2016年5月31日火曜日

原発事故で工場が操業停止 東電に賠償命令

 農薬製造販売会社「アグロカネショウ」福島原発事故で操業できなくなった損害の賠償を求めた訴訟で、30日、東京地裁は、「東京電力の計算方法は利益を過剰に減らしていて、妥当ではない」として、東京電力の主張を退け1億4500万円余りを支払うよう命じました。
 東電の身勝手な賠償金査定が糾されたのは喜ばしいことですが、費用も時間も掛かる裁判に拠らないと達成されないのは困ったことです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発事故で工場が操業停止 東電に賠償命令
NHK NEWS WEB 2016年5月30日
原発事故で福島県にある主力の工場が操業できなくなったとして、農薬の製造販売会社が賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は、東京電力に対して1億4500万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。
 
東京・港区に本社がある農薬の製造販売会社、「アグロカネショウ」は、福島県大熊町にある主力の工場が福島第一原発の事故で避難区域に指定され操業できなくなり、東京電力に賠償を求めましたが、提示された額が不十分だとして裁判を起こしました。会社側が、他社に委託して出荷を再開するまでの間に失った利益を賠償するよう求めたのに対して、東京電力は賠償の額を争いました。
30日の判決で東京地方裁判所の中吉徹郎裁判長は、「東京電力の計算方法は利益を過剰に減らしていて、妥当ではない」として、東京電力の主張を退け1億4500万円余りを支払うよう命じました。
「アグロカネショウ」の櫛引博敬社長は、「事故の影響は大きく、社員たちの想像を絶するような努力で会社をつなぐことができました。裁判所には感謝しています」と話していました。一方、東京電力は、「判決の内容を確認したうえで真摯(しんし)に対応してまいります」とコメントしています。

東電、福島第1炉心溶融の公表遅れは「隠蔽」 原子力トップ見解

日経新聞 2016年5月30日 
 東京電力福島第1原子力発電所事故発生時に炉心溶融(メルトダウン)の公表が2カ月遅れた問題で、同社の姉川尚史原子力・立地本部長は30日の記者会見で「溶融という言葉を使わないことで(国民に)迷惑をかけているのであれば、隠蔽だと思う」と述べた。この問題で原子力部門のトップが会見で見解を明らかにしたのは初めて。
 
 姉川氏は2011年3月の事故後に1号機で起きた炉心溶融の割合を示しながら「55%や70%炉心損傷していた状態で注水できていない状況を考えれば、常識的な技術者であれば炉心溶融と分かる」と話した。炉心溶融を早期に公表しなかった経緯は第三者検証委員会が調査中。姉川氏は、近く結果がまとまるとの見通しも示した
 
 東電は今年2月、炉心溶融の判定基準を記したマニュアルが社内にあったのにもかかわらず見過ごした結果、公表が遅れたと発表した。基準では炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判断するとしており、これに従っていれば事故から3日後に判断できたという。

<原発事故>賠償請求断念 節目の給付

河北新報 2016年5月29日  
 東京電力福島第1原発事故による避難区域との賠償格差解消を訴えてきた福島県広野町が7月、町の貯金に当たる財政調整基金を取り崩し、約5100人の全町民に現金10万円を給付する。県の交付金を活用した地域振興券10万円分を合わせると支給額は20万円。異例の施策の背景には原発事故後、町に生じた特殊な環境と事情がある。(いわき支局・古田耕一)
 
<「全力を尽くした」>
 「時間軸を前に戻し、賠償を実現するのは不可能との結論に達した」。関連予算を提案した5月12日の町議会臨時会で、遠藤智町長は無念の表情を見せた。避難区域並みの精神的損害賠償(慰謝料)の請求を断念するとの表明だった。
 遠藤町長は初当選した2013年の町長選で「徹底した賠償の実現」を公約に掲げた。政治的責任を問う町議に「あらゆる要望活動を繰り返し、全力を尽くした」と説明。「今後は生活再建と格差是正を一体と捉え、国、県と新たな支援に取り組む」と強調した。
 賠償格差は広野町に重くのしかかり続けてきた。第1原発20キロ圏は目の前。事故後、町の判断で全住民が避難したが、慰謝料は12年8月で打ち切られた。
 比較されるのが、隣の楢葉町だ。国の避難指示が出され、15年9月に解除された。慰謝料は18年3月分まで、財物賠償も全損の75%が支払われる。広野町関係者は「関係が深く、環境にも差がない楢葉と、20キロの線で分断された」と話す。
 
