2017年1月13日金曜日

台湾 “2025年までに全原発運転停止”アジア初

 台湾議会で2025年までにすべての原発の運転を停止することを盛り込んだ電気事業法の改正案が可決されました。台湾には6基の原発がありますが、現在は3カ所で3基が稼働していてその発電量の比率は16%です(一昨年)。
 
 台湾は日本と同じく地震が多いうえ、人口密集地の台北から25キロの地点に台湾最大の原発があるせいもあって、2011年の東日本大震災を機に原発反対の世論が一気に高まりました。そのため既に進められていた第4の原発計画は、2014年に工事が凍結されました。
 台湾政府は再生可能エネルギーの発電量の割合を、現在の4%から2025年までに20%に引き上げるということです。
 
 台湾は着実に合理的に脱原発を志向し ついにアジア初となる「脱原発」に舵を切りました。
 原発利権にまみれた原子力ムラがのさばっていて、大事故を起こした地元であるにもかかわらず一向に脱原発に向かわない日本とはエライ違いです。
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台湾が脱原発法を可決、アジアで初
TBS TVニュース 2017年1月11日 
 福島第一原発の事故の後、世界に広がった「脱原発」の動き。台湾で11日、将来の原発をゼロとする法律が可決しました。なぜ、台湾は、アジア初となる「脱原発」に舵を切ったのでしょうか。
 
台湾の国会にあたる立法院
 「電気事業法改正案は可決しました」
 全ての原発を2025年までに事実上、廃炉にすることを盛り込んだ電気事業法の改正案が、11日夜、可決しました。台湾は、「脱原発」に向けて大きな一歩を踏み出しました。
 中心都市・台北から北におよそ25キロ。ここに台湾最大の第2原発があります。いまは1号機が点検中、2号機は停止しています。この第2原発のすぐ近くに、かつて新たな原発を建設する計画がありました。
 「あちらの原発は、台湾の第4の原発として計画が進められていましたが、2014年に工事が凍結されました。福島の第一原発事故がきっかけです」(記者)
 
「原発反対!原発反対!」(2014年) 
 2011年の東日本大震災を機に、台湾では原発反対の世論が一気に高まりました。日本と同じく地震が多いうえ、人口密集地の台北の近くに原発があることで、恐怖感が広がったのです。
 「科学技術が発展しているんだから、原発じゃなきゃダメな理由はないと思う。台湾は小さいので、原発事故が起きたら逃げ場所もないし」(市民)
 
 蔡英文総統が去年の総統選で公約の一つに掲げたのが「脱原発」でした。
 「新しい時代の幕は開けました。次の世代のために頑張りましょう」(台湾 蔡英文 総統)
 現在、台湾にある原発は6基。11日に可決した改正案では、「2025年までに全ての運転を停止すべき」と明記。いずれの原発も25年までに順次、40年の運転期間を終えますが、期限を延長しない姿勢を示しました。
 
 蔡政権は、台湾電力が独占する電力事業を自由化するとともに、再生可能エネルギーの割合を現在のおよそ4%から20%に引き上げるとしています。「脱原発」は、アジアでは初めてのこととなります。
 野党や経済界が「急ぎ過ぎだ」と反発してきた改正案。市民からは不安の声も上がっています。
 「電力供給が安定しない可能性があるし、原発廃止はまだ早いと思う。電気代も上がってほしくないし」(市民)
 
 そうした中、一足先に再生可能エネルギーの可能性を探る地域があります。
 「台湾から60キロほど離れたこちらの島では、風力発電などを使って再生エネルギー供給率100%を目指す動きが加速しています」(記者)
 人口およそ10万人の澎湖諸島。台湾海峡の季節風を利用して、風力発電に力を入れています。
 「(再生エネルギーで島の電力の)11%~15%を賄っています。さらに大型の風車を11基増やします」(澎湖県の担当者)
 今後は太陽光発電も強化し、2025年までに再生可能エネルギー供給率を100%にし、余った分は海底ケーブルで台湾本島に送電する計画です。
 島のトップは、脱原発のハードルは高いとしながらも、こう話します。
 「(再生エネルギーは)地球をこれからも守っていきます。核のごみを生む原発に取って代わるべきです」(澎湖県 陳光復 県長)
 カギになるのは、民間企業の協力だといいます。
 「民間企業が投資できる環境づくりを期待します。日本企業も視察に訪れていて、この風力発電事業に興味を示しています」(澎湖県 陳光復 県長) 
 台湾の脱原発の取り組みは、アジアに新たな流れを生むことになるのでしょうか。