2017年1月31日火曜日

福島第1原発2号機 原子炉の真下に燃料デブリか

 福島第一原発2号機の原子炉を収めた格納容器の内部をカメラで確認した結果、原子炉の真下にあるグレーチング(格子状の作業用の床の上に、黒い塊があるのを見つけたということです。
 当初東電は “燃料デブリ” の可能性があるとしていましたが、15~30センチもある原子炉容器の壁を溶かして落ちた核燃料が、せいぜい数ミリの帯鋼で作られているグレーチング上に留まる筈はありません。
  “燃料デブリ” の本体は、グレーチングを完全に溶かしてその下に脱落していると見るべきでしょう。
 今後の調査結果が注目されます。
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福島第一原発2号機 原子炉の真下に燃料デブリか
NHK NEWS WEB 2017年1月30日
東京電力福島第一原子力発電所2号機の格納容器の内部をカメラで確認する調査が行われ、原子炉の真下にある作業用の床に、黒みがかった堆積物が見つかりました。東京電力は溶け落ちた核燃料と構造物が混じった「燃料デブリ」の可能性を含め、さまざまな可能性が考えられるとして、今後、ロボットを使った詳しい調査を行い、デブリかどうか評価することにしています。
 
東京電力は事故で溶け落ちた核燃料の状態を把握するため、30日に福島第一原発2号機の格納容器の内部をカメラで撮影する調査を行いました。
東京電力が公開した映像には、原子炉の真下にある作業員が歩く格子状の床が写っていて、その上に表面がでこぼこした黒みがかった堆積物がこびりついているように見えるほか、床を支える鉄板の付近にも堆積物がたまっているということです。
 
床がまとまってなくなっている部分も見つかりました。これについて東京電力の担当者は記者会見で、「原子炉の下部には保温材や制御棒を動かす装置のケーブルなどがある。堆積物が溶けた燃料が構造物と混ざった燃料デブリかはなんとも言えず、いろんな可能性が考えられる」と述べ、燃料デブリの可能性を含め、さまざまな可能性が考えられると説明しました。
 
また、映像には原子炉を冷やす冷却水が降り注いでいる様子も捉えられ、担当者は「原子炉のどこかに損傷している部分がある。ただ、どれだけ壊れているかは今回の映像ではわからない」としています。
東京電力は来月上旬、放射線量を計測する機器などを備えたロボットを内部に入れて、より詳しい調査を行い、放射線量や温度を総合的に考えて、見つかった堆積物が燃料デブリかどうか評価することにしています。
燃料デブリと確認されれば、事故から6年近くがたって、初めてその姿が捉えられたことになります。
 
東京電力が映像説明
東京電力は30日夜、福島第一原発2号機の格納容器内部で撮影された映像について説明しました。
 
原子炉の真下から上方向を撮影した映像については原子炉の底の部分に、核分裂を制御する「制御棒」を動かす装置やケーブルの一部が確認され、比較的、原形をとどめている可能性が高いとしています。
原子炉の真下には、作業員が歩く格子状の床が写っていて、その上に表面がでこぼこした黒みがかった堆積物がこびりついているように見えるほか、床を支える「フラットバー」と呼ばれる鉄板の付近にも、堆積物がたまっているということです。床は一部なくなっている部分もあるということです。
また、原子炉を冷やす冷却水が降り注いでいる様子もとらえられています。
 
黒い塊が見つかった場所とは
福島第一原発2号機のカメラによる調査で黒い塊が見つかった場所は、格納容器の中にある原子炉の真下に設置された作業員が歩く格子状の床の上で、これが燃料デブリと確認されれば、溶けた核燃料は原子炉の底を突き破ってその下まで達したことになります。
今回の調査で、カメラは定期検査の際に使う原発事故の前からある配管などを通って格納容器の外から原子炉の真下まで進みました。原子炉の真下は高さ8メートル50センチ、直径5メートルの筒型をした「ペデスタル」と呼ばれるコンクリートに囲まれ、この内側の撮影が行われたのは初めてです。
 
この空間の真上は核燃料が入っている原子炉の底の部分で、核分裂を制御する制御棒を動かす装置やケーブルがあり、足元には定期検査の際に作業員が歩く格子状の床が設置されています。
東京電力が公開した画像には、原子炉の真下にある作業員が歩く格子状の床が写っていて、その上に表面がでこぼこした黒みがかった堆積物が見えます。今後の分析で、これが燃料デブリと確認されれば、溶けた核燃料は原子炉の底を突き破ってその下まで達したことになります。
 
東電「床がなくなった状況は評価中」
福島第一原発2号機の原子炉の真下で、作業員が歩く格子状の床の一部がなくなっている部分があることについて、東京電力は「比較的大きなまとまりとして床がなくなっていると見ている。床は鉄製で、溶ける温度は1000度程度だが、核燃料は2000度から3000度ある。核燃料が金属を巻き込んで落ちたのか、現時点でどういう状況で床がなくなったかは評価中だ」として、原子炉から溶け落ちた燃料が床を溶かしてなくなった可能性も含めて、今後、評価する考えを示しました。
 
専門家「燃料デブリかは追加のデータ必要」
東京電力が公開した福島第一原発2号機の内部の映像について、日本原子力学会の「廃炉検討委員会」の委員長で、法政大学の宮野廣客員教授は「内部の様子が非常によく見えていると感じた。『グレーチング』と呼ばれる格子状の床にたまっていた堆積物は、原子炉の底にあるパイプのような構造物が熱で溶けたものと推察できるが、核燃料を含む燃料デブリかどうかは、放射線量の調査など、さらに追加のデータが必要だ」と話していました。
 
設置されていたグレーチングがまとまってなくなっている部分については、「推察になるが、上から落ちてきた核燃料がグレーチングを溶かして下に落ちた可能性も考えられる」と分析していました。
今後については、「今回の手法で内部がよく見えることがわかったので、場所を広げて損傷の全体像を調べ、データベースにできれば、廃炉作業に向けた有効なツールとして活用できる」と話していました。