<帰町者数は5割強>
 広野町は事故収束や廃炉、除染の前線基地となり、作業員宿舎が次々建った。今も3200人の作業員が住む。一方で環境の変化などから、帰町者は5割強の約2700人にとどまる。
 5月下旬の住民説明会でも、町民が「復興に貢献しながら、なぜ賠償にこれほど差が出るのか」「なぜ広野が犠牲にならないといけないのか」と、やりきれない思いを吐き出した。
 今回、広野町が現金を給付するのは、賠償請求の断念という方針転換に加え、本年度が帰還促進の節目と捉えたからだ。
 県は、避難区域外からの避難者に対する仮設住宅などの提供を来年3月で打ち切る。町は「10万円は今の財政状況で可能な最大限の町民支援。帰町の準備を進めてほしいとの思いも込めている」と説明する。
 
<川内村との差解消>
 現金10万円はもう一つの「格差是正」との指摘もある。同時に配布する10万円分の地域振興券は、県が旧緊急時避難準備区域を抱える4市町村に配分する交付金が原資。一律5億円で、対象者の少ない川内村は1人22万円分を配る。
 遠藤町長は「ばらまきは良くないと悩み続けたが、ぎりぎりの線と考え、苦渋の決断をした」と語る。
 町議会では「東電が払うべき金を税金で肩代わりするのは筋が通らない」との批判も出た。現金給付で5億4000万円を取り崩すため、財政調整基金は8億2000万円に減る。
 遠藤町長は「復興拠点という使命を受け止めてきた町民の思いは、報われなければならない」と力を込め、「古里での生活を取り戻せるよう、賠償に代わる支援策を引き続き国などに求める」と述べた。
 
[賠償格差]福島県広野町など福島第1原発から20~30キロ圏の多くは事故後、緊急時避難準備区域となった。2011年9月末の解除に伴い、1人月10万円の精神的損害賠償(慰謝料)は12年8月で終了。一方、20キロ圏など国の避難指示が出た地域は賠償が継続し、格差が拡大した。慰謝料は当初、解除後1年までを目安としたが、政府は15年、解除済みの地域も18年3月分まで支払うと方針転換。広野町との慰謝料の差は1人670万円に上り、格差感が増幅した。 

31- 1号機のがれき除去開始 福島第1原発

東京新聞 2016年5月30日
 東京電力は30日、福島第1原発事故で、水素爆発した1号機原子炉建屋上部に崩れ落ちた建屋天井部の大型がれき周辺にある細かながれきを除去する作業を始めたと発表した。
 
 東電によると、掃除機のような吸引装置を使い、1日当たり約1・5トンの細かながれきを約2カ月にわたって除去する。
 
 細かながれきの吸引は、来年度中の実施を目指す大型がれきを撤去するための準備作業。放射性物質を含むほこりが舞い上がらないよう飛散防止剤を散布し、9月中旬から建屋カバー側面のパネルを外す計画を進めている。
 東電は2020年度中のプールからの燃料取り出し開始を目指している。(共同)

