2016年8月27日土曜日

福祉施設から不備指摘 原発事故広域避難計画

 福井県は25日、社会福祉施設を対象に原発事故時の避難説明会を開きました
 避難する施設と受け入れ先の施設の担当者が初めて顔を合わせ、意見を交わしました。その中で、広域避難計画の不備を様々に指摘する声上がりました。
 こうした会合を重ねて実効性のある避難計画にする必要があります。 
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福祉施設から不備指摘 原発事故広域避難計画
中日新聞  2016年8月26日
 (福井)県は二十五日、福井市の県生活学習館で、社会福祉施設を対象に原発事故時の避難説明会を開いた。避難する施設と受け入れ先の施設の担当者が初めて顔を合わせ、意見を交わした。広域避難計画の不備を指摘する声も上がり、二十七日の訓練を前に課題も浮かび上がった。
 
 「(指定された)受け入れ先の設備を見ると、避難するのは困難。計画自体に問題がある」。県の説明に続く質疑応答で、出席した男性が厳しい口調で問いただした。受け入れ先は施設の形態が違い、十分なケアができないとの指摘に対し、県の担当者は「別の避難先も検討する必要がある」と、組み合わせの見直しを示唆した。
 
 県によると、事故時に避難が必要となる各原発から三十キロ圏内の施設は嶺南を中心に九十七カ所。入所者は四千三百人に上る。県は二〇一四年三月、受け入れ先として二百七十一カ所を指定した。
 
 意見交換では、ほかにも問題が浮上した。越前市の施設の担当者は、移送手段がワゴン車しかなく、入所者全員を避難先となる福井市の特別養護老人ホーム(特養)に運ぶには二十往復しなければならないことを明かした。
 
 これに対し、受け入れ側の特養の生活相談員佐々木理孝さんは「できる限りの手伝いはしたいが、勝手なことをすると命にかかわる」と悩みを打ち明けた。佐々木さんは今回の顔合わせに意義を見出した上で「計画は具体性に欠ける。これから話す中で課題は浮き彫りになってくる」と話した。
 
 説明会は、関西電力高浜原発(高浜町)での事故を想定した二十七日の広域避難訓練を視野に実施。今回は福井市や越前市、敦賀市などから百四十四施設が出席した。(高橋雅人)