2016年8月13日土曜日

伊方原発3号機が再稼働 避難問題は未解決のまま

 四国電力が12日、伊方原発3号機の運転を再開しました。9月上旬には営業運転に入る見通しです。
 伊方原発の近くには、国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」が横たわり、巨大地震の恐れがあるのに、佐田岬半島(伊方原発は半島の付け根にある)の住民たちの原発事故時の避難方法は未解決・問題山積のままです。
 
 電力に不足はなく、事故を起こす恐れが決してゼロでないままで強引に再稼働するのは、ひたすら四国電力の利益追求(250億円程度の収支改善)のためです。
 
 伊方原発の再稼働を前に、愛媛県内外の8人でつくる「瀬戸内海を守ろう会」11日、伊方町民を対象にした原発への意識調査結果を発表しました。
 それによると、再稼働に反対は55、賛成の24%を上回り、賛成住民でも67%は大地震発生時の原発には不安を感じているとしています。 
 
 時事通信は、避難計画の実効性への疑問、佐多岬半島在住の約5千人が事故時に孤立する惧れなどについて取り上げました
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伊方原発3号機が再稼働、愛媛 四国電力、新規制基準5基目
東京新聞 2016年8月12日
 四国電力は12日午前、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を再稼働させた。原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発では九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、関西電力高浜3、4号機(福井県)に次ぎ5基目。事故時の避難計画の実効性や地震への懸念が全国的に根強いが、川内1号機の再稼働から1年たち、政府は原発活用を加速させたい考えだ。
 今後作業が順調に進めば、13日に核分裂反応が安定的に持続する臨界に達し、15日に発電と送電を始める。営業運転は9月上旬の見込み。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電を行う国内唯一の原発となる。(共同)
 
 
町民反対55% 伊方原発再稼働
愛媛新聞 2016年8月12日  
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働を前に、県内外の8人でつくる「瀬戸内海を守ろう会」は11日、伊方町民を対象にした原発への意識調査結果を発表した。再稼働に反対は55%で、賛成の24%を上回り、賛成住民でも67%は大地震発生時の原発には不安を感じているとしている。 
 調査は、7月11日~8月10日に県内外のボランティアが戸別訪問し、伊方町民294人から回答を得た。 
 大地震発生時の伊方原発には「とても不安」が全体の56%で、「少し不安」は29%、「大丈夫だと思う」は10%。再稼働に賛成の住民は「少し不安」が42%で「とても不安」は25%。「大丈夫だと思う」は31%だった。再稼働反対の住民は「とても不安」が73%を占め、「事故が起きれば逃げ場がなく、避難計画に不安がある」などの意見があった。 
 
 
避難計画、実効性に疑問 半島5千人、孤立の恐れ
道路寸断、海路荒天で・伊方町
時事通信 2016年8月12日
 瀬戸内海に突き出た愛媛県・佐田岬半島。長さが約40キロあり、「日本一細長い」とされる半島の付け根に、四国電力伊方原発は位置する。重大事故が起き、大量に放出された放射性物質で付け根に「ふた」がされる形になった場合、半島に住む約5000人は孤立する恐れがある道路が寸断されたらどうするのか、荒れた海を船で逃れることはできるのか。避難計画の実効性に疑問を残し、原発は動きだした。
 
◇国道は片側1車線
 県の避難計画によると、伊方町の住民約1万人は原則として、自家用車や県が手配したバスで避難する。半島を貫く国道197号を通り、渋滞を緩和するため途中から複数のルートに分散。原発の半径30キロ圏を抜け出し、松山市の西隣にある松前町に避難する計画だ。
 197号は半島の山あいを通る片側1車線の道路。「本当に大丈夫か」。伊方町中浦の漁師矢野善平さん(67)は「土砂災害で道が寸断したら大変だ」と不安を抱く。
 県砂防課によると、伊方町には豪雨や地震で土砂災害を起こす恐れがある警戒区域が計206カ所あり、うち15カ所は197号が通っている。矢野さんは「伊方町は危ない所が多い。放射性物質が漏れる前に逃げられるだろうか」と疑う。
 
◇港へ細い道
 土砂崩れで道路がふさがった場合、計画では半島先端の三崎港などから船で避難する。住民は県内から集まったフェリーや海上自衛隊の艦船などに乗り、県内のほか海を挟んだ大分県や山口県に逃れる。ヘリコプターの活用も想定している。
 ただ、三崎地区で日用品店を営む池田豊美さん(71)は「いろんなハードルがある」と懸念する。
 船で逃げるには、多くの人を港に集める必要がある。だが、中には半島最先端の正野地区のように、細くて狭い県道をたどって三崎港へ向かう所もある。
 池田さんは「港までの道は寸断していないか。乗り物の手配はできるのか。時間帯や天気に関係なく、しっかりできるか疑問だ」と力説する。
 地元フェリー会社によると、冬の三崎港は北西の風の影響で時々、高波が発生する。船が出せないこともあるという。地元で暮らしてきた池田さんは「海の避難は不安。同じ地区の人も表立って言わないだけで、みんな思っている」と打ち明けた。