2016年9月15日木曜日

原発が全停止中も炭素排出量は増加せず 日本

 関電 大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁の樋口判決2014年5月21、 「被告の電力会社は、原発稼働がCO2(二酸化炭素)排出削減に資すると主張するが、福島原発事故はわが国始まって以来最大の環境汚染であり、原発の運転継続の根拠とすることは甚だしく筋違いである」と述べました。これに反論できる人はいない筈です。
 
 それは兎も角、米国エネルギー省エネルギー部(EIA)がこのほど発表した調査結果によると、日本は福島原発事故以後、2年近くにわたってすべての原発を稼働停止させましたが、節電や再生可能エネルギーの増加などにより二酸化炭素排出量は増加しませんでした。
 
 EIAが原発による二酸化炭素発生量をどのように算定したかの明記はありませんが、文章の趣旨から「ゼロ」としているものと思われます。日本の原子力ムラもこれまで原発(原子炉)は二酸化炭素を発生させないと主張してきました。
 しかし二酸化炭素を発生させないというのは発電の過程に限定した場合の話で、ウランの採掘から核燃料に仕上げるまでの過程では莫大なエネルギー(二酸化炭素発生を伴う)を消費するうえに、使用済み核燃料を長期間水で冷やす過程では地球を暖めます(冷却水が暖められる)。そののち数万年間地中埋設する過程でも計算できないほど莫大なエネルギーを消費する筈です。
 
 より決定的な問題として、原発の熱効率は火力の半分程度なので、原子炉で発生する熱量の2/3は海水冷却水を暖める=地球を温暖化させるために使われます(火力発電の倍量)。
 
 また、そもそも二酸化炭素が地球温暖化ガスであるというのは単なる仮説にすぎず、武田邦彦氏などはそれを否定しています。同氏は、日本はいま特異的に夏場暑くなることが続いていますが、地球全体としては氷河期に向かっているとしています。
 いずれにしても「原発はクリーンエネルギーだから・・・云々」とか、「地球を温暖化させない」というような愚かな主張は止めるべきです。
 
 「原発が全停止した日本、しかし炭素排出量は増加せず 」とした 米政府EIAの調査結果を紹介します。
 なお、グラフは省略しましたので、原文を参照してください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発が全停止した日本、しかし炭素排出量は増加せず  米政府の調査結果
WIRED JP 2016年9月14日
日本は福島原発事故以後、2年近くにわたってすべての原発を稼働停止させたが、節電などの効果により炭素排出量は増加しなかった、という調査結果を米国エネルギー省が発表した。
 
福島第一原子力発電所でのメルトダウン発生後、日本ではすべての原発の稼働が順次停止された。ほかの原発を検査し、より厳格な安全基準を設定するためだ。2015年8月から一部の原発が稼働を再開したが、日本はそれまで、2013年9月以来、2年近くにわたってすべての原発を稼働停止させていた。
日本が事故前までその電気の4分の1以上を原子力に依存してきたことを考えれば、原発をすべて停止したことで炭素放出量は劇的に増加したと予想されるだろう。しかし、そうはならなかった。
米国エネルギー省エネルギー部(EIA)がこのほど発表した調査結果によると、日本では石炭の使用量は増加したものの、その増加率は10パーセントを超えていない。徹底した節電により、日本の電気の総使用量は、それまでの水準を下回った。
 
上のグラフ添付省略を見ると、福島原発で事故が発生する前から、原子力は日本の電源構成において減少傾向にあり、一部が天然ガスや石油で置き換えられつつあったことがわかる。グラフによると、その傾向はその後もずっと続いている。
原発事故後の節電努力により、日本の電気使用量はペタワット(1千兆ワット)時を下回った。さらなる努力によって、電気使用量の減少傾向は現在も続いている。
 
石油使用量は増加しているが、予想されたほどではない。石炭の使用量の増加は8パーセント、液化天然ガスは9パーセントだ。これらによって、原発事故前に始まっていた「石油使用量の拡大」は減速された(なお、EIAの資料は、2011〜14年の間に液化天然ガスの価格は37パーセント、石炭の価格は19パーセント下がったにもかかわらず、日本の電気料金は2パーセントしか下がっていないとも指摘している)。
 
水力発電を除いた再生可能エネルギーによる発電は、事故時と比べて2倍以上に増えている。水力発電所と合わせると、その発電量は石油を超えている
これらすべてが最終的に示すのは、炭素排出量にそれほどの変化はなく、日本の排出量が最大となった2007年を超えてはいないということだ。今後各原発が稼働を再開したら、日本の排出量は大幅に減少し始めると考えられるため(原発と排出量の関係には異論もある)、再生可能エネルギーの拡大と全体的な節電が今後も続けば、日本の排出量の減少は加速するに違いない。
これは必須事項でもある。日本はその炭素排出量を、最近のピークである2013年のレヴェルから、2030年までに大幅に(26パーセント)減らすことを約束しているからだ。