2016年5月30日月曜日

JA羽茂、柏崎原発再稼働に反対の特別決議

 佐渡市JA羽茂は28日、通常総会を開き東電柏崎刈羽原発の再稼働に反対する特別決議を行いました。JAでは昨年のJA佐渡に続き2例目となります
 特別決議では「事故があれば佐渡の中心的産業である農林水産業は、風評被害も含め壊滅状態となる」と懸念を表明し「柏崎刈羽原発の再稼働に反対し、一致団結して運動を展開していく」としています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
JA羽茂、柏崎原発再稼働に反対 総会で特別決議を承認
新潟日報 2016年5月29日
 JA羽茂(佐渡市)は28日、市内で通常総会を開き、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に反対する特別決議を行った。同JAによると、県内のJAで柏崎刈羽原発の再稼働反対を表明したのは、昨年のJA佐渡に続き2例目。
 特別決議では「国と東京電力は、明確な事故原因の説明もないまま事故の収束を宣言し、再稼働を進めようとしている」と指摘。管内には原発から50キロ圏内の地域もあり、「事故があれば佐渡の中心的産業である農林水産業は、風評被害も含め壊滅状態となる」と懸念を表明した。その上で「柏崎刈羽原発の再稼働に反対し、一致団結して運動を展開していく」とした。
 
 通常総会には、組合員など約100人が出席。JA羽茂の佐々木隆常務理事が特別決議を行うことを提案し、拍手で承認された。
 総会終了後、佐々木常務理事は「農家の代表として、われわれが先頭に立って反対しなければならない」と決意を述べた。
 羽茂本郷の柿農家、平山貴之さん(36)は「佐渡のなかでも羽茂は原発から近く、事故が起きたとき不安だ。できれば原発はなくしていきたい」と話した。

将来像の工程表決定 原発事故避難区域設定12市町村

福島民報 2016年5月29日
 東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定された12市町村の将来像に関する有識者検討会は28日、福島市の杉妻会館で開かれ、平成32(2020)年までの工程表を決定した。
 検討会では将来像検討フォローアップ会議が策定した工程表が示された。委員からハード面に加え、教育と人材育成に力を入れる必要性や福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の推進などに意見が出た。事業の進捗(しんちょく)状況を管理する方針を確認した。
 閉会後、高木毅復興相は「個別の事業を具体化、実現するのが大切。予算確保を含めてしっかり取り組む」と財源確保に努める姿勢を強調。内堀雅雄知事は「これからがスタートだ。政府への予算要望に力を尽くす」と意欲を示した。
 工程表は「復興・創生期間」最終年で東京五輪を迎える32年を目標に産業再生や人材育成、まちづくりなど各種施策の進め方を時系列で記した

30- もんじゅの運転禁止解除を 原子力機構、規制委に再提出へ

中日新聞 2016年5月29日
 日本原子力研究開発機構(原子力機構)は二十八日、事実上の運転禁止命令を受けている高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)について、命令解除に向けた報告書を六月にも原子力規制委員会に再提出する考えを明らかにした。
 
 もんじゅを巡っては、大量の点検漏れが発覚し、二〇一三年五月に規制委から運転再開の準備を禁じる命令を受けた。機構は機器点検の内容や頻度などをまとめた保全計画を見直すなどし、報告書を一四年十二月に提出したが、その後に保安規定違反が続出。計画を再び改め、報告書も全面的に改訂することにした。
 敦賀市であった機構のもんじゅ安全・改革検証委員会で、機構は最重要とされる約九千点の機器の保全計画見直しを終えたことを報告した。
 児玉敏雄理事長は委員会後、報道陣に、報告書を「できるだけ早く出したい」と六月に出す方針を示した。残りの機器の保全計画については一六年度内に改善を終えるという。(古根村進然

2016年5月29日日曜日

原発は老朽化に耐えられるか? 

 28日付の週刊女性プライムに、「原発は老朽化に耐えられるか?」と題した記事が掲載され、3人の専門家の話が紹介されました。
 
 『環境エネルギー政策研究所』の飯田哲也所長によれば、世界の原発の平均寿命は23年なのに、日本は40年を一応の限度とするものの特例として20年延長できるとされています。
 原子炉(圧力容器)も原子炉格納容器も交換は勿論、補強することも基本的にできません。従って配管やサポートなどの関連機器を補強するだけで本当に60年も使用できるのかという問題になります。
 
