2017年2月5日日曜日

05- 毎時530Svでは調査用ロボットは2時間で壊れる

 日刊スポーツ紙によると原発の炉回りを調査する「サソリ型ロボット」の放射能照射限度は1000Sv(シーベルト)ということなので、毎時530Svの環境では満足に調査出来る時間はせいぜい2時間であることが分かりました。
 調査用ロボットは小型なのである程度物量作戦で行うことは可能ですが、将来燃料デブリ取り出し用のロボットを投入する場合には、そんな短時間ではどうしようもありません。
 ロボットのライフを伸ばす名案はあるのでしょうか。
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福島原発「想像できない高線量」数十秒で死亡レベル
日刊スポーツ 2017年2月3日
 東京電力は2日、東京電力福島第1原発2号機の格納容器内の推定空間線量が、毎時530シーベルトだったと発表した。先月30日にパイプで挿入したカメラで撮影した画像を解析した。運転中の圧力容器内並みで、人間なら数十秒で死亡するレベルだ。2号機には、遠隔操作ロボット「サソリ型ロボット」が今月投入され、原子炉直下で解け落ちた核燃料(デブリ)の位置などを調査する予定。東電はロボットが10時間以上活動できると見込んでいたが、予想を上回る高線量のため2時間で壊れる計算だ。
 
 廃炉には燃料デブリが、どこにあるかを調べなければ、工法すら決まらない。11年の原発事故から来月で6年。初めて2号機内部を撮影したカメラ映像の分析から、東電の予想を上回る極めて高い線量が推定され、廃炉作業の過酷さが改めて明らかになった。
 東電によると、530シーベルトは、格納容器の壁に開いた貫通部分から、内部にある圧力容器の真下に向かっている機材搬入用レールの途中での撮影映像から推定したもの。圧力容器を支える土台から約2・3メートルの空間部分で、誤差は上下30%という。その場に数十秒いただけで人が死に至るレベルで、専門家は「想像もできない高線量だ」と驚く数値。これまでの最大実測値は2号機内部の毎時73シーベルトだった。
 
 東電では、1月30日のカメラ挿入の次のステップとして、今月中旬までに東芝が開発した「サソリ」を投入する予定だった。棒状で、内部進入後に尾の部分をサソリのように上げ、頭と尾のカメラで格納容器内を撮影。放射線にも累計1000シーベルトまで耐えられるとされており、東電は実測最大値の毎時73シーベルトを浴び続けても10時間以上活動できると見込んでいた。しかし、毎時530シーベルトの放射線を浴び続ければ、わずか2時間で壊れてしまう恐れがある。
 
 30日撮影の画像の解析では、燃料デブリの可能性がある堆積物が乗っていた鉄製足場の一部に縦横1メートル程度の穴が開いていることも判明した。穴は、デブリの高熱で変形してできた可能性があるという。穴は、サソリの走行ルートにあり、廃炉に向けた調査計画の見直しは避けられない状況だ。
 東電と政府は、サソリでデブリの場所を確認し、今年夏ごろにおおまかな取り出し工法を決め、2021年に最初の原子炉で取り出し作業を始める予定だった。
 
<全員が死亡する7シーベルトの76倍>
 放射線は自然環境からも低線量が出ており、日本では平均で年間約2・1ミリシーベルト、世界全体では平均2・4ミリシーベルトの被ばくがある。だが100ミリシーベルトを超えると、発がんリスクが上昇。1000ミリシーベルト(1シーベルト)を超えると重大な影響が出始め、女性の不妊や脱毛、白内障などが起こる。
 放射線医学総合研究所(放医研)によると、4シーベルトの被ばくで、2人に1人が死亡し、7シーベルトで全員が死亡する。99年に茨城県東海村の核燃料加工会社で起きた臨界事故で死亡した作業員は、最大で約20シーベルト被ばく。毎時530シーベルトという放射線量について、放医研の担当者は「医療の対象として、考えたことのなかったレベルの放射線量」と絶句した。