2016年10月1日土曜日

遠隔転移・再発まで認められた甲状腺癌がなぜ放射線起因でないのか

 福島原発事故当時18歳以下であった福島県の子どもたちの中から172人という膨大な甲状腺がん患者が発生したにもかかわらず、福島県や国は多数に及んだのは「スクリーニング効果によるもの」であって「放射線との関係は認められない」という態度を貫いています。
 しかし、26日、27日に開かれた原発事故の健康影響を検証する福島国際専門家会議では、がん患者の22%が頸の周りのリンパ節に転移し、2・3%が肺に転移したことが発表されました。
 
 元東電原子力技術者で現在は医師の人が、ブログ:「院長の独り言」で「小児甲状腺癌、しかも乳頭癌が増加し、通常は見られない早期発見例での遠隔転移がみられているとなれば、被曝を疑わない方がどうかしている」と断言しました。
 以下に紹介します。 
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遠隔転移、再発まで認められたフクシマ小児甲状腺癌は、「健診のやりすぎ」
院長の独り言 2016年09月29日
・原発事故当初から心配されていた小児甲状腺癌が予想通り激増し、一部にリンパ節転移、肺などへの遠隔転移、さらには再発まで見られることが報告された
・同じシンポジウムで、「福島ではスクリーニング(集団検診)により甲状腺がんが見つかっている」と指摘と主張するイギリス人専門家もいる
見られている様相はチェルノブイリと全く同じであり、福島県に限らず、近隣各県にまで健診を広げる必要があることが強く示唆された。
 
 福島小児甲状腺癌の状況について、福島医科大学の鈴木眞一教授が驚くべき現況を報告した(NHKより。既に削除済み)
甲状腺がん 手術後の再発数%
 
原発事故の後、福島県が行っている、子どもの甲状腺の状態を調べる検査で、がんと診断された子どもの手術を行っている医師が、手術後に再発したケースが数%あることを初めて明らかにしました。
これは、福島市で26日から開かれている甲状腺がんに関する国際シンポジウムで、県立医科大学の鈴木眞一教授が明らかにしました。
福島県では原発事故当時、18歳以下だったおよそ38万人を対象に甲状腺の状態を調べる検査を行っていますが、シンポジウムで鈴木教授は、県の検査でがんと診断され、平成24年8月からことし3月までに県立医大で手術を受けた125人の詳しい状態や手術の方法などを発表しました。
それによりますと、状態としては、全体の224%にあたる28人に首の周りのリンパ節への転移が見られ、24%にあたる3人には肺など遠隔部への転移が見られたとしています。
 
一方、甲状腺がんの種類別では、「乳頭がん」と呼ばれる一般的なタイプが121人と大半を占め、チェルノブイリの原発事故で増えたとされる「充実型」と呼ばれる種類は見られなかったということです。
また、手術の方法については、左右にある甲状腺のうちすべてを摘出したのは11人で、ほかの114人は片側のみの摘出にとどめたとしています。
さらに鈴木教授は詳しい人数は言えないとした上で、手術を行った患者のうち数%の人ががんを再発したことを初めて明らかにしました。
シンポジウムでは27日午後、今後の甲状腺がんへの対応について県への提言案をまとめることにしています。    09月27日 13時05分
 小児甲状腺癌は良性疾患であり、手術の必要などない。過剰健診であると主張している御用学者の意見に真っ向からたちむかう報告である。再発が起きる癌が、良性のはずがない。そして、この「肺への遠隔転移が見られる」とする報告は、山下俊一氏の報告のなかで
 チェルノブイリの事故後急増した小児甲状腺癌では、早期発見にもかかわらず所属リンパ節転移や、肺転移が多く、進行型が半数以上
に一致する。
 
 以前紹介したように、甲状腺癌は次のように分類されている。
 甲状腺癌の中でもっとも多く、30-50歳代の女性に好発します。比較的若年者の癌は予後が悪いように見えますが、本症の予後はきわめて良好で、10年生存率は80%以上とされています。被曝によって生じる甲状腺癌のほとんどは乳頭癌で、1986年のチェルノブイリ原子炉事件(ママ)のあとに好発しているのも本症です。また、特に10歳以前に頚部放射線照射を行うと、本症の危険度が増加することが指摘されています。
 
 甲状腺乳頭癌の亜分類が、チェルノブイリと違うから、被爆の影響ではないと主張する結論が完全に浮いていることがよくわかる。
 即ち、フクシマの小児甲状腺癌を放置すれば、大変悲惨なことになるのが目に見えているのである。
予想通りに、小児甲状腺癌、しかも乳頭癌が増加し、通常は見られない早期発見例での遠隔転移がみられているとなれば、被曝を疑わない方がどうかしている
 
 このような研究発表がありながら、大本営 福島民友は下記記事を(同じシンポジウムに対して)投稿している。
「チェルノブイリと異なる」 専門家、福島県被ばく状況で一致
福島民友  2016年09月28日 
 東京電力福島第1原発事故後の子どもの甲状腺を巡る問題について議論する国際専門家会議は最終日の27日、福島市で開かれ、「福島の被ばくの状況は、甲状腺がんが多く見つかった旧ソ連チェルノブイリ原発事故の状況とは大きく異なる」と、本県で見つかっているがんについて放射線の影響は考えにくいとの認識で一致した。
 
 甲状腺検査については、検査自体が対象者の親に心理的ストレスを与える可能性があることや、検査に伴うメリットがデメリットを上回るよう考慮する必要があることを確認。専門家会議は今後、こうした内容を取りまとめ県に提言する。
 
 日本財団の主催で、原発事故後5回目。チェルノブイリの汚染地域がある国の研究者や国際機関の専門家らが、甲状腺にテーマを絞って議論を行った。2日間の議論を総括する討論で座長を務めたインペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)のジェラルディン・トーマス教授は「最も重要な点は『福島はチェルノブイリとは違う』ということ」とした上で、「福島ではスクリーニング(集団検診)により甲状腺がんが見つかっている」と指摘した。
 
 シンポジウム内の報告を一切無視して、結論ありきの結論を導き出す国際御用学者には恐れ入るが、それをそのままたれながす福島民友の存在価値はいったいどこにあるのか。
 内容と結論が全く違う内容を聞いて納得できる人間がいるのだろうか。
 
 なお、このトーマス教授はみなさまご存じのこの方。
 容貌を揶揄するのは好みではないが、まさしく白×という表現がピッタリとくる。同じシンポジウムの鈴木真一教授の発表を無視するとは、さすが、国際御用学者と言えよう。彼女は、この手のシンポジウムにはイギリスからわざわざ来日して、全く同じ結論しか話さない人物である。このような人物に大金を支払うのであれば、同じ体系のくまモンにでも来てもらった方がまだましではないのか。
 
 5年がたち、フクシマ小児甲状腺癌がいよいよ抜き差しならぬ状況になってきたことが伝わってくるシンポジウムであった。