 元『日本原研開発機構』の田辺文也さんによる、「福島原発2号機の格納容器は地震の揺れかまたは劣化後に何らかの負荷がかかっ破損した可能性が高く、そう考えれば容器内の圧力が上昇しなかったことが良く説明できる」ということです。
 それなのに東電などがそのことを頑なに否定しているのは、「地震で壊れたことになると原発の安全性が根本から問われるからである」と述べています。
 
 老朽原発研究の第一人者井野博満東大誉教授は、「原子炉核分裂に伴中性子線を浴びて中性子照射脆化が起きる脆化の程度は脆性遷移温度で評価され、40年運転した関電高浜原発1号機は、99℃にまで上昇した
 そうすると地震など緊急停止した時には急に冷たい水が注入されるので、そこまで水温が下がったときに圧力容器に亀裂が生じやすくなと述べています。
 
 上記の記事は残念ながらコピーができない(転載禁止)ため、以下に要旨を紹介します。記事の本文は記載のURLにアクセスしてご覧ください。 http://www.jprime.jp/tv_net/nippon/27715
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
圧力容器が割れるリスクも 原発は老朽化に耐えられるか? (要旨抜粋)
週刊女性プライム 2016年05月28日
 〈週刊女性 2016年6月7日号〉
 熊本地震をきっかけに、国内で唯一、稼働中の九電 川内原発の停止を求める要請が相次いでいるが、原子力規制委の田中委員長は止める理由はないとして、稼働を継続している.
 NPO法人『環境エネルギー政策研究所』の飯田哲也所長は田中委員長を「科学者の風上にも置けない」として、「前震が起きた段階で予防的に止めたほうがよかった」と述べている。
 
■世界の原発は廃炉までの平均寿命が23年
 原発も他の設備と同様に老朽化する。川内原発1号機は1984年フ月、2号機は1985年11月運転開始から30年以上が経過している飯田氏は世界の原発は、廃炉までの平均寿命が23年で、運転開始から30年以上たつ原発は高齢の域に入っているので警戒したほうがいいと述べている。
 
■わずか2、3年の使用で微細な亀裂が1万6000か所
 米カリフォルニア州サンオノフレ原発では三菱重工が納めた蒸気発生器の伝熱管に欠陥があり、水漏れ事故を起こした交換後わずか2、3年の使用にもかかわらず微細な亀裂が1万6000か所も見つかった。その蒸気発生器と同じものが川内原発にも使われていて危険である。(飯田氏)
 
■福島原発2号機は地震で壊れていた!?
 福島第一原発も、40年目を迎える老朽原発のひとつで、″想定外″の津波ですべての電源を失い、原子炉を冷やせなくなったことが大事故につながったと言われているが、これに対する『日本原研開発機構』の田辺文也さんによる″疑惑″の提起は衝撃だ。
福島原発2号機の格納容器は地震の揺れで壊れたか、あるいは劣化してその後の何らかの負荷がかかったことにより破損した可能性が高い」
 津波で電源が失われたあとも2号機では原子炉隔離時冷却系という装置を用いて原子炉を冷やし続けていたが、原子炉の熱により蒸気が発生するのに対して、
 「圧力抑制プールを冷やす機能は津波で失われていたから、水温がどんどん高くなるにつれ、格納容器の圧力がどんどん高まっていくはず。ところが、想定される圧力の上昇よりずっと低い。それは格納容器に穴が開いていたためとすれば、簡単に説明でき
 314日の夜福島第一原発の正門で毎時3000μシーベルトという高い放射線量が観測されたが、
 「2号機の格納容器に穴が開いていなければ、これだけ高い値が出ることは考えられない」
 
■科学的とはいえない論理で激しく否定
 これに対し、東電などは「地震で早期に穴が開いた可能性を、科学的論理で激しく否定」したため、現在に至るまできちんと検証がなされていない。
 「電力会社や保安院が認めたがらないのは、地震で壊れたとなると、これまで行ってきた、地震による影響についての評価の信頼性が危うくなるから「こうした疑惑を検証することなく再稼働を進めるのは無責任、と田辺さんは厳しく批判する。
 
