電源開発の主張はなかった。次回期日は7月14日。
 
 
もんじゅ再稼働に432億円 原子力機構が試算
時事通信 2016年4月21日
 多数の点検漏れなどの不祥事が相次ぎ、原子力規制委員会が運営主体の交代を求めている高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、運営する日本原子力研究開発機構が、新規制基準に適合させて再稼働するには安全対策に約432億円掛かるとの試算をまとめていたことが、21日分かった。
 高速増殖炉の新規制基準はまだ示されておらず、既に新基準が導入されている一般の商用原発(軽水炉)の状況を基に推計した。