2016年11月21日月曜日

21- 大島教授による原発コスト試算 そして原発事故の責任者の順位

 111761回国会エネルギー調査会で提起された大島堅一立命館大学教授「原発の発電コストへの影響」の概要を河野太郎氏がBLOGOSに載せましたので紹介します。
 最初の表は、福島原発事故の賠償費用と事故費用とを、東電関係だけで賄う場合と電力九社全体で負担する場合について、発電コストがどうなるのかを示しています。
 これによって電力九社で負担する場合でも、原発の発電コストが火力他に比べて最も高いことが分かります。
 
 電力の負担分がそのまま国民の電気料金に乗せられるのは言うまでもありません。
 大島氏は東電の法的整理は避けられないとしています。
 
 古賀茂明氏本来あるべき「事故関連費用の負担の原則=負担すべき責任の順位」について報告がありました。
 電力会社の幹部、株主、銀行の責任を全く問わないで済ませようというのが今の政府の考え方です。
 東電の株主と取引銀行は事故前には十分以上の利益を得ていました。官僚にとって東電はまたとない最高の天下り先でした。 
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大島堅一教授による原発コスト試算  
河野太郎 BLOGOS 2016年11月19日
1117日に開かれた第61回国会エネルギー調査会で基調提起された大島堅一立命館大学教授による「原発の発電コストへの影響」によると
 
東京電力
電力九社
 
25,647 
85,720 
 2010年度までの発電量 (億kWh)
2.5
0.8
 賠償コスト単価  (円/kWh)
5.9
1.8 
 事故費用単価  (円/kWh)
8.6
8.5
 実績発電単価  (2010年度まで)
1.7
1.7
 政策コスト   .  (2010年度まで)
12.8
11.0
 発電コスト      (賠償コスト含む)
16.2
12.0
 発電コスト      (事故コスト含む)
 
大島教授によれば、同時期の火力発電コストは9.87円/kWh、一般水力のコストは3.86円/kWhとなる。
大島教授による提案は
 
「現在の会計は、廃炉費用の中身が全く分からなくなっている。一般廃炉費用、事故炉廃炉費用、損害賠償費用を区別して経理し、それぞれがいくらかかっているか、わかる会計制度を構築すべきである。
託送料金は、国会のチェック機能が働かない。そのため、経費がいくらかもわからなくなるし、経費の膨張も避けられない。
 
提案が制度化されれば、ほとんどあらゆる追加的費用が託送料金から回収されることになる。これは、原子力の後始末に使途を限定した一種の目的税と同じである。
すでに国民は、原発事故賠償費用を実質的に負担していることからすれば、託送料金ではなく税で徴収すべきである。
税にすると国民の反発を招く可能性があるが、一体いくらかかるのか、かかっているのか、また、経費の使い方が適切か、といったことが国民の前に明らかになる。
 
東京電力の法的整理は避けられない。法的整理すれば、資産を売却することで、その分国民負担額を減少させることができる。
賠償主体がいなくなるとの懸念はあるが、特措法を制定し、厳しい規制を行わなかった国の責任を認め、国が変わって賠償支払いをすればよい。」
 
また、古賀茂明氏からも、負担の原則は
1 東電 経営陣 社員
2 株主 株は紙切れに
3 銀行などの債権を棒引きに
4 電力利用者(電力料金)
5 国民(税金)
であるべきとの考えが示されました。