■圧力容器が割れる老朽原発のリスク
「原発いちばんの問題は、原子炉の炉心から飛び出した中性子線が圧力容器が脆化、つまり劣化させること」
 東京大学の井野博満名誉教授(金属材料学)老朽原発研究の第一人者で、その危険性を警告し続けてきた。
 原子炉内で起きた核分裂に伴い中性子線が発生、それが原子炉=圧力容器の内側に当たってダメージを与え『中性子照射脆化』が起きる
「老朽原発では中性子線が金属を硬くさせる現象が起こり硬くなった金属は弾力が失われて変形できないため、ちょっとしたひび割れでもあればそこからパリンと割れてしま(井野教授)
 また金属は、劣化が進むと『脆性遷移温度』が上昇し、その温度を境に割れやすくなる脆性遷移温度は新品の金属ではマイナス数十度だが、中性子線照射によって時間がたつにつれ徐々に上がっていく
 「運転開始から40年がたつ関西電力高浜原発(福井県)の1号機は、この温度が99℃にまで上昇した。地震などの緊急時には、緊急炉心冷却をして圧力容器を冷やさねばならないが、急に冷たい水が注入されそこまで水温が下がっ)たときに圧力容器に亀裂が生じやすくな
 
■“40年で廃炉″のルールには抜け穴が
 高浜原発1、2号機は原子力規制員会に再稼働を申請、″40年で廃炉″のルールがあるにもかかわらず今年4月20日に「合格」してしまった。
 「40年ルールには抜け穴があ。1回限り、運転を20年延長できるという″特例″が設けられているから」(井野さん)
 古い自動車を運転して怪我をしたり、人を傷つけたりする恐れがあると、保険代が高くつくことでブレーキがかかる。安全な車に買い替えようか、そもそも車をやめようか。そういう発想になるのが一般的。
 ところが、原発に関して電力会社の考えは異なるようだ。前出の飯田さんは言う。
 「例外がむしろ本則になるような形で、次から次に40年超えの原発も延長を図ろうとしている。それが日本の現状」

29- 福島原発 トリチウム汚染水 海洋放出が最も安い と

 福島原発のトリチウム汚染水問題で、資源エネルギー庁専門家会合は27日、薄めて海に放出するのが最も期間が短く、費用も最も安いなどとする報告書案をまとめました。
 何もしないで海に放流するのがもっとも安く簡単なのは当たり前のことですが、放射性物質を希釈=拡散してはならないとする国際的な原則に明らかに反するものです
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
海洋放出「最短最安」 福島第1、トリチウム汚染水 エネ庁
時事通信 2016年5月27日
 東京電力福島第1原発の放射能汚染水問題で、経済産業省資源エネルギー庁の専門家会合は27日、放射性物質濃度を下げた後も高濃度で残るトリチウムを含む水の処分方法について、薄めて海に放出するのが最も期間が短く、費用も最も安いなどとする報告書案をまとめた。エネ庁は細部を修正して正式な報告書をホームページで公開し、今後の議論の土台とする。
 報告書案は地層注入や水蒸気放出などの方法も技術的に評価したが、海洋放出が選択肢として有力となる見通し。一方、地元漁協などはこれまで、海洋放出を認めない考えを示している。

2016年5月28日土曜日

新潟県 福島の原発避難者に転居費や家賃補助などの支援 

 新潟県は26日、福島から県内への自主避難者に対して、県営や市営住宅への移転費を最大5万円、民間住宅に居住する人には家賃を一律1万円支援することを決めました。
 
 自主避難者には、17年3月に住宅の無償提供が打ち切られ、その後は1年間月額3万円を福島県が補助するので、新潟県の支援分がそれに加算されることになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
新潟県 福島の原発避難者に支援策 転居費や家賃補助など  
新潟日報 2016年5月27日
 新潟県は26日、東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う県内への自主避難者の支援策を発表した。公営住宅への転居費用などを補助する。福島県は県内外への自主避難者を対象にした借り上げ住宅の無償提供を原則2017年3月で打ち切る方針。無償提供終了後も新潟県で生活ができるよう避難者を支援する。
 
