2016年6月29日水曜日

福島県大熊町に2つ目のメガソーラーの建設が決まる

 福島原発事故により町民の避難生活が続いている福島県の大熊町で、復興計画の一環としてメガソーラーの誘致を進めこのほど新たに出力約11.7MWの発電所の建設が決まりました
 売電収益の一部は復興事業費として活用されます
(註メガソーラー=1MW以上の発電能力を持つ太陽光発電設備 1MW=1000キロワット)
 
 この地域に復興支援用のメガソーラーが建設されるのはこれが2で、1カ所目は「大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所」で、既に2015年12月から1.89MW規模で稼働を開始しています。
 
 転載に当たり図や写真を省略しましたので、ご覧になりたい方は下記のURLにアクセスしてください。
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原発が立地する町にメガソーラー、売電収益を復興計画に生かす
スマートジャパン 2016年6月28日
 東日本大震災による原発事故により、町民の避難生活が続いている福島県の大熊町。同町では復興計画の一環としてメガソーラーの誘致を進めている。このほど新たに出力約11.7MWの発電所の建設が決まった。売電収益の一部は復興事業費として活用される。再生可能エネルギーの導入拡大とともに、復興計画を推し進めるプロジェクトが着々と進んでいる。[陰山遼将]
 
 「福島第一原子力発電所」が位置する福島県の大熊町。2011年3月に起きた原発事故で全町避難を余儀なくされ、現在も多くの町民の避難生活が続いている。同町は2015年3月に今後10年間の取り組み目標を定めた「第二次復興計画」を策定し、復興に向けた取り組みを進めているところだ。
 
 現在も大熊町の多くのエリアが帰宅困難区域に指定されている。こうした状況の中、大熊町では放射線量が比較的低い中央南部の「居住制限区域」内にある大河原地区を、復興の中心拠点と位置付け開発を進めている(図1 省略)。
 
 具体的には大河原地区に産業集積エリアや防災拠点、復興公営住宅の整備を計画している他、太陽光発電所や植物工場などの誘致を進めている。こうした取り組みを進める中で、2016年6月23日に約16万平方メートルの土地を活用した「大熊エネルギー・メガソーラー発電所」の建設が決まった。
 
 同発電所は大熊町、NTTファシリティーズ、北芝電機、大熊町、福島発電が設立した合弁会社の大熊エネルギーが事業運営を行う。事業地は個人地権者が保有する土地を賃借した。合計出力は約11.7MW(メガワット)で、年間の発電量は一般家庭3500世帯分に相当する1万2700MWh(メガワット時)を見込んでいる。発電の開始時期は2017年7月1日を予定している。
 
売電収益を復興に生かす、同地区で2カ所目の発電所に
 大熊エネルギー・メガソーラー発電所は福島県の「福島県再エネ復興支援事業」による補助金を活用して建設した。これは発電事業の収益の一部を復興支援事業に活用することを目的に、避難解除区域などに再生可能エネルギーによる発電設備の導入する際の費用を支援するものである。発電所の完成後は、収益の一部が福島県再生可能エネルギー復興推進協議会を通じて、避難解除区域などの12市町村における復興支援事業費として活用される。
 
 大河原地区に復興支援に活用するメガソーラーが建設されるのは、これが2カ所目になる。1カ所目は福島発電が運営する「大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所」で、既に2015年12月から稼働を開始している(図3 省略)。
 
 大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所は約3.2ヘクタールの農地を転用して開発した。約7700枚の太陽光パネルを設置し、出力は1.89MW、年間約2200MWhの発電量を見込んでいる。一般家庭約600世帯分の使用量に相当する発電量だ。事業期間は20年間を想定しており、その後は農地に戻す計画である。
 
 同発電所の売電収益の一部は大熊町が大川原地区に建設予定の植物工場の運営費として活用される。福島県は2040年までに再生可能エネルギーの使用率100%という目標を掲げている。こうした福島県の目標達成に貢献すると同時に、地域の復興計画も推し進めるプロジェクトが着々と進んでいる。