 県営や市営住宅に移転する世帯に対して5万円を上限に転居費を補助する。子どもの学区変更を伴うため公営住宅への移転ができない世帯については、民間住宅の家賃を一律1万円補助する。福島県は無償となる住宅支援策の代わりに17年1月から18年3月にかけて、月額3万円を上限に家賃を補助する予定。新潟県の補助と合わせて計4万円の支援が受けられることになる。
 
 新潟県は関連予算を県議会6月定例会に提案する。県によると、県内には4月末時点で福島県からの自主避難者が1973人いるといい、今回の支援対象は489世帯1352人に上る。

安全協定合意へ最終調整 浜岡原発31キロ圏内市町

 中電浜岡原発から半径31キロ圏内(UPZ)にある7市町と静岡県は、7月上旬に静岡市内首長会議を開催し、中電との最終的な協定案を取りまとめる方向で調整するということです
 7市町は、「実質的に事前了解が担保されている県・地元4市協定に準じた安全体制を確保することを目指しています。
 
 またそれとは別に、31キロ圏内の牧之原市が26日に公表した2016年度市民意識調査結果によると、浜岡原発の今後について「停止しておいた方がいい」との回答が、調査開始以来初めて過半数を割り込474%(前年より51ポイント減)となりました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安全協定合意へ最終調整 浜岡原発31キロ圏内
静岡新聞 2016年5月27日
 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)からおおむね半径31キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)にある7市町(磐田、袋井、島田、藤枝、焼津市、森、吉田町)と県は、中電と締結を目指す安全協定に関する首長会議を近く開催し、最終的な協定案を取りまとめる方向で調整に入った。26日までの関係者への取材で分かった。
 
 会議は7月上旬に静岡市内での開催を予定し、中電幹部も出席する見込み。7市町は大筋合意までこぎ着けたい意向で、その後に通報措置要領などを決めて正式な協定書調印を行う見通し。
 関係者によると、7市町は、県と地元4市(御前崎、掛川、牧之原、菊川)が結んでいる安全協定を基に、原子炉施設の設置や変更を行う際の「事前了解」規定で「実質的に事前了解が担保されている県・4市協定に準じた安全体制を確保できる」という文言で最終調整している
 3月末に島田市で開かれた担当者会議で示された案では、4市が行う浜岡原発への「立ち入り調査」への同行や中電に対する「措置の要求に係る通報」を通じた事前協議により、4市に準じた安全体制を確保できると明記した。
 地元4市は協定書に付随する解釈書で、事前了解の担保について記述している。7市町も同様に解釈書で明記する見通し。7市町は安全協定の内容を2014年から検討してきたが、事前了解に関する規定がまとまらず、合意が先送りされていた。
 
 
「浜岡停止を」47% 牧之原市市民調査、初の過半数割れ
静岡新聞 2016年5月27日
 牧之原市が26日に公表した2016年度市民意識調査結果(速報値)によると、政府の要請で全炉停止中の中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の今後について「停止しておいた方がいい」との回答が調査開始以来初めて、過半数を割り込んだ。
 一方で「どちらとも言えない」との回答は年々増加傾向にあり、市は「判断に迷っている人が増えているのでは」と推測している。
 調査は毎年行い、16年度は4月下旬~5月中旬に実施した。無作為で抽出した16歳以上の市民1400人に調査票を郵送し、811人から回答を得た(有効回収率58%)。東日本大震災を受け、11年度からは「浜岡原発の今後についてどう思うか」とも尋ねている。
 その結果、16年度は浜岡原発を「停止しておいた方がいい」は47・4%(前年比5・1ポイント減)、「安全が確認できれば稼働」が23・4%(同3・2ポイント増)だった。11~15年度は「停止」がいずれも50%を超えていた。他方で「どちらとも言えない」は11年度に10・7%だったが、16年度は18・3%を占めた。
 市は、東京電力福島第1原発事故から5年が経過したことによる風化や中電がテレビCMを流していることに触れ「市民の意識が変わってきているのかもしれない」とした。
 牧之原市議会は11年に浜岡原発の「永久停止を求める決議」を可決。西原茂樹市長も永久停止を求めている。

28- もんじゅ、機構から分離へ 電力会社に人的支援要請

東京新聞 2016年5月27日
 高速増殖炉もんじゅ(福井県)の新たな運営主体について、文部科学省が現行の日本原子力研究開発機構からもんじゅの関係部門を分離し、新法人を設立する方向で検討していることが26日、同省への取材で分かった。電力会社や原発関連メーカーに人的支援を要請、新法人に経験者を加え、課題である保守管理の強化を図る。原子力機構の現地職員は引き続き雇用し、取り扱いが難しいナトリウムの扱いなどのノウハウを引き継ぐ。
 
 新法人はこれまで通り国の研究拠点として国費で運営し、もんじゅの受け皿となることに否定的な電力会社などから支援を引き出す狙い。(共同)

2016年5月27日金曜日

原発専業の日本原電 販売ゼロでも黒字確保

 原発以外の発電所を持たない日本原子力発電は、2015度も電力の販売はゼロでしたが、63億円の経常を出しました。これは大手電力が原発の維持費として「基本料金」の支払いを継続した結果です。そして大手電力が基本料金を支払えたのは、電気料の中にもともとその分が含まれていたからです。
 東電が昨年9月の中間決算において史上空前の経常利益3650億円が計上できたのも、要するに電気料金が高く設定されていたからに他なりません。 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本原電、販売ゼロでも黒字確保 原発専業、電力会社維持費支払い
東京新聞 2016年5月25日
 原発専業の日本原子力発電(東京)が25日発表した2016年3月期連結決算は、経常損益が63億円の黒字となった。前期は69億円の黒字だった。保有する原発がすべて停止し、販売電力量は4年連続でゼロだった。大手電力が原発の維持費として「基本料金」の支払いを継続した結果、黒字の確保につながった。
 
 売上高は前期比13・5%減の1149億円。このうち基本料金は1126億円を占めた。基本料金は原発の維持に必要な費用が減ったとして、前期より176億円減少した。
 
 東京都内で記者会見した村松衛社長は「安全を最優先に、効率化を徹底することでコストを減らした」と説明した。(共同)

福島県が東電に17億9000万円請求

 福島県は25日、風評被害対策や復興事業などに要した一般会計予算分の費用17億9158万円を賠償するよう東電に請求しました。請求額の累計は128億292万円になりました
 県が過去3回、東電に請求した約110億1000万円のうち、受取額は約39億8000万円にとどまっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<原発事故> 福島県が東電に17億9000万円請求
 河北新報 2016年5月26日
 東京電力福島第1原発事故で、福島県は25日、風評被害対策や復興事業などに要した一般会計予算分の費用17億9158万円を賠償するよう東電に請求した。一般会計分の賠償請求は2015年4月に続き4回目。請求額の累計は128億292万円になった。
 内訳は14年度分の14億5209万円と、11~13年度の追加分計3億3948万円。主な費用は、中間貯蔵施設対策室など事故対応で新設した部局の人件費13億2984万円、中小企業の移転再開に対する補助1億6850万円、肉牛の放射性物質全頭検査費用7295万円など。
 県が過去3回、東電に請求した約110億1000万円のうち、受取額は約39億8000万円にとどまる。県は4月、11年度分の請求額約63億円のうち、東電が支払いに応じない約4億1000万円の賠償を求め、原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介手続き(ADR)を初めて申し立てた。

27- 燕市 原発事故避難計画を策定 一部住民、分水北小へ

新潟日報 2016年5月25日
 燕市は24日、東京電力柏崎刈羽原発の重大事故に備えた避難計画を策定した。原発からおおむね5~30キロ圏の避難準備区域(UPZ)に住む387人が対象。屋内退避を基本とし、状況に応じて原発から30キロ以上離れた分水北小学校に避難する。
 燕市の策定により、県内の30キロ圏内の自治体すべてで避難計画がそろった。
 
 避難計画では、大河津分水路左岸地区の渡部、真木山、幕島、大川津興野、下中条をUPZに指定した。原発事故が発生した場合は屋内退避し、放射線量の測定結果に基づいて原発から31キロ離れた分水北小への避難を、市が指示する。避難には自家用車を使い、交通渋滞を避けるために乗り合いを呼び掛ける。自家用車で避難できない住民は、地区集会所に集合し、バスで避難する。
 
 また避難者支援として、長岡市の2万8535人を、弥彦村とともに市内の小中学校体育館などで受け入れる。
 
 燕市は2月に市議会議員協議会で避難計画案を説明し、4月に該当地域で住民説明会を実施。24日、官民の関係者らで構成する市防災会議で策定の了承を得た。

2016年5月26日木曜日

「核のごみは浜岡敷地内で処理すべき」 最終処分で川勝・静岡知事

 浜岡原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分について、静岡県の川勝平太知事は24日、「中部電力が出した核のごみは高レベル放射性廃棄物に至るまで、浜岡原発の敷地内で処理するべきだ」と記者会見で述べました。
 
 六ヶ所村での核燃料再処理は「実現可能性がかなり低くなった」としたうえで、そういうところに預けて放射能を飛散させるよりも、自分の敷地内での処理を考えるべきだとするもので、現状の主旨不明の再処理システムに依存することよりも、はるかに説得力がありまた実現可能性も高い主張です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「核のごみは浜岡敷地内で処理すべき」 最終処分で川勝・静岡知事
東京新聞 2016年5月25日
 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分について、静岡県の川勝平太知事は二十四日、「中部電力が出した核のごみは高レベル放射性廃棄物に至るまで、浜岡原発の敷地内で処理するべきだ」と記者会見で述べた。
 
 川勝知事は、青森県六ケ所村で計画されていた核燃料の再処理について「実現可能性がかなり低くなった」との見方を示した。放射性廃棄物を原発の敷地外に持ち出せば「放射能が飛散する可能性がある」として「出したごみを自分で処理するのは当たり前。中電は安全に処分する方法を考える必要がある」とした。
 
 国から最終処分場の「科学的有望地」として静岡県が選定された場合に受け入れるかどうかは明言せず、「国が最終処分場をここへ決めると言って、すぐに決まるものか。住民の意思を無視しては決められない」と話した。核のごみは、使用済み核燃料の再処理後に残る放射能レベルの高い液体。国は核のごみをガラスで固め、地下三百メートル超の地中に埋める「地層処分」にするとしており、今年中に地理的適性の高い「科学的有望地」を示すとしている。

原発事故避難、遺族再び勝訴 東電に計3000万円賠償命令 東京地裁

時事通信 2016年5月25日
 東京電力福島第1原発事故で避難中に死亡した双葉病院(福島県大熊町)の入院患者と系列の介護施設入所者の遺族が、東電に計6600万円の損害賠償を求めた2件の訴訟の判決で、東京地裁(水野有子裁判長)は25日、計約3000万円の支払いを命じた。
 入院患者ら50人以上が死亡したとされる双葉病院の遺族が東電に賠償を求めた訴訟の判決は3、4件目。水野裁判長は、4月に同地裁で別の裁判長が言い渡した2件の判決と同様、死亡慰謝料を1人につき2000万円と認定。その上で、持病などによる影響を認めて2~3割を減額した。
 遺族側弁護団は「施設入所者は入院患者よりも元気だったはずなのに、判決は慰謝料を一律としており残念だ」と話した。
 判決によると、男性入院患者=当時(97)=と女性入所者=同(86)=は、双葉病院を含む原発の半径10キロ圏内への避難指示が出てから2日後の2011年3月14日、自衛隊に救出されたが、バスで8~10時間、約230キロの移動を強いられ、15日ごろ死亡した。
 東京電力ホールディングスの話 判決内容を確認した上で、真摯(しんし)